2019年10月04日

一国主義に立つ世界と後れをとった日韓B

 ●左右対決に代わる民主主義と全体主義の対決
 朝鮮半島の動揺が、日・米・中の関係国ばかりか、ロ・印・豪などの辺縁国をまきこみ、さらに、中東やアフリカ、ヨーロッパにまで影響をおよぼそうとしている。
 韓国が、経済・軍事とも、世界のトップ10に入る強国なら、北朝鮮も核をもつ軍事大国(総兵力120万人/韓国軍66万人)である。
 その両国が、核保有や南北統一、米中関係などをめぐって揺れ動いて、その余波が、アジアのみならず世界におよばないわけはない。
 さらに、日韓緊張という吹き出物もあって、朝鮮半島は、東アジアのトラブルメーカーにして、世界の火薬庫なのである。
 朝鮮半島の動向が、大きなインパクトをもつのは、世界版図を二分するパクス・アメリカーナと中国モデルの境界線が、朝鮮半島のド真ん中(38度線)をとおっているからである。
 この境界線(新アチソンライン)と連動しているのが第七艦隊で、同艦隊の母港が、アメリカ最大の海外基地である横須賀である。
 横須賀の第七艦隊と横田の第5空軍、沖縄の第3海兵遠征軍と自衛隊の編成軍が日米安保軍で、NATO(北大西洋条約機構)と並ぶアメリカ主導の世界集団防衛体制である。
 日米安保を拡張した防衛戦略が「インド太平洋構想(日本・アメリカ・インド・オーストラリア)」である。
 同構想が実現すれば、これまで、国内に限定されていた自衛隊の活動範囲が太平洋からインド洋にまでひろがる。
 安全保障と足並みを揃えて、第一次安倍内閣(麻生太郎外相)の産物だった経済圏構想(「自由と繁栄の弧(インド・中東・中央アジア・ヨーロッパ)」がふたたびうごきだした。
 かつて、日本は、「自由と繁栄の弧」が、中国包囲網とうけとられかねないとして、福田康夫内閣や民主党内閣がこれを封印するというばかな真似をした。
 親中派や親韓派がのさばっていた時代の話だが、逆に、中国や韓国から反日という冷や水を浴びせかけられて、第二次安倍内閣以降、すっかりおとなしくなった。
 安倍首相は、ベルギーのブリュッセルでひらかれたEUの関連会合で、基調講演をおこない、EUと積極的に経済協力をすすめる考えを明らかにした。
 具体的には、EUと協力して、東欧やアフリカでインフラ整備をすすめるというもので、これによって、自由や民主主義、人権や法の支配、市場経済などの普遍的な価値を共有する「自由と繁栄の弧」が最終ゴールに到達したことになる。
 EUとのタイアップによって、価値観外交(「自由と繁栄の弧」)が、中国の経済圏構想「一帯一路」と対抗する決定的な存在となった。
 日本とEUが、アフリカから東欧、イタリアにまで手をのばしてきた中国の経済覇権を阻止しようというのである。
 中国の「一帯一路」が他国の領土化≠セったことは「中国パキスタン経済回廊」にもとづくパキスタンのグワダル港開発をみれば明らかで、巨額借金のカタに港湾を奪われて、将来、同港が中国の軍港になるのは目に見えている。
 受けた援助が、巨額の借金に化けて、建設中のインフラ設備をまるごと奪われる――それが「一帯一路」の借金漬け領地略奪法で、典型的なケースがスリランカのハンバントタ港だろう。
 2010年、ハンバントタ港建設に際して、スリランカが中国から借入した13億ドル(約1421億円)は、年6・3%という高利で、インフラ整備によって、多少、生産性が上がっても、容易に返済できる金額ではない。
 中国の資金源になっているのがアジアインフラ投資銀行(AIIB)である。
 アジアには、1966年に設立されて以来、融資やグラント(無償支援)のほか、アジア地域の経済・技術協力、貧困の対策などに取り組んできたアジア開発銀行(ADB)があって、日本が主導してきた。
 これにたいして、中国の習近平主席の肝いりでうまれたのが、アジアインフラ投資銀行(AIIB)で、これに、アジア諸国を中心に50か国がとびついたが、そのなかに、イギリス、フランス、ドイツがふくまれていた。
 これは、英仏独の誤りで、中国の「一帯一路」は、金融やインフラ整備などをとおして、地政学的なメリットをもとめる戦略であって、日・米・欧の技術型・科学型経済戦略とは、相容れない。
 日本の価値観外交には、自由や民主主義、基本的人権や法の支配、市場経済のほかに、技術や科学という要素がもりこまれている。
 日・米・欧は、技術と科学で、世界をリードする立場にあって、地下資源や安い労働力、旺盛な消費力に代わって、知力を経済の原動力にしている。
 かつて、共産主義と自由主義が牙を剥き合ったが、現在は、民主主義と全体主義の対立へと様相を変えた。
 パクス・アメリカーナと中国モデルが、世界版図を二分しているというのはその意味合いにおいてで、両者を分けているのが、技術力と科学力なのである。
 中国のメディア(『今日頭条』)は、日本の製造業を他の国と比較した記事を掲載して、そのなかで、「中国が日本にかなわない理由」を4つ上げている。
 日本は「生産効率」「高品質」「工作機械」「素材」の4分野で、米国を抜いて世界一だという。
 経済と軍事力、技術・科学が大国の条件になっていることは、この3分野で、アメリカが断トツの第一位であることからもわかろう。
 ■ノーベル賞受賞者数の国別ランキングトップ10
 1位アメリカ339/2位イギリス110/3位ドイツ82/4位フランス58/5位スウェーデン32/6位スイス27/7位日本22/8位ロシア(旧ソ連)20/9位オランダ16/10位カナダ14/10位イタリア14
 科学系の受賞者は、中国とインドが1、韓国は0で、欧米の合計678とは比較にならない。
 ところが、経済や軍事力では、中国やインド、韓国が上位にのぼってくる。
 ■軍事力の国別ランキングトップ15
 1位アメリカ/2位ロシア/3位中国/4位インド/5位フランス/6位日本/7位韓国/8位イギリス/9位トルコ/10位ドイツ/11位イタリア/12位エジプト/13位ブラジル/14位イラン/15位パキスタン
 以下インドネシア、イスラエル、北朝鮮、オーストラリア、スペイン、カナダ、台湾、ベトナム、ポーランド、サウジアラビア、タイとつづく。
 ■GDPのランキングベスト20
 1位アメリカ/2位中国/3位日本/4位ドイツ/5位イギリス/6位インド/7位フランス/8位ブラジル/9位イタリア/10位カナダ/11位ロシア/12位韓国/13位オーストラリア/14位スペイン/15位メキシコ/16位インドネシア/17位トルコ/18位オランダ/19位サウジアラビア/20位スイス
 今後、世界は、ハードウエア型の中国や韓国、ロシアと、ソフトウエア型のアメリカと日本、ヨーロッパがしのぎを削ってゆくことになる。
 次回以降、経済や技術、安全保障について、世界スケールで考えていこう。
posted by office YM at 13:10| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする