2020年03月06日

日本主義の復活と近代主義の終焉C

 ●万世一系と男女平等の両方を尊重する日本人
 自由や平等、権利や民主主義などの近代主義は、ヨーロッパ中世のルネサンスや宗教改革、近世の啓蒙時代をへて、近代の市民革命、産業革命へといたる道筋をとおってあらわれた。
 異端審問や魔女裁判が横行した暗黒の中世において、人間は、神のシモベというより人権も人格もない宗教の奴隷で、宗教裁判で火刑になった無垢の民はおびただしい数にのぼる。
 カトリックとプロテスタントが争った宗教戦争も凄惨で、ドイツ30年戦争では人口の三分の一が減少、経済も壊滅的になった。
 啓蒙思想や市民革命をとおして、ヨーロッパに自由や平等、民主主義があらわれた背景には、ローマ法王庁と絶対王権の凄まじい圧政、そして、キリスト教という絶対神の硬直した宗教観があったのである。
 ヨーロッパと日本では、歴史や風土、文化がまったく異なっていて、同列に語ることができないのはいうまでもない。
 とりわけ、異なるのが、宗教観である。
 西洋は、キリスト教やユダヤ教、イスラム教など一神教、絶対神である。
 一方、日本は、多神教で、自然崇拝や神話信仰である。
 民族の価値観は、宗教に根ざしていて、西洋人は一元論で、日本人は多元論である。
 西洋は、正義や真実、絶対善をもとめて、それ以外を排除する。
 キリスト教徒にとって、異教徒は悪魔で、大航海時代、インカ、マヤ、アステカ文明を滅ぼして、なんの痛痒もかんじることがなかった。
 アメリカインディアンを全滅させ、広島と長崎に原爆を投下するのが、異教徒を人間と思わないキリスト教徒の本性で、大東亜共栄圏などという人のよいことをやっていて、アメリカとの戦争に勝てるはずはなかった。
 戦後日本は、アメリカから、自由や平等、権利のほか国民主権や民主主義をおしつけられた。
 憲法として、明文化されたものをうけいれたわけだから逃げ場がなかった。
 西洋人は、自国の文化を他国におしつけて、文明化してやったという傲慢な民族で、異文化にたいしては、徹底的に不寛容だった。
 異文化への寛容は、異教の容認につながりかねないからである。
 GHQは、天皇に人間宣言をさせて、神道指令を発令、公職追放令で戦前の要人を追放して、日本の中枢機関へ左翼を送りこんだ。
 それで、日本は劇的に変貌を遂げるはずだった。
 ところが、日本はまったく変わらなかった。
 1946年4月の世論調査(日本輿論研究所)では、天皇制支持3174票(95%)にたいして、天皇制否定が164票(5%)で、他の新聞社アンケートも同じような結果だった。
 日本人は、天皇を神だと思っていたのではないか。その天皇が、人間宣言をしたにもかかわらず、なぜ、天皇への敬愛心を失わないのかと、GHQは首をひねった。
 日本文化の特質にタテマエとホンネという二重性がある。
 西洋人は、異端審問で、有罪なら悪魔の使いというレッテルを貼って火刑にしてしまう。
 ところが、日本人の価値観は、情と理、法と徳、個と集団などの二重構造になっているので、西洋人のように、YESかNOかの一元論にも絶対主義にも陥らない。
 日本人は、天皇は現人神というタテマエをとりながら、ホンネでは、生身の人間であることを知っていた。
 したがって、天皇が人間宣言しても、日本人は、だれも驚かなかった。
 日本は、憲法9条で「戦争の放棄・軍備および交戦権の否認」を宣言する一方、世界第6位の軍事力を有する。
 護憲論者が自衛隊を憲法違反というのは、日本人的な価値観をもたない唯物論者だからで、二重規範(ダブルスタンダード)をもつ日本人にとって、そんなことはあたりまえである。
 全体と部分、集団と個の矛盾は調整がつかないが、日本人は、権威と権力の二元論で、これを解消させた。
 権力だけの西洋では、圧制と反抗、革命という一元論のみちをたどる。
 ところが、権威と権力が分離している日本では、権力が自制して、独裁的な政治がおこなわれない。
 権力は、権威から権力の正統性を戴いて、天皇の大御宝たる国民を支配する。
 どうして、権力が民を虐げることができるだろう。
 西洋から政治学を学んだインテリは、ヨーロッパの権力を日本にあてはめてモノをいうが、すべて、的外れで、日本には、唯物史観も宗教戦争もなかったのである。
 自民党の二階俊博幹事長は、皇位継承について、男女平等と民主主義をあげて、女系天皇を容認するが、男女平等も民主主義も、日本人にとってタテマエであって、正面きって、だれも反対しないが、ホンネは、ちがうところにある。
 日本人は、万世一系の伝統と、男女平等や民主主義などの近代主義の両方を尊重するのである。
 憲法改正も、姑息な「9条加憲法(三項)よりも、解釈改憲の二重規範のほうが有効なケースもありうる。
 政治家は、タテマエとホンネを併せもつ日本人の懐の深さをもっとよく理解すべきだろう。


posted by office YM at 15:30| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする