2020年09月10日

 とりもどせ! 国家の主体性C

 ●経済をとって支配原理を捨てた日本
 戦後、吉田茂は、経済をとって、防衛を捨てた。
 アメリカがタダでまもってくれるのだから、日本は経済だけに精力をむけていればよいというひとりよがりの理屈だった。
 ところが、日本が捨てたのは、防衛だけではなかった。
 外交権・防衛権をGHQに奪われた日本は、国家の支配原理≠サのものを放棄してしまうのである。
 支配原理というのは政治力のことである。
 そして、その下で働くのが、官僚である。
 明治以降、富国強兵と世界の強国をめざしてきた日本が、第二次世界大戦に負けたとたん、国家の支配原理を投げ捨てて、経済だけが頼りという情けない国になってしまったのである。
 支配原理に代わって、台頭してきたのが、官僚制だった。
 だが、官僚は、とうてい、国家の支配原理になりえない。
 官僚には国家がないからで、あるのは、自己利益の原則と知識だけである。
 天皇の官僚が、一夜明けたら、GHQの官僚になってしまったのは、官僚にとって、ご主人は、給料さえくれれば、だれでもよいからである。
 ソ連の共産党官僚は腐敗して崩壊したが、中国の共産党官僚は、支配原理を共産主義から資本の論理へモデルチェンジして、逆に、大きな発展を遂げた。
 朝鮮の官僚階級(ヤンパン)は、日本が廃止させ、韓国は、35年にわたる日本化を支配原理として、現在の繁栄をえた。
 吉田ドクトリンも、バブル景気にわいた1980年代までで、1990年代になると世界2位の経済力も下降線を描きはじめ、2010年には中国に追い抜かれ、現在は、独・英・仏やブラジル、インドや韓国に肉薄されている。
 国家原理がないので、国家間競争にめっぽう弱いのである。
 1989年の世界時価総額ランキングでは、NTT以下、日本企業がTOP5を独占、50位までに日本企業32社がランクインした。
 ところが、2019年の世界時価総額ランキングでは、アメリカのマイクロソフトやアップル、アマゾン、中国のアリババやテンセントなど、米中のIT企業が上位を占め、50位以内に入った日本企業はトヨタ1社(42位)だけとなった。
 半導体産業も、1980年代は、NECや東芝などの日本の製造業が世界のトップシェアを握ったが、現在は、台湾のTSMCが4割、アメリカのインテルが3割、韓国勢が2割で、日本は世界市場から完全に放逐されている。
 日本企業が、これほど弱体化してしまった理由は、日本が官僚国家だからである。
 官僚国家に欠けるのが、支配原理で、役人は、じぶんの生活原理にしか興味がない。

 2019年の世界時価総額は 1989年当時の10倍以上となった。
 その原動力がIT(情報技術)で、アメリカからはじまったデジタル革命によって、世界の経済構造は10倍にもスケールアップされた。
 5G(第5世代移動通信システム)がその代表だが、日本では、5GやAI(人工知能)どころか、パソコンを使ったことがない大臣(桜田義孝)が国家のサイバーセキュリティを担当するという愚かなことが堂々とまかりとおってきた。
 なぜ、そんなばかげたことがことがおきたのか。
 日本では、高学歴の官僚が、許認可権や行政指導をとおして民間を指導するという制度が、明治時代から現在まで、百年以上にわたって、延々とつづいてきたからである。
 したがって、デジタル革命によって、産業構造が変わっても、対応できない。
 経済・生産活動をおこなわない官僚は、ITやデジタルには、なんの関心ももたないからである。
 日本では、そんなお役人さまが、経済から行政、法律のすべてを仕切っている。
 これでは、ヤンパンという特権エリートがすべてを牛耳って、世界で最低の非効率社会となった朝鮮李王朝とすこしもかわるところがない。
 次期首相に最有力の菅義偉は、新内閣の切り札として、縦割り行政の打破や「デジタル庁」の創設を明言したが、産業構造のデジタル化という地殻変動にたいして、思い切った手を打っていかなければ、役人国家、日本は、沈没するほかない。
 現在、日本は、半導体で世界最大のシェアをもつ台湾のTSMCを誘致する計画をすすめているという。
 実現すれば、半導体産業ばかりか、官僚指導型で沈滞している日本の経済が活気づくはずである。
 半導体にかぎらず、日本の経済がダメになったのは、日本が学歴社会だからである。
 官庁ばかりか、大企業も、役人の採用と同様、学力を優先して、偏差値人間ばかりを集める。
 したがって、古い知識をもっていても、創造的なことはなにもできないエリートが経済の前線に立つことになる。
 それが失敗の原因で、過去の知識がいくらゆたかでも、現在をゆたかにする知恵がなければ、競争には勝てない。
 アメリカIT企業の御三家、アップル社のスティーブ・ジョブス、マイクロソフトのビル・ゲイツ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグをはじめとして、ITやデジタル分野の成功者で、高学歴者はほとんどいない。
 学歴エリート主義(科挙)と官僚の特権思想(ヤンパン)という儒教観念をぶち壊さなければ、日本に未来はないのである。
posted by office YM at 22:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする