2023年09月25日

「自由主義」と「民主主義」の相克と調和21

  ●国際派はなぜウクライナ情勢が読めないのか?
 ウクライナ軍は「竜の歯」と呼ばれるロシアの戦車防御網を突破して、ロシア軍が占領している南東部ザポロジエ州からアゾフ海(黒海に隣接)へいたる要衝を分断する当初の戦略目標を達成しつつある。
 ウクライナ軍がザポロジエの一部を奪還できれば、そこからロシア軍が占領する4州や黒海艦隊がいるクリミア半島にミサイル弾を撃ちこむこともできるようになる。
 ウクライナ軍の目標は、クリミア大橋とクリミア半島の西端セバストポリを攻略して、ロシアの黒海艦隊やS400ミサイル防空ミサイル網を無力化することにあったが、配備されていたS400ミサイル5基のうち、ウクライナの国産ミサイルネプチューンや自爆ドローンによって、すでに3基が破壊されている。残っているのは2基だけだが、くわえて、黒海艦隊も、母港(クリミア半島セバストボリ)や司令本部、燃料タンクがウクライナ軍の攻撃にさらされている。
「世界軍事費ランキング」でロシア(2位)に大差をつけられていたウクライナ(36位)が善戦している理由は、投入できる軍事力が限られる局地戦では軍備よりも兵士の士気がモノをいうからである。
 くわえて、ウクライナの軍事力は、この数年で6倍にのびて、36位から日韓に肉薄する11位まで上昇している。
 鈴木宗男や橋本徹、左翼陣営や国際派は、ウクライナは偉大なロシアに歯が立つわけはないのでさっさと白旗を捧げろと主張したが、事態は、まったく逆の方向へすすんでいる。
 国際派らがまちがえたのは、世界版図を大国小国や陣営主義、強国従属や合従同盟、グループ化などの旧来の固定観念でとらえたからで、現在は、ソロモンのような小さな国でさえ、米中豪などの大国と堂々とわたりあっている。
 一方、日本の国際派は、強烈な西洋コンプレックスの持ち主なので、欧米から相手にされない、バカにされる、あるいは、反発を買うといって、日本の外交の足をひっぱっている。

 ●日本の針路と思考を誤らせてきた国際派
 日本では「世界にみとめられた」というのが最高のほめことばだが、こんな愚かで、恥ずかしい物言いがあるだろうか。
 外国にみとめられて一人前という考え方は、明治の鹿鳴館時代のもので、西洋コンプレックスの極みである。
 日本の歴史家が縄文時代にふれないのは、西洋史が、縄文時代から5千年もあとのメソポタミア文明からはじまるからで、当然、歴史学的・考古学的な史料は皆無である。
 当時の西洋は、石器時代というよりもほとんど原始時代で、西洋の石器時代から三内丸山遺跡に代表される縄文時代の文明がわかるはずはない。
 日本の歴史家は、じぶんの頭で考えることができないので、中国の書物に日本の記述がないといって、古墳時代をふくむ大和時代を「空白の4世紀」と呼んで、名称ごと消してしまった。
 だが、この時代は、記紀や風土記などの歴史書のほか、16万基もの古墳やおびただしい出土品(銅鏡や銅鐸、埴輪や武具など)があってこれほど研究のしがいがある時代はなかったはずである。
 戦後、マルクス主義者にのっとられた歴史学会の使命は、皇国史観の否定であった。
 それには、天皇中心に形成された大和朝廷を歴史から抹殺しなければならなかった。
 そのために利用されたのが3世紀末の中国史「三国志」に登場する邪馬台国と卑弥呼だった。
 膨大な文書のわずか数ページを割いただけの「魏志倭人伝(倭人の条)」の撰者は陳寿とされるが、陳寿は、倭の国に行ったことがなく、すべて伝聞なのであてにならないとみずから書き残している。
 裏づける他の史料が一点もなく、里や歩、水行や陸行と距離の単位もばらばらで、陳寿が噂話と告白したとおり倭人伝はただの見聞で、第一級史料というにはほど遠い。
 邪馬台国と卑弥呼の文字は、記紀や風土記などに記述がなく、全国13万の神社に邪馬台国と卑弥呼を名乗ったものは一つもない。3万社あるお稲荷さんでさえすべて名乗りがあるというのに、古代日本の誉れある名称である邪馬台国、その女王だった卑弥呼をまつった神社が一社もないのは奇異な話だが、地方に残っている建国伝説や神話にも邪≠竍卑≠ニいう卑しい漢字を使った文字はみあたらない。
 マルクス歴史学者は、大和朝廷、大和時代という名称を抹殺して、日本史を皇国史観から唯物史観に書き直したと大満足だが、その手法が「外国から見た目線」で、外国から日本古来の縄文文化や大和朝廷、大和時代が見えるわけはない。
 けれども、国際派は、わが国の歴史からは見えない邪馬台国や卑弥呼を実際にあったことにしてしまったのである。

 ●知恵ではなく、知識をふりまわす国際派
 外国の目線で世界を見るという悪癖をもっているのが日本の国際派で、かれらには、西洋を基準にモノを考え、日本を恥ずべき存在と見ていながら、臆面もなく愛国者を自称するという特徴がある。
 寺島実男ら国際派から、ユーチューブ評論家の西村博之や中田敦彦、成田悠輔、渡瀬裕哉らの発言が空疎で無内容なのは、学歴や知識がゆたかでも、日本人としての芯がないからで偏狭なナショナリズム≠批判してきた朝日新聞を読んで育った連中とすぐわかる。
 したがって、世界情勢がまったく読めない。憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼」を盲信しているらしく「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」という調子で、世界各国がエゴイズムのかたまりであることにとうてい思いいたっていない。
 ウクライナ戦争で苦戦しているロシアは、支援国だったトルコやイランとの関係がうまくいかなくなって、急きょ、北朝鮮に接近した。旧ソ連製の武器を使っている北朝鮮から砲弾を支給してもらおうと思ったのだろうが、このときプーチンは、派兵まで要請したとつたえられる。
 トルコとの関係がギクシャクしているというのは、トルコがスウェーデンにつづいて、ウクライナのNATO加盟を支持したからで、トルコは、ロシアのウクライナ4州併合が国際法の重大な違反だったとしている。
 NATO加盟国で、EU加盟をめざすトルコは、ウクライナ戦争以来、外交的なバランスに配慮して、ロシアともウクライナとも良好な関係を保ち、西側の対ロ制裁に反対する一方、ウクライナに武装ドローン(無人機)を提供してきた。
 ロシアがトルコに反発できない理由は、ウクライナ戦争以降、経済的にトルコに大きく依存しているからである。
 トルコとロシアが手をむすんだのは、20世紀末以降、ともに、欧米主導の国際秩序に反発してきたからで、共通に利害は経済だけだった。
 ロシアとトルコが良好な関係にあったこの15年は、両国の歴史からみれば例外的な時期で、ロシアは、黒海とエーゲ海をつなぐダーダネルス海峡、マルマラ海、ボスポラス海峡をトルコから手に入れることに執着して、スターリンは、トルコで共産主義革命をおこそうと画策したほか、その後もクルド労働者党(PKK)を支援してトルコの政情不安をはかってきた。
 クリミア編入によって、トルコも、ウクライナ同様、ロシアに大きな脅威をかんじているのである。

 ●世界をリードする日本の足をひっぱる国際派
 同盟関係にあると思われていたロシアとイランだが、イランのモハマド国防相が「国内で戦闘機を生産できる」としてスホーイ35の購入計画を破棄して「ロシアと戦略的な同盟関係にはない」と明言するなど両国にあいだに冷ややかな空気が流れている。
 また、ペルシャ湾の3つのイラン領の島々をめぐる紛争で、ロシアがUAE(アラブ首長国連邦)側を支持したことに反発して、イランが日本の北方領土への支持を表明するなど感情的なしこりも生じている。
 もともと、ロシアとイランの蜜月関係は、共通する反米感情から生じたもので、両国にきずななどない
 一方、ポーランドのモラウィエツキ首相は、穀物の輸入規制をめぐる交渉が決裂して「ウクライナへの武器供与をやめる」とのべ、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ポーランドは、連帯しているように見えるが、実際はロシアを手助けしている」と非難した。
 このもめ事は、ポーランドのドゥダ大統領はなかに入って収拾がつけられたが、これら一連の出来事からわかるのは、国家関係はご都合主義で、法則などないということである。
 かつて、安倍元首相がウクライナ戦争の仲裁者として、世界から期待をよせられたとき、日本の国際派は「百年はやい」「日本の恥さらし」「世界からバカにされると」と言い立てた。
 国際派というのは、結局、劣等感のかたまりなので、じぶんの頭で考えるのではなく、世界や他国の顔色を見て、へつらうだけである。
 そのとき、動員されるのは、知恵ではなく、知識や学識、教養である。
 日本では、西洋から学んだインテリが大きな顔をする奇妙な国である。
 世界が愛国心と一国主義、打算でうごいていることを忘れてはならない。
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2023年09月19日

「自由主義」と「民主主義」の相克と調和20

 ●「大東亜共栄圏」と「皇国史観」への拒絶反応
「大東亜共栄思想」と「皇国史観」にたいするマスコミとインテリ集団(日本弁護士連合会・学術団体・教員組合など)の拒絶反応には、すさまじいものがある。
 朝毎読は、親の仇にでも出遭ったかのように憎悪むきだしだが、産経新聞も社説で「皇国史観などもってのほかだが…」と書いて平然としている。
 大東亜共栄思想や皇国史観にたいする攻撃は、大手新聞よりもNHKのほうが、過激にして執拗で、大東亜共栄思想は日本のアジア侵略の口実だったという偏向番組をつくって、戦後から現在にいたるまで、延々と流しつづけている。
 GHQには対日工作の部局が三つあって、諜報活動の元締め「参謀第二部」と日本のFBIといわれた「民間諜報局」そして日本民主化の中枢「民政局」である。
 そして、日本政府やマスコミ、インテリ集団は、戦後から1951年のサンフランシスコ講和条約までの6年間、ひたすら、GHQにひれ伏してきた。
 講和条約締結によって、GHQが日本から引き揚げて、マスコミがGHQの諜報や保安、検閲などから自由になったとするのは早計である。プレスコード(日本新聞紙法)と公職追放が相まって、左翼の巣窟と化していた日本のマスコミは、GHQの「日本弱体化戦略(「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」)を踏襲して、GHQよりも過激な自主規制と反日報道をくり広げるのである。
 左翼革命をおこすには、暴力で国家を転覆させるよりも、反日教育で国民を洗脳して、国家を貶め、侮蔑させ、嫌悪させるほうが得策だからで、たとえ、革命が実現できなくとも、そのかん、マスコミは、反体制のヒーローとして、世間の耳目を集めることができる。
 それがマスコミ左翼の正体で、かれらは、GHQの謀略にのって国を売ってきたのである。
 
 ●大東亜共栄思想になぜ罪意識をもつのか
 左翼インテリや野党、リベラルは、日本はアジアに謝罪すべきと声を揃えるが、当のアジアに、日本にたいする怨恨などない。
 ビルマ外相ウ・ヌー「高い理想と目的の高潔さをつらぬいた唯一の国がある。その国は、アジアの独立と民衆の開放に命と資産のすべてを犠牲にした日本という極東の島国だ」
 ビルマ首相バー・モウ「われわれを白人支配から救い出してくれたのは日本だった。われわれは大戦の終盤に日本を見限ったが、その恩を忘れない。日本ほどアジアに貢献した国はない」
 ビルマ独立の父オン・サン「日本の軍事訓練はきびしすぎた。しかし、ラングーンが落ちたとき、われわれは、日本にしたがってきたことがまちがいではなかったことを知った」
 タイ副首相T・クーマン「日本の指導から、戦後、アジアで新しい独立国が不死鳥のようにあらわれました。だれに感謝をささげるべきか、あまりにも明白です」
 タイ首相プラモート「日本というお母さんは、母体を壊して、アジア諸国という子を産んでくれました。今日、アジア諸国が欧米と対等に話ができるのはだれのおかげか、みずからを殺して生んでくれた日本というお母さんがいたからです」
 インド首相ネルー「日本はわれわれに謝罪しなければならないことをなにもしていない。それゆえインドはサンフランシスコ講和会議には参加しない。講和条約にも調印しない」
 インド弁護士会会長グラバイ・デサイ「インドの独立は日本のおかげで30年早まった。この恩は忘れてはならない」
 スリランカ大統領ジャヤ・ワルデオ「アジア諸国が日本の復興を望む理由はアジアにとって日本が唯一、信頼できる国だからだ」
 元インド軍大尉ヤダブ「インパールの戦争で、6万の日本兵士がわれわれのために犠牲となってくれた。われわれインド人は子々孫々まで日本軍の献身的行為を忘れてはならない。そして感謝しなければなりません」
 日英激戦地マニプール州2026高地(インド)の現住民「日本兵はわたしたちを戦場から逃がして戦ってくれました。いまこうしてわたしたちが生きていられるのは、みんな、日本の兵隊さんのおかげです」
 インパール作戦慰霊碑のある村の村長「日本の兵隊さんたちは、飢餓のなか勇敢に戦い、死んでいきました。絶望的な状態にあって、勇敢さを忘れなかった日本兵の魂がインド独立の糧となりました。この慰霊碑は、独立インドの象徴でもあるのです」
 フィリピン大統領ホセ・ラウレル「日本はかならず立ち直る。日本民族とともに歩め(戦後、収監されていた巣鴨に面会に来た三男のサルバドールに)」
 マレーシア外相シェフェー「なぜ日本が謝るのでしょうか。あの大戦でマレーシア人と同じ小さな体の日本人が大きな体のイギリス人を追い払ってくれたのです。日本が払った尊い犠牲を否定することは、アジアの今日の繁栄を否定することです」
 マレーシア元首相マハティール「日本の責任を問うならば非人間的な支配と収奪をつづけた欧米の責任はどうなるのだ」
 シンガポール首相ゴーチョクトン「日本の統治は過酷だった。しかし、日本軍によって、戦後、アジアの植民地はすべて独立することができた。アジアに不屈の精神を植えつけた日本統治がアジアに自信をもたらして、欧米のアジア支配を粉砕したのだ」

 ●日本悪玉論をリードしてきた朝日毎日とNHK
 NHK(アーカイブス)は現在でもこんな放送を流している。
 太平洋戦争で東南アジアを武力で占領した日本は「大東亜共栄圏」の建設を掲げました。大東亜は、東アジアから東南アジアにかけて資源が豊富な一帯をさします。東條英機総理大臣は、欧米に占領されて、経済や文化が遅れているこの地域に、日本を中心とした道義にもとづいた共存共栄の秩序を確立すると約束しました(1943年「大東亜会議」)
 しかし、日本が東南アジアに侵攻したのは、石油や鉱物などの資源の獲得が目的だったのです。日本軍は現地住民を「土民」と呼び、独立に時期も日本が判断することが前提となっていました。
 イギリス、アメリカ、オランダ、フランスとの交易で経済圏が成立していた植民地に日本軍が侵入してきたため、住民は食料や生活物資の不足に苦しんだばかりか、多くの人々が鉄道や道路建設などの場所で働かされて、過酷な労働や食料不足のために亡くなりました。
 インドネシアのある住民は、当時をふり返ってこういます。「日本人はバゲロー(馬鹿野郎)と言って頭を叩くのです。インドネシア人にとって頭は神聖で敬うべきものなのです」
 憲兵隊に捕まって拘禁された男性もこう述懐しています。「憲兵隊は、乱暴で残酷でした。日本人はどうしてこんなことをするのか本当に理解に苦しみました」
 ビルマ独立軍のアウンサンについてかつてNHK(アーカイブ/1991年10月9日)はこういうナレーションと映像を流した。
「ビルマ独立軍にとって思いがけないできごとがおきます。ラングーン近くのモールメンを攻略した日本軍が、突如、軍政を敷いたのです。アウンサンは激怒しました。日本軍はビルマ独立の約束を反故にするのではないかと」
 NHKは、アウンサンを純情青年のように描くが、アウンサンは、24歳の若さでビルマ共産党の初代書記長に就任した天才的政治家で、イギリスのアトリー首相やマウントバッテン司令官までが手玉に取られている。アウンサンは日本軍がアジア独立よりも「援蔣ルート(ビルマライン)」の破壊を優先させていたことは百も承知で、日本を裏切ってイギリス側についたのは、インパール作戦で日本がイギリスに負けたからである。
 日本軍と共に戦って、1942年3月にラングーンを陥落させ、同年7月にビルマからイギリス軍を駆逐することに成功したビルマ独立軍のアウンサンは1943年、日本に招かれて弱冠28歳の若さで旭日章を受章、同年、バー・モウを首相とするビルマの国防相になっている。
 だが、海南島で、独立のため日本軍から苛酷な軍事訓練をうけたアウンサン(日本名面田紋次)にとって、日本は、ビルマ独立のために利用すべき道具でしかなかった。そのアウンサンも、1947年7月19日には、ビルマ独立を見ることなく6人の閣僚とともに暗殺されている。
 次回以降、旧大東亜共栄圏の旧主宰者だった日本がグローバルサウスなどとどう提携して、ロシア・ウクライナ戦争や台湾危機などの火種をかかえた世界とどうむきあってゆくべきかについて考えたい。
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2023年09月11日

「自由主義」と「民主主義」の相克と調和19

 ●なぜ「日本学術会議」は処理水問題に沈黙するのか
 旧民主党から自民党にくら替えした細野豪志がネットでこうつぶやいている。
「日本学術会議が福島原発処理水について科学的見解を出せば国民の見る目も変わってくると思うが…」
 日本学術会議は「東日本大震災復興支援委員会」の時代から原発の処理水を汚染水と呼びつづけてきた。
 日本政府に設置されている「日本学術会議」が汚染水≠ニ呼んでいる原発処理水を中国や韓国が汚染水と呼んで、日本がこれに文句をつけてどこに説得性があるだろう。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)外相会議で中国外交のトップといわれる王毅共産党政治局員は、福島の原発処理水を「汚染水」と表現して挑発、林芳正外相は、科学的根拠にもとづいて反論したが、王毅からはせせら笑いが返ってきただけだった。
 処理水は科学的根拠に基づく安全な方法で放出されている。国際原子力機関(IAEA)も報告書で「国際的な安全基準に合致する」と結論づけている。
 ところが中国は、科学的根拠もあげずに処理水に「汚染水」とのレッテルを貼って「海洋環境の安全と人類の生命、健康にかかわる重大問題」と批判している。中国のこの政治的プロパガンダに、日本の漁業者らは風評被害に悩まされ、大きな被害をこうむっている。
 にもかかわらず、福島の処理水の海洋放出について、日本学術会議が提言や見解を出していないのはどういうわけか。
 この深層構造をさぐるには、話はすこし飛躍するが、戦後のGHQ支配体制をふり返る必要がある。

 ●GHQが産みの親だった「日本弁護士連合会」と「日本学術会議」
 終戦翌年の昭和21年、総選挙で自由党が勝利して、首相になる予定だった党首の鳩山一郎が、GHQの公職追放令によって、突如、政界から追放されるという衝撃的な事件がおきた。
 鳩山に代わって、首相になったのが親米派の吉田茂で、戦後日本は、防衛はアメリカまかせにして、経済大国をめざすという「吉田ドクトリン」のもとですすめられてゆくことになる。
 公職追放令を発した3年後の1949年、GHQは、公職追放や神道指令で壊滅させた日本精神を根絶やしにするべく「日本弁護士連合会」と「日本学術会議」の2団体を設立させた。
 GHQの目的は、日本の軍事力を徹底的に排除して、2度とアメリカら自由主義陣営の国に歯向かう気概のない国にすることで、それには、マスコミなどへの検閲機関を強化するほか、世論形成に大きな力をもつ学者や弁護士などの知的機関をGHQの影響下におくことだった。
 それが4000人の日本人が勤務していたGHQの検閲機関「CCD」(民間検閲支隊)とハリー・ケリー(GHQ科学技術課部長)がつくった「科学渉外連絡会」である。
 戦後日本の思想環境は、すべてGHQによってつくりあげられたのである。
 日本学術会議は、物理学者だったケリー博士の功績をたたえるが、ケリーは軍人でもあって、軍務に従って、学士院、学術研究会議(日本学術会議)、日本学術振興会の3団体をGHQの左翼路線に従わせただけである。
 事実、日本学術会議法は、(科学技術行政協議会要綱)は、日本共産党系列の民主主義科学者協会と人文科学有志、科学渉外連絡会三者の折衷案で、日本国家のためには働かないという売国的テーゼはこのときすでにできあがっていたのである。
 1949年の中華人民共和国成立以前、GHQがとっていたのは、占領政策というよりも事実上の共産化政策で、その最大の成果が憲法だった。
 占領基本法だったGHQ憲法と教育勅語に代わる教育基本法、新聞マスコミの売国思想、そして「日本弁護士連合会」と「日本学術会議」の反日・反国家的な綱領が戦後日本の精神となったが、これらはすべて、GHQの日本弱体化戦略≠ゥらでてきたものだったのである。

 ●反日活動家をリベラルともちあげる日本のメディア
 ところが、GHQによる日本赤化計画は、突如、終焉を迎える。
 中国革命や朝鮮戦争の勃発で、日本の民主化・非軍事化をすすめていたアメリカが左翼路線(民主化)から防共路線(保守化)へと逆コース≠ヨ転じるのである。
 日本の民主化・非軍事化を進めていたGHQも再軍備や共産主義パージへと舵を切ることになったが、この方針転換によって、占領政策が覆い隠していた民主主義と共産主義の対立があらかさまになった。
 中華人民共和国成立(1949年)と朝鮮戦争(1950年)を目の当たりにしたアメリカでマッカーシー旋風(「赤狩り」)が吹き荒れたのは当然のなりゆきで、アメリカは、共和党の反共運動によって、民主主義と共産主義が別物であることを思い知らされたのである。
 ところが、日本では、現在にいたるまで、民主主義と共産主義が混同されたままで、日本共産党らの野党は、民主主義によるブルジョワ革命と共産主義による暴力革命の二段階革命論≠奉っている。
 ブルジョワ革命(市民革命)派がリベラルで、暴力革命(人民独裁)派が共産主義である。
 福島原発のALPS処理水の海洋放出について、日本国内でも「処理水」を「汚染水」と表現して、放出に反対する日本共産党の小池晃書記局長のような人々がいる。一部メディアがかれらを『リベラル』と表現するが、まちがえてはならないのは、かれらは、風評被害をまきちらす扇動家であって、リベラルではない。さらに「汚染水」という表現を使う連中は、リベラルでも左派でもなく、悪質な反日主義者でしかない。
 反日活動家をリベラルともちあげる一部メディアは、無知のきわみで、アメリカの民主党と共和党をたとえにあげるなら、民主党がリベラルなら共和党はリパブリカンで、ともに、社会自由主義を志向する思想である。リベラルにもリパブリカンにも祖国を貶めて他国の利益に与しようなどという汚い根性はみじんもない。

 ●4兆円の研究開発費を牛耳る日本学術会議
 日本のマスコミや一部の高級官僚、日本学術会議や日本弁護士連合会が反日的なのは、GHQの「日本弱体化政策」の産物だったからで、かれらの脳ミソのなかに祖国や国体、同胞という観念はほとんどゼロである。
 日本弁護士連合会は、オウム真理教が、史上最悪の犯罪集団と判明したのちにも、破防法適用棄却決定にたいして「破防法適用が回避されたことを心から歓迎する/1997年/日本弁護士連合会会長/鬼追明夫」という声明をだしている。
 犯罪者や犯罪の弁護を職業とする弁護士連合会は反社(反社会的勢力)≠セったことがこのことからも明らかだが、日本学術会議と同様、社会の木鐸のような顔をしてふんぞりかえっている。
 ちなみに、日本弁護士会は、福島原発の処理水を汚染水≠ニ呼称しており岸田首相への意見書では処理水といいかえているが、海洋放出にはつよく反対している。
 80万人といわれる日本の研究者(大学教員55万人)のうち4兆円の研究予算配分に影響力(「マスタープラン」の策定など)をもっているのは、ほんの一握りで、それが会員210人で任期6年の日本学術会議である。
 10億円の維持費がついているが、そんなものは屁のようなもので、狙っているのは予算4兆円の管理で、左翼が多い文部科学省は、ほとんど、日本学術会議の言いなりである。
 元政府高官はこう嘆く。「日本学術会議は安全保障分野への予算配分についてきわめて慎重で、それが、防衛装備の技術開発で中国に後れを取っている最大の要因になっている」

 ●祖国の防衛に反対して、中韓の軍産複合体に貢献
 菅義偉前首相は、2020年、6人の反日的学者「日本学術会議」の任命を拒否して、日本中のマスコミが狂ったように大騒ぎしたが、その数年前、日本学術会議は、中韓に接近して「合意書」や「協力覚書」に署名している。
 2014年、日本学術会議は、韓国行政研究院と科学協力に関する合意書に署名したのにつづいて、2015年、中国科学技術協会と協力関係をつよめることを目的とした覚書を交わしている。
 軍産複合体は、銃器や航空機、戦車、艦船にかぎった話ではなく、それらに関連する科学技術分野や建築、家電機器、自動車、医薬品・食料品など多岐にわたる。
 アメリカのみならず中韓も軍産複合体で、したがって、技術協力をおこなえばそれが軍備・防衛産業につながることは目に見えている。
 日本学術会議は、昭和25年と42年に「戦争を目的とする科学研究は絶対におこなわない」とする声明をまとめ、平成29年には、声明継承を宣言している。
 日本学術会議のこの姿勢が日本の基礎研究にまでおよんで、若手の研究者の起訴研究が中止させられたという日本の学界に山ほどある。将来、軍事産業に転用されるおそれがあるという理由からで、それが、防衛力にかんする研究や日本の科学研究の大きな障害になっている。
 その日本学術会議が中韓の軍産複合体に協力するということは、日本列島にむけられる極超音速ミサイルに日本の科学技術が利用されかねないということでもあって、任命拒否や民営化どころか、解散命令をだしても当然である。
 福島原発処理水の問題から、戦後、アメリカが植えこんでいった日本弱体化政策の害毒が、各分野から、一気にあふれだしてきた観があるのである。
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2023年09月03日

「自由主義」と「民主主義」の相克と調和18

 ●日本の数十倍の核処理水を放流している中国と韓国
 福島第一原発処理水の海洋放出にたいして、中国政府と韓国の野党が激しく反発している。
 中国も韓国も、一応、近代科学力を有する文明国家なので、福島第一原発の処理水が放射性物質の国際基準値を大きく下回っているという事実を認識できないはずはない。
 福島第一原発の場合、事故後、放射性物質の基準値が10倍にはねあがって約22兆ベクレルになったが、それでも、中国の五分の一、韓国の半分以下でしかない。中国や韓国が日本の数字に騒ぎまわっては、かえって、じぶんたちの墓穴をほることにならないか。
 中韓は、日本が、ALPUSで処理する以前の汚染水をいっしょに流しているという非難をくり返すが、かれらは、どうやら、ALPUSを機械や設備などと思っているようだ。ALPUSは、放射性物質を除去するシステムのことで、ALPUS(アドバンスド リクイド プロセッシング システム)は、そのシステムの名称の頭文字である。
 ALPUS処理水は、放射性物質がふくまれる汚染水を薬液による沈殿処理や吸着材による吸着など化学的・物理的性質を利用した処理方法で、トリチウムを除く62種類の放射性物質を規制基準以下まで浄化処理した水のことである。
 トリチウム(三重水素)が除去できないのは、無害な自然物質に還元されてしまうからで、自然界で、三重水素は一般的な物質である。日本で除去技術がほぼ完成しているが、国が補助金をださなかったのは、除去の必要がないからだった。
 それでも日本は、トリチウムの安全基準の40分の1(WHO飲料水基準の約7分の1)まで海水で薄めて放出している。
 日本の福島第一原発で検出された数値は約22兆ベクレルだが、各国の原発関連施設から排出される処理水のベクレルは以下のとおりである。
 英国・セラフィールド原発 約1624兆ベクレル
 カナダ・ブルース原発 約756兆ベクレル
 カナダ・ダーリントン原発 495兆ベクレル
 英国・ヘイシャム原発 約396兆ベクレル
 中国・泰山第三原発 約143兆ベクレル
 中国・陽江原発 約112兆ベクレル
 中国・寧徳原発 約102兆ベクレル
 中国・紅沿河原発 約90兆ベクレル
 米国・ディアプロ原発 約82兆ベクレル
 韓国・ウォルソン原発 約71兆ベクレル
 中国・福清原発 約52兆ベクレル
 韓国・古里原発 約50兆ベクトル
 仏国・トリカスタン原発 約42兆ベクレル
 原発のトリチウム排出量は大きくないが、再処理施設ではケタ違いで、フランスのラ・アーグ再処理施設では、1京1624兆ベクレルものトリチウムが空中放出あるいは海洋放流されている。
 これまで、トリチウム排出が大きな問題になってこなかったのは、人体への影響が確認されなかったからで、原子力施設から排出されるトリチウムと自然界に存在する放射性物質とのあいだに構造的なちがいはない。
 したがって、中国や韓国も、これまで、トリチウムの有害性を語ったことはいちどもなかった。
 
 ●中・韓の論理破綻と妄想、狂気の沙汰
 中国や韓国が福島第一原発の処理水を非難するのは、日本政府が国際原子力機関(IAEA)をダマして、高濃度の放射能汚染水を海に流しているというデマを信じているからで、日本でも、共産党の小池晃書記局長や山本太郎のほか立憲民主党の一部がこのデマの発信元になっている。
 中国は、日本海産物の全面禁輸をきめたが、たちまち、塩の買い占め騒動がおきたほか、中国の水産業も壊滅状態に陥った。
 塩を買い占めしたのは、猛毒の日本の原発処理水が海流に乗って中国近海へ侵入してくると中国の塩まで汚染されると信じこんでいるからで、この論理に従えば、中国沿岸・近海での漁業は不可能になる。
 中国政府は、中国人は韓国人とちがって理性的なので、こんなばかな話は信じてはならないとアナウンスしているが、日本海産物の全面禁輸をしておいてそれはないだろう。
 一方、韓国では、野党やマスコミ、学会こぞってこのばかばかしい話を、連日、吹聴してまわっている。
 韓国与党「国民の力」は「日本の処理水を飲むよりうんちを食べたほうがマシ」などと発言した「共に民主党」の3人の国会議員を品位維持義務に違反したとして、国会倫理特別委員会に提訴した。
「共に民主党」の支持率が急落したのは当然だが、一方、日本の処理水放流に理解をしめした尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(「国民の力」)の支持率に変化はなかった。
 韓国の最大野党「共に民主党」や労組、新聞マスコミは、親北朝鮮で、与党「国民の力」の打倒に血眼だが、韓国地検は「共に民主党」の李在明代表が北朝鮮への不正送金にかかわっていたとして出頭命令をだしている。北朝鮮とツーカーの仲で、ほとんど一心同体の韓国左派が、検察に叩かれて、衰退すれば、韓国も付き合いやすくなるのである。
 韓国もようやく国家理性にめざめて、反日感情と現実政治の仕分けができるようになりかけているが、日本政府は、この流れをささえてゆくべきだろう。
 
 ●中国共産党幹部1200兆円の不正蓄積問題と日本の処理水の関連
 中国の処理水放流への反発は、韓国とはちがって、政治目的がはっきりしている。
 国内に50基以上あって、現在、30基近く建造中の原発は、いずれも100兆ベクレル以上のトリチウム垂れ流し構造である。
 いったいどんな神経で22兆ベクレルの日本の処理水放流を非難するのか。
 しかも、福島沖の太平洋に海流が日本海や南シナ海、東シナ海の合流するのは3〜10年後で、そのとき、日本の処理水の濃度は、ゼロに下がっている。
 中国政府(中国共産党)がそんなことを知らないはずはないが、中国共産党にとって、じつは、日本の処理水放流は、国民の目を内政から逸らさせるネタでしかなかった。
 というのも、中国経済は、現在、建国以来の国家的危機に瀕しているからである。
 中国不動産大手の恒大集団や碧桂園のデフォルトが象徴する不動産バブルの崩壊は、日本でいう総量規制である「三条紅線」が原因といわれる。
 だが、その根本原因は、そんななまやさしいものではない。
 もっと根が深く、中国のバブル崩壊の原因となったのは、いままで隠されてきた浮財(中国共産党幹部の蓄積資産)*竭閧ノある。
 中国は、革命をおこして、土地をすべて中国共産党が地主からとりあげた。
 それが1200兆円あって、すべて、共産党幹部(100人)に着服されてスイス銀行に預けられている。
 永世中立国のスイスがこの情報をアメリカに流したのは、反中国という旗幟を鮮明にしたからで、共産党員の氏名が公表されると、中国政府の実体である中国共産党は大パニックに陥る。
 日本のバブル崩壊は100兆円レベルだったが、中国のバブル崩壊は日本の十倍以上で、これは、中国共産党幹部が盗んだ1200兆円にほぼ匹敵する。
 この事実が中国国内で公になれば、共産党批判がおきるのはまちがいないので、中国共産党は、その火消しのために、日本の処理水放流への反発を国民に煽っているのである。
 中国経済がバブル崩壊しなかったのは、事実上、MMT(現代貨幣理論)にのってきたからで、ロシアが経済破綻もせずにウクライナ戦争を続けられるのも同じ原理である。
 MMT理論は、国家が存続するかぎり無限に自国通貨を発行でき、インフレ率を見て自由に支出をおこなえるというもので、税は、財源ではなく、通貨を流通させる仕組みにすぎない。
 中国の一帯一路は、MMT理論そのもので、無尽蔵に元紙幣を刷りまくっても、経済成長すれば、マネーサプライと経済力、購買力がささえあって経済は永続的に発展する。
 その中国経済がつまずいたのが、資金枯渇と実体経済(雇用)の衰弱だった。
 中国のバブル崩壊は、日本のバブル崩壊の比ではなく、この危機をのりこえるために中国共産党は、台湾侵攻という劇薬に手をのばすだろう。
 次回は、この問題をさらに煮詰めて、台湾危機や、中国と韓国野党の対日謀略の実態を暴いていこう。
posted by office YM at 16:14| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする