●憲法と安保条約 日米地位協定の三位一体からできている日本の国防体制
日本の外交にとって 日米関係は大きなテーマである。とりわけ トランプが大統領になった場合、アメリカがどんな要求をつきつけてくるか注目される。
識者は日米地位協定の改正を主張する。
だが、日米地位協定は 安保条約に組み込まれている。
したがって 安保条約から切り離して議論したところで 意味がない。
石原慎太郎は 横田空域をテーマに しばしば 日米地位協定に言及した。
当時、石原さんの『NOと言える日本』が空前の大ヒットとなった。
これにたいしてわたしは『「NOと言える日本」への反論』を書いて批判した。
戦後から吉田茂の「対米従属」という甘えの構造にどっぷり浸って どうして「NOと言える日本」などといえるのか。
当時、防衛費は1パーセント、いまは2パーセントで ようやく 国際社会からみとめられるようになった。
他国から攻められたらどうするかというアンケートにたいして たたかうと応えたのは 日本では わずか13パーセントだった。ほかの国は 軒並み70〜80パーセントで、日本は アンケート参加国のなかで最下位だった。
日本で13パーセントしか じぶんの国をまもろうとしないのは 憲法9条で 軍事力をもつことを禁止しているからで 日本人は たたかわなくても平和はまもられると思っている。
その絶対平和主義の日本に アメリカは 7つの基地をもっている。
基地内には管理権や裁判権がおよばない。基地内でなにがおきているのかわからない。米軍基地は 治外法権で アメリカ領土だからである。
アメリカのエラい人は 羽田や成田ではなく 横田飛行場に降り立つ。
主権国家として これは 恥ずべきことである。
横田飛行場について 日本人が知らないことが 案外 多い。
横田空域も 新潟県から東京西部、伊豆半島、長野県まで広がっている。
現在、この空域は 米軍が管制業務をおこなっている。
占領状態の体制が いまもなお 残っているのである。
だが、日本人は なにも言わない。なかでもひどいのは 外務省の役人で 横田空域が 日本の防衛に役立っているという。
中国も 弾道が横田空域を通過する地域に ミサイルをむけることはできない。
横田空域を侵犯すれば アメリカにケンカを売ったことになるからというのである。
理屈はそうでも、他人のフンドシで相撲をとるとかこのことで 情けない話である。
戦後、80年 日本人は いったいなにを考えてきたのか。
大学教授ら日本の識者は さかんに イタリアやドイツを見習えという。
イタリアもドイツも敗戦国家で 日本と同じように 敗戦国憲法を押しつけられた。イタリアやドイツにもアメリカの基地があるが 管理権や裁判権は自国でもっている。
米軍基地に自国の法律を運用して 基地内に自由に立ち入り検査ができるほか イタリアでは地方自治法まで適用している。
イタリアやドイツを見習えというというが かれらは 自国の主権をひろげる努力を重ねてきた。
イタリアは憲法を15回 ドイツは憲法を67回改訂している。
そういう努力をかさねてかれらは 自国の主権を確立してきた。
わが国はそういう努力をしてきたろうか。
吉田茂は 戦後 いいじゃないかタダで護ってくれるというのだがからこんな安い話はないといって 対米依存体質をつくりあげた。
それが50年安保条約で 岸が60安保で これを日本に有利に改正させた。
だが、現在の安保も アメリカが日本を護る義務はあっても 日本にはアメリカを護る義務はない。
安倍の安保法制によって 片務性は部分的に解消されたが 安保条約に 日本がアメリカを護るという義務は謳われていない。
日本は これまで 日米安保の片務性を変える努力をしてこなかった。
そして いまだに 自衛隊を国軍としてみとめていない。
日本は 世界の10位以内にはいる軍事力をもっている。
国際法が自衛権をみとめているからである。
自衛隊に存在根拠を どの国にも自衛権があるとみとめた国連憲章51条に依拠して はたして主権国家といえるだろうか。
日本は 国際法に反する憲法9条を 平和主義だといってありがたがっている。
識者は 日米地位協定を改正すべきという。
だが、それより先に 日米地位協定を変えてもいいような体制をつくってゆく方が先ではないか。
ようやく軍事予算が2パーセントになって 敵基地攻撃能力をもつミサイルをもって 日本が一人前の国家になろうとしている。
憲法と日米地位協定、日米安保条約は 三位一体である。
憲法を変える勇気をもつこと それがなければ 日本は なにもかわらない。
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