防衛庁を「省」に昇格させる防衛庁設置法改正案などの関連法案が、27日午後の衆院本会議で、審議入りした。法案が今国会で成立すれば来年1月から防衛省が発足する。
遅きに失した感は否めないが、これで日本も、ふつうの国に一歩近づく。
それにしても、昭和29年に防衛庁が設置されて以来、省昇格が52年間放置されてきたのは、異常の一言につきる。
昭和39年、省移行法案が閣議決定されたが、国会に提出されなかった。社会党などが反対したためだ。平成9年の政府の行政改革会議最終報告は「政治の場で議論すべき課題」と省昇格を見送った。平成13年には旧保守党が議員立法として「防衛省設置法案」を提出したが、15年の衆院解散により、廃案となっている。
その後、自民、公明、保守3党が「有事法の成立後は防衛庁の省昇格を最優先課題」と合意したが、有事法制の成立後も、放置されてきた。
昨年末、自公両党の幹事長が省昇格法案を今通常国会に提出、成立させると合意したものの、公明党内から異論がでて、合意が危うくなっていたところに民主党が、防衛施設庁の談合事件がらみで、審議を拒んだ。
党内に賛否両論を抱える民主党が、防衛庁の省昇格法案審議を社民党とともに、今回、欠席したのは、19日の沖縄県知事選までは野党共闘を優先したい考えがあるからだろうが、小沢一郎代表が法案自体に反対していないとされる以上、無様な対応である。
法案がとおれば、内閣府の外局だった防衛庁が、独立した「防衛省」に格上げとなって、機能が一般省庁並みになる。
諸外国では、国防を担当する部門が省庁のトップだが、日本では、環境省にもおよばない庁だったため、事あるごとに、臨時措置法をつくって対処しなければならなかった。平和ボケというしかない。
現在、内閣府の外局と位置付けられている防衛庁の主任大臣は内閣府の長である首相が務めている。このため、予算要求や閣議にかけることが必要な法案の提出などは、内閣府を通じて閣議の開催を求める手続きを取らねばならない。
これでは、とうてい、危機に迅速に対処できない。
法案は、この部分を改正して、内閣府の外局である防衛庁を他の中央官庁と同格に引き上げ、国の防衛に関する重要案件について、閣議の開催や法律の制定を求める権限が「防衛相」にあたえられる。
海上警備行動などを発令する際も、内閣府をとおさずに、閣議の開催を要求できるようになるなど、事務手続きが簡素化されることで迅速な対応が可能になる。
今回の法案のもう一つの柱は、自衛隊法の雑則で「付随的任務」とされている国連平和維持活動(PKO)などの「本来任務」への格上げである。本来任務化は、自衛隊をいつでも海外へ派遣できるようにする恒久法の制定を意味する。恒久法では、これらの派遣は、国会の議論なしに可能となる。
また、「内閣府の長」としての首相の防衛に関する権限・任務の一部が「防衛相」に移譲され、他の閣僚同様に防衛相が閣議開催や予算執行をもとめることができる。
今年の防衛白書は昇格を目指す理由に@防衛トップを「防衛相」とすることで責任の所在が明確になるA予算案や法令案を内閣府経由でなく、閣議に直接かけられるようになる、ことなどを掲げているが、今回の法案は、その要求をそのままうけいれた格好だ。
「長官」が「大臣」になり、予算案や法案を直接提案できるようになることの利点は、はかりしれない。



