2017年05月22日

 なぜ日本の政治は劣化したのか@

 ●日本の政界から大人物が消えた悲劇
 昨今、政治家の劣化がいちじるしい。
 中川俊直衆院議員が愛人とトラブルの末、警察のストーカー・リストに登録されるなどの不祥事をひきおこして、経済産業大臣政務官を辞任した。
 同議員は、妻子がいながら同愛人と重婚ウエディング≠ワでやってのけたハレンチな男で、こんな人物が政務官の肩書きをひっさげて日本の経済産業の行政責任を担っていたこと自体、心胆を寒からしめるのに十分なものがある。
 中川と同じ二回当選の宮崎謙介前衆院議員も、昨年、妻(金子恵美衆院議員/自民)の出産直前に不倫をスクープされ、議員を辞職している。
 議員2回生のスキャンダルはそれだけではない。
 豪雨被害視察のため訪れた岩手県で、おんぶされて水たまりを渡り、批判をうけると長靴業界の宣伝になった≠ニ軽口を叩いて復興大臣政務官の要職を棒にふった務台俊介衆院議員、公開株の購入を持ちかけて金銭トラブルをひきおこして離党した武藤貴也衆院議員ら2回生議員には、政治家の資格が疑われる者が目白押しなのだ。
 自民党の衆院2回生は107人で、党全体の3分の1以上を占める。
 民主党崩壊の余波にのって当選してきただけに、次期選挙では、民進+共産統一候補の前に三分の一が当選おぼつかないという。
 政治家の資質を問われているのは新人ばかりではない。
 復興大臣だった今村雅弘衆院議員が「原発事故の避難者が帰郷できないのは本人の責任」と発言して被災者の怒りを買った3週間後、こんどは、東日本大地震が東北だったからよかった≠ニ口走って、安倍首相が陳謝、これが事実上の罷免となった。

 政治が劣化した原因は、自民党にかんしていえば、3つあるだろう。
 一つは、政治改革(1994年)で、二つ目が公明党との選挙協力、三つめが議員の人間的な未熟さである。
 小沢が主導した政治改革の目玉は「小選挙区(比例代表並立制)」への移行と政党交付金の新設で、この二つの改革によって自民党の派閥政治がほぼ完全に崩壊した。
 日本の保守政治家は、自民党の派閥が育ててきたといってよい。
 中選挙区制時代の自民党は、派閥組織で、選挙区において競合する自民党の候補者は、それぞれ派閥の領袖から支援を受けてきた。
 自民党の公認候補は、中選挙区制では最大で5人になるが、候補者は、5大派閥(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘)に属して、選挙をたたかった。
 一方、派閥の領袖は、自派候補者の公認を獲得して、選挙資金や役職の世話をする代わりに総裁選挙の支持をもとめた。
 同一選挙区で複数が競合する中選挙区では、自民党候補者は、選挙区でライバルとの戦いに勝たねばならず、議員になっても、一頭地を抜いて、領袖から信頼をえなければ大臣などの要職につくことができなかった。
 派閥は、親分子分の関係だが、この仕組みが議員の力量や人格を鍛えるのに役立っていたのである。
 ところが、政治改革によって導入された小選挙区比例代表並立制や政治資金規正法の改正、政党助成法の導入によって、自由民主党の組織や行動様式ががらりと変わった。
 1選挙区から3〜5人の議員を選出する中選挙区制度では、候補者の調整から選挙資金の調達まで、派閥が大きな役割をはたした。
 だが、党員同士の競合がない小選挙区や各党が得票に応じて議席を得る比例代表制では、選挙の中心が政治資金を集配する党本部や総裁に移って、派閥が形骸化してゆく。
 中選挙区制においては、党の公認が得られなかった保守系の無所属候補者でも、当選すれば、自民党に入ることを許された。
 ところが、小選挙区制では、公認を得ずに出馬すること自体が不可能になる。
 公認をえずに立候補することが党にたいする裏切り行為で、また、公認がなければ1人区での当選がおぼつかない。
 これを最大限に利用したのが小泉劇場≠セった。
 小泉は郵政国会で、郵政民営化法案を成立させると公言し、法案不成立の場合、衆議院を解散して総選挙をおこなうと明言した。
 それが現実のものとなったのが、自由・公明が圧勝した郵政選挙(2005年)だった。
 このとき、小泉は、郵政民営化法案に反対した自民党の衆院議員を自民党として公認せず、郵政民営化賛成派候補を擁立した。
 犠牲となった一人が郵政民営化に反対の小林興起で、小泉は、選挙区(東京10区)に自民党公認候補として小池百合子を刺客≠ニしてさしむけて小林を葬った。
 この郵政選挙で、自民党は大勝利を収め、党の公認から外された多くの有力議員が議席を失い、アマチュアの代議士が大挙して国会の赤絨毯をふんだ。
 これが選挙の大勝にともなってうまれるチルドレン議員≠フはじまりである。
 小泉チルドレンにつづいて出現したのが小沢チルドレン、前出の不祥事連発の安倍チルドレン、そして、7月2日投開票の都議選では「都民ファーストの会」の小池チルドレンの大躍進が予想されている。
 もっとも、小池百合子自身が勝ち馬にのったチルドレン議員の優等生ということができる。
 細川護熙(日本新党)や小沢一郎(新進党)に擦り寄り、小泉潤一郎の信頼をえて初入閣(環境大臣)し、谷垣総裁の下では、女性が初となる党三役(総務会長)に就任、第1次安倍内閣では内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)に任命された。
 そして、都知事選では、小池ブームを演出して、自民党候補を一蹴した。
 小池は、夏の都議選で「小池新党」の候補を大量擁立して都議会のドン≠アと内田茂都議率いる都議会自民党を壊滅状態に追い込む決意だ。
 次回は権力操作だけでのしあがってきた小池パフォーマンスの危うさにふれよう

posted by office YM at 09:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする