2017年06月01日

 中国・北朝鮮発「アジア・中東危機」@

 ●世界の安全保障を脅かす中国の真珠の首飾り
 中国による「アジア・アフリカの植民地化」が着々と進行している。
 やりくちは巧妙で、世界から融資トラップ(罠)≠ニ呼ばれるほどである。
 6〜7%の金利で巨額融資と巨大プロジェクトをもちかけ、中国側が工事を丸ごと請け負い、のちに施設全体を乗っ取るというもので、当事国が高利貸し並みの巨額債務を返済できなくなるのは、完成した施設が、現地の産業や雇用になんら貢献しない代物ばかりだからである。
 返済に窮すると、施設株式の80%譲渡や長期(99年)貸与を求め、やむなく応じると、施設を事前の計画どおり、軍港やレーダー基地に転用するのである。
 標的になったのは、インド洋のスリランカやモルディブ、アフリカ北東部のジブチから南大西洋のナミビアまでの国々で、ナミビアの新聞は、中国政府の非公式文書を引用して、中国が18の海洋国家に海軍の拠点(基地)を設ける計画と報じた。
 18か国のなかには、パキスタン、スリランカ、ミャンマー、ジブチ、イエメン、オマーン、ケニア、タンザニア、モザンビーク、セイシェル、マダガスカルがふくまれている。
 中国は、これらの18カ国のすべてで、港湾や空港、道路、鉄道、鉱山などの建設・開発に大規模な投資をおこなっている。
 その見返りとして、これらの施設を中国が軍事的に利用できるからくりになっているのはいうまでもない。

 中国はこの戦略を真珠の首飾り≠ニ称している。
 アラビア海からベンガル湾に至るインド洋海域にいつでも寄港できる外港を用意しておこうという戦略で、宿敵インドを封じ込め、制海権をもつ米海軍を牽制して、南シナ海への唯一のルートであるマラッカ海峡(マレーシアとインドネシア国境)が封鎖されても、原油を中国に運ぶ拠点港を確保しようというのである。
真珠の首飾り≠フ4大港湾が、@グワダル(パキスタン)、Aハンバントタ(スリランカ)、Bチッタゴン(バングラデシュ)、Cシットウェ(ミャンマー)である。
 @パキスタンのグワダルを外港化できれば、中国は、インド洋を航海することなく、パキスタン国内の鉄道や道路、パイプラインを使って、中国の内陸部に原油を輸送できる。
 Aスリランカのハンバントタ港は、タンカー航行が困難なポーク海峡を避けるシーラインの要衝で、ハンバントタを外港化できれば、中国軍はアラビア海とベンガル湾の両方ににらみがきかせることができる。
 Bバングラデシュの第二の都市チッタゴンの周辺に外港を確保できれば、中国は、マラッカ海峡を経由することなく、ミャンマーのマンダレー経由で中東やアフリカからの資源を内陸部に輸送することができる。
 Cミャンマーのシットウェ港は、軍事政権の時代から、武器輸出などで中国とつながりが深く、なかでも、1994年から借りている大ココ、小ココという2つの島には高性能の偵察・電子情報施設をもち、7つの海軍基地は、ミャンマーが持っていない大型艦艇が入港できるように整備されている。

真珠の首飾り≠フ手法は、徹底したマネー作戦で、ワイロから当事国の経済破壊まで、援助や経済協力とは遠くかけ離れた経済侵略、植民地化にほかならない。
 中国マネーによって、世界の最貧国から一変したのがエチオピアである。
 中国政府が工費をすべて負担した国内最大のアフリカ連合本部ビルを筆頭に中国資本による建築ラッシュがおき、首都・アジスアベバを走る新型の電車も中国の国有企業によって造られたものである。
 といっても、エチオピアの国力が増したのではない。
 中国資本といっしょにはいってきた中国人が、エチオピアを乗っ取ったのである。
 きっかけは、中国が、アデン湾(ソマリア沖)と紅海に接するジブチ共和国ですすめている海軍基地(武器庫や艦艇・ヘリの整備施設、海軍陸戦隊や特殊部隊の拠点)建設だった。
 米軍は、ジブチにレモニエ基地と港湾のオボック基地の2つを持っている。
 ところが、親米だったはずのゲレ大統領が、突如、米軍をオボック基地から追い出し、代わりに中国軍の駐留をみとめたのである。
 米軍はジブチに4千5百人が駐屯し、基地使用料として年間6300万ドルを支払っている。
 一方、中国軍は、1万人を駐屯させ、ジブチ政府に1億ドルの基地使用料を払うほか、ジブチの港湾改良事業に4億ドルを投資するという。
 ジブチは、古くから強国で、隣接する内陸のエチオピアに物資を運ぶ港湾として機能してきた。
 中国は、ジブチとエチオピアをむすぶ鉄道を高速化する事業に30億ドルを投資する予定で、エチオピアの繁栄はその恩恵だったのである。
 ジブチの米軍基地はアフリカ最大の反テロ戦争の拠点で、アルカイダや過激派組織ISの情報収集のほか、テロの拠点となっているイエメンやソマリアに無人偵察機飛ばしている基地である。
 アメリカは、やむなく、基地使用料を倍額にするというが、中国の真珠の首飾り$略は、世界の安全保障を破壊しながらやむことなく拡張しつづけている。
 次回以降、中国の暴走と身勝手が、北朝鮮やイラン、サウジアラビアやミャンマー、パキスタンをまきこんだアジア・中東危機へ発展しかねない危惧についてのべよう。
posted by office YM at 08:33| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする