2020年03月02日

日本主義の復活と近代主義の終焉B

 ●旧皇族の皇族復帰に反対する朝日・毎日
 天皇家という呼称は、天皇の唯一の血筋という誤解を招くおそれがある。
 実際は、一つの宮家(皇族)で、皇統という大樹からのびた一本の枝である。
 今上天皇(第126代天皇徳仁)は、世襲四親王家(伏見宮・桂宮・有栖川宮・閑院宮)のうちの閑院宮という系統で、始祖は、第113代東山天皇の第六皇子直仁親王である。
 閑院宮の第2代目当主典仁親王の第六男子、兼仁親王が第119代光格天皇として践祚して以来、現在の皇室まで、直系(親子関係)よって、皇位が継承されてきた。
 閑院宮は、1947年(昭和22年)に皇籍離脱したが、一方で、光格天皇以来、今上天皇まで、直系7代にわたって、皇統を継承してきた。
 現在、残っている宮家は、秋篠宮、常陸宮、三笠宮、高円宮の4家である。
 戦後、GHQが11宮家を皇籍離脱させたのは、天皇を戦犯として裁くつもりだった連合軍に皇室を存続させる意図はなかったからである。
 したがって、サンフランシスコ講和条約締結時に、憲法と教育基本法、11宮家の皇籍離脱を撤廃しておくべきであった。
 ところが、吉田茂首相は、占領体制のなかで経済を復興させる吉田ドクトリンを掲げて、政治向きのことにはなにも手をつけなかった。
 そのしっぺ返しが、皇統の危機で、小泉純一郎元首相の「皇室典範に関する有識者会議」(2005年/平成17年)が女性・女系天皇を容認する報告書を提出するにいたって、国体の万世不変の原則たる万世一系が危機に瀕した。
 その翌年、秋篠宮文仁親王と同妃紀子さまのあいだに悠仁親王がお生まれになって、皇統の危機は、一応、先延ばしになったが、危機の構造が解消されたわけではない。
 将来、悠仁(ひさひと)天皇が男子に恵まれなかった場合、宮家断絶という不測の事態によって、再び、皇統断絶、皇室消滅の危機が生じることになる。
 皇祖皇宗が、民間人のだれとも知れない祖先にすりかわる女系天皇は、皇統の否定で、ここでは論外である。
「九条の会」の呼びかけ人の一人で護憲派の理論的支柱である奥平康弘(東京大学名誉教授)が、月刊『世界』(平成16年8月号)に寄稿した論文によると女系天皇論者は、女系天皇を手にするや、万世一系の伝統から外れた天皇には正統性がないと主張して、今度は一転して、皇室制度を廃止にもっていこうとすると腹だとみずから告白している。

 そのときに使われる口実が男女平等≠ナある。
 ここで、伝統主義と近代主義の衝突がおきるのである。
 自民党の二階俊博幹事長は「男女平等、民主主義を念頭におけばおのずから結論は出ると」と、女系天皇について理解をしめしたが、新聞世論も80%が女系天皇を支持する。
 もっとも、このうち、半数以上が女系・女性天皇のちがいを理解していない(産経・FNN合同世論調査)ことがわかっているが、朝日は、小泉政権下の有識者会議の提言をもちあげ、一方、毎日は「前近代まで確固とした皇位継承の原則がなかった」という珍学説までくりだして、女系天皇を推す。
 皇位継承の原則がなかったというのは、第26代継体天皇(先代武烈天皇と10親等差)、第100代後小松天皇(先代後亀山天皇と11親等差)、第119代光格天皇(先代後桃園天皇と7親等差)などをさすのであろうが、親等というのは、男系女系をふくめた家系図における考え方である。
 父母と子は1親等、祖父母や兄弟姉妹は2親等、一代を経るごとに1親等がくわわるが、皇統は、親等で数えることはできない。
 神武天皇の血(遺伝子)をひきついているかいないかだけで、是か非だけである。
 大伴金村が、越前に住んでいた応神天皇5世にあたる継体天皇を探し出したのは、親等ではなく、神武天皇の血統を継いでいるかいないかだけで、それが万世一系である。
 女系天皇を推しているのは、皇室打倒を掲げていた共産党と、かつて皇室を「生理的にいやだと思わない? ああいう人達というか、ああいうシステム、ああいう一族がいる近くで同じ空気を吸いたくない」と語った辻元清美が幹事長代行を務める立憲民主党で、両党の背中を押しているのが朝日と毎日である。
 秋篠宮文仁親王と悠仁親王という皇位継承者がいるのに皇室典範を改正してまで「女系天皇を誕生させよう」というのは、魂胆があるからで、女系天皇を実現させて、そのあとで、皇室を転覆させようという二段階革命である。
 明治天皇の玄孫にあたる作家の竹田恒泰は、現在の皇統の危機をつくったのは、11宮家を皇籍離脱させたGHQと断じる。
 皇籍離脱した11宮家は、伏見宮、北白川宮、梨本宮、閑院宮、山階宮、東伏見宮の6宮家と賀陽宮、久邇宮、朝香宮、東久邇宮、竹田宮の5宮家である。
 前の6宮家は男子がなく断絶となったが、あとの5宮家には男子に恵まれた。
 賀陽宮(未婚2人)、久邇宮(未婚1人・既婚1人)、朝香宮(既婚1人)、東久邇宮(未婚5人・既婚5人)、竹田宮(未婚2人・既婚4人)と20人をこえており、今後、子どもの人数はさらにふえる。
 旧皇族をふくめると皇室には後嗣がゆたかなのである。
 旧宮家の皇籍復帰と養子制度の容認、旧皇族との婚姻に限定した女性宮家の創設は、皇室典範の改正によって、すみやかに実現できる。
 これに朝日・毎日らが猛烈に反発して、世論を煽るはずで、11宮家の皇籍復帰について、一度、民間人になったひとが皇族に復帰することは国民感情がゆるさないと力説する。
 民間人が后妃となった美智子様、雅子様、紀子様が皇族として国民に仰がれて、一方、旧皇族が皇族に復帰して国民が違和感を覚えるという論は、失当である。
 皇室の存続は、11宮家の皇籍復帰をめぐる朝日・毎日らの近代主義と伝統を重く見る日本主義のたたかいにかかっているのである。
posted by office YM at 11:04| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする