●日本の数十倍の核処理水を放流している中国と韓国
福島第一原発処理水の海洋放出にたいして、中国政府と韓国の野党が激しく反発している。
中国も韓国も、一応、近代科学力を有する文明国家なので、福島第一原発の処理水が放射性物質の国際基準値を大きく下回っているという事実を認識できないはずはない。
福島第一原発の場合、事故後、放射性物質の基準値が10倍にはねあがって約22兆ベクレルになったが、それでも、中国の五分の一、韓国の半分以下でしかない。中国や韓国が日本の数字に騒ぎまわっては、かえって、じぶんたちの墓穴をほることにならないか。
中韓は、日本が、ALPUSで処理する以前の汚染水をいっしょに流しているという非難をくり返すが、かれらは、どうやら、ALPUSを機械や設備などと思っているようだ。ALPUSは、放射性物質を除去するシステムのことで、ALPUS(アドバンスド リクイド プロセッシング システム)は、そのシステムの名称の頭文字である。
ALPUS処理水は、放射性物質がふくまれる汚染水を薬液による沈殿処理や吸着材による吸着など化学的・物理的性質を利用した処理方法で、トリチウムを除く62種類の放射性物質を規制基準以下まで浄化処理した水のことである。
トリチウム(三重水素)が除去できないのは、無害な自然物質に還元されてしまうからで、自然界で、三重水素は一般的な物質である。日本で除去技術がほぼ完成しているが、国が補助金をださなかったのは、除去の必要がないからだった。
それでも日本は、トリチウムの安全基準の40分の1(WHO飲料水基準の約7分の1)まで海水で薄めて放出している。
日本の福島第一原発で検出された数値は約22兆ベクレルだが、各国の原発関連施設から排出される処理水のベクレルは以下のとおりである。
英国・セラフィールド原発 約1624兆ベクレル
カナダ・ブルース原発 約756兆ベクレル
カナダ・ダーリントン原発 495兆ベクレル
英国・ヘイシャム原発 約396兆ベクレル
中国・泰山第三原発 約143兆ベクレル
中国・陽江原発 約112兆ベクレル
中国・寧徳原発 約102兆ベクレル
中国・紅沿河原発 約90兆ベクレル
米国・ディアプロ原発 約82兆ベクレル
韓国・ウォルソン原発 約71兆ベクレル
中国・福清原発 約52兆ベクレル
韓国・古里原発 約50兆ベクトル
仏国・トリカスタン原発 約42兆ベクレル
原発のトリチウム排出量は大きくないが、再処理施設ではケタ違いで、フランスのラ・アーグ再処理施設では、1京1624兆ベクレルものトリチウムが空中放出あるいは海洋放流されている。
これまで、トリチウム排出が大きな問題になってこなかったのは、人体への影響が確認されなかったからで、原子力施設から排出されるトリチウムと自然界に存在する放射性物質とのあいだに構造的なちがいはない。
したがって、中国や韓国も、これまで、トリチウムの有害性を語ったことはいちどもなかった。
●中・韓の論理破綻と妄想、狂気の沙汰
中国や韓国が福島第一原発の処理水を非難するのは、日本政府が国際原子力機関(IAEA)をダマして、高濃度の放射能汚染水を海に流しているというデマを信じているからで、日本でも、共産党の小池晃書記局長や山本太郎のほか立憲民主党の一部がこのデマの発信元になっている。
中国は、日本海産物の全面禁輸をきめたが、たちまち、塩の買い占め騒動がおきたほか、中国の水産業も壊滅状態に陥った。
塩を買い占めしたのは、猛毒の日本の原発処理水が海流に乗って中国近海へ侵入してくると中国の塩まで汚染されると信じこんでいるからで、この論理に従えば、中国沿岸・近海での漁業は不可能になる。
中国政府は、中国人は韓国人とちがって理性的なので、こんなばかな話は信じてはならないとアナウンスしているが、日本海産物の全面禁輸をしておいてそれはないだろう。
一方、韓国では、野党やマスコミ、学会こぞってこのばかばかしい話を、連日、吹聴してまわっている。
韓国与党「国民の力」は「日本の処理水を飲むよりうんちを食べたほうがマシ」などと発言した「共に民主党」の3人の国会議員を品位維持義務に違反したとして、国会倫理特別委員会に提訴した。
「共に民主党」の支持率が急落したのは当然だが、一方、日本の処理水放流に理解をしめした尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(「国民の力」)の支持率に変化はなかった。
韓国の最大野党「共に民主党」や労組、新聞マスコミは、親北朝鮮で、与党「国民の力」の打倒に血眼だが、韓国地検は「共に民主党」の李在明代表が北朝鮮への不正送金にかかわっていたとして出頭命令をだしている。北朝鮮とツーカーの仲で、ほとんど一心同体の韓国左派が、検察に叩かれて、衰退すれば、韓国も付き合いやすくなるのである。
韓国もようやく国家理性にめざめて、反日感情と現実政治の仕分けができるようになりかけているが、日本政府は、この流れをささえてゆくべきだろう。
●中国共産党幹部1200兆円の不正蓄積問題と日本の処理水の関連
中国の処理水放流への反発は、韓国とはちがって、政治目的がはっきりしている。
国内に50基以上あって、現在、30基近く建造中の原発は、いずれも100兆ベクレル以上のトリチウム垂れ流し構造である。
いったいどんな神経で22兆ベクレルの日本の処理水放流を非難するのか。
しかも、福島沖の太平洋に海流が日本海や南シナ海、東シナ海の合流するのは3〜10年後で、そのとき、日本の処理水の濃度は、ゼロに下がっている。
中国政府(中国共産党)がそんなことを知らないはずはないが、中国共産党にとって、じつは、日本の処理水放流は、国民の目を内政から逸らさせるネタでしかなかった。
というのも、中国経済は、現在、建国以来の国家的危機に瀕しているからである。
中国不動産大手の恒大集団や碧桂園のデフォルトが象徴する不動産バブルの崩壊は、日本でいう総量規制である「三条紅線」が原因といわれる。
だが、その根本原因は、そんななまやさしいものではない。
もっと根が深く、中国のバブル崩壊の原因となったのは、いままで隠されてきた浮財(中国共産党幹部の蓄積資産)*竭閧ノある。
中国は、革命をおこして、土地をすべて中国共産党が地主からとりあげた。
それが1200兆円あって、すべて、共産党幹部(100人)に着服されてスイス銀行に預けられている。
永世中立国のスイスがこの情報をアメリカに流したのは、反中国という旗幟を鮮明にしたからで、共産党員の氏名が公表されると、中国政府の実体である中国共産党は大パニックに陥る。
日本のバブル崩壊は100兆円レベルだったが、中国のバブル崩壊は日本の十倍以上で、これは、中国共産党幹部が盗んだ1200兆円にほぼ匹敵する。
この事実が中国国内で公になれば、共産党批判がおきるのはまちがいないので、中国共産党は、その火消しのために、日本の処理水放流への反発を国民に煽っているのである。
中国経済がバブル崩壊しなかったのは、事実上、MMT(現代貨幣理論)にのってきたからで、ロシアが経済破綻もせずにウクライナ戦争を続けられるのも同じ原理である。
MMT理論は、国家が存続するかぎり無限に自国通貨を発行でき、インフレ率を見て自由に支出をおこなえるというもので、税は、財源ではなく、通貨を流通させる仕組みにすぎない。
中国の一帯一路は、MMT理論そのもので、無尽蔵に元紙幣を刷りまくっても、経済成長すれば、マネーサプライと経済力、購買力がささえあって経済は永続的に発展する。
その中国経済がつまずいたのが、資金枯渇と実体経済(雇用)の衰弱だった。
中国のバブル崩壊は、日本のバブル崩壊の比ではなく、この危機をのりこえるために中国共産党は、台湾侵攻という劇薬に手をのばすだろう。
次回は、この問題をさらに煮詰めて、台湾危機や、中国と韓国野党の対日謀略の実態を暴いていこう。