2025年01月17日

 山本峯章チャンネル 第61回

 トランプ大統領の登場で懸念される世界の戦乱化と石破・岩屋でガタガタになる日米関係
 世界に大きな影響力をもつトランプ米大統領の政治がいよいよはじまる。
 トランプは ロシア・ウクライナ戦争をすぐに終わらせてみせるといった。
 だが そんなにかんたんにコトが運ぶわけはない。ロシアもウクライナも主権国家なので アメリカのいいなりにはなるはずなどない。
 第1次トランプ政権の折り 亀井静香が訪米して トランプに面談をもとめた。日米関係の展望について意見を交換する予定だった。トランプとの会談は実現しなかったが 亀井が帰国した直後 わたしは村上正邦や伊吹文明らとともに亀井を迎えて赤坂の料亭で懇談会をもった。
 その席上 同席していた『月刊日本』の南丘編集長から意見をもとめられた。
 トランプから圧力がかかった場合 日本はどう対処すべきかというのである。
 いいではないかとわたしは応えた。黒船が来たと思えばよいのである。明治維新を契機にした日本の近代化は黒船の来航からはじまっている。外圧が 時と場合によって 功を奏するケースもあるのである。
 防衛費のGDP比2%を安倍首相がいいだしていたら左翼や新聞マスコミが安倍叩きに狂奔して 防衛費のGDP比2%は実現しなかったろう。
 だが トランプの一言で防衛費の倍増がすんなりきまった。
 トランプの対日圧力によって 日本は つよくなったのである。
 といっても 最近のトランプ発言は常軌を逸している。
 メキシコ湾の呼び名をアメリカ湾に変更するという。韓国が日本海を東海と呼ぶようなもので歴史の改ざんである。さらにカナダをアメリカの51番目の州にするといったかと思えば デンマーク領のグリーンランドをアメリカ領にするといってのけた。
 現在 中国やロシアがグリーランドに接近しているが デンマークは アメリカがアラスカを入手した時代からグリーンランドを支配してきた。
 だが アメリカは 軍事力を使ってでもグリーンランドをとると宣言したばかりか パナマ運河も自国のものにするともいっている。
 これは断じて 民主主義国家の盟主としてとるべき態度ではない。
 中国やロシアがグリーンランドを狙っているのは 希少金属が豊富だからである。
 だが 資源を獲得するために他国侵略するのは 植民地主義や帝国主義時代の話ではなかったか。
 中国が台湾や南シナ海を軍事力で自国のものにしようとするのも ロシアがウクライナを軍事侵略しているのも権威主義国家だからである。
 ところが 民主主義国家のアメリカも 中ロと同じことをやろうとしている。
 アセアンのインドネシアが権威主義的な国家の連合体であるブリックス(BRICS)に加盟するというニュースがとびこんできた。
 ブリックスは ブラジルとロシア インド 中国 南アフリカの5か国のほかに昨年 エジプト エチオピア イラン サウジアラビア アラブ首長国連邦がくわわって10か国になったが これにインドネシアが さらにタイやマレーシアがつづく。
 ブリックスは 自由主義国家のG7に対抗する勢力で わたしは アセアンが非同盟・中立的な立場であるべきだといってきた。
 石破のアジアNATO構想が無謀だったのは 中国やアメリカという強国の影響下にあるアジアで 日本が独自でアジア安保を構築することなどできっこないからである。
 中国にもアメリカにもなびかないアセアンは 日本と友好的な関係をたもつ中立国として アジアの安定に寄与してきた。
 だが インドネシアやタイ マレーシアがブリックスに加盟すれば 非同盟と中立で保たれてきたアジアの安定があやしくなってくる。
 自由主義国家のG7に対抗してきたのが権威主義国家のブリックスで そのなかにロシアや中国 イランがふくまれている。これらの国は専制主義の国家で 民主主義国家とは相容れない。
 ブリックスに加盟したインドネシアは その一方 日本の自衛隊と共同演習をおこなう。アジアの安保体制はかならずしもフレームが固まっているわけではなかった。それだけにトランプのアジア戦略が いま 注目されている。
 中国に接近する石破内閣では 岩屋外相が中国で売国的な言動をくり返している。安倍さんが撤回させた村山談話を元の戦争謝罪へひっくり返してしまったばかりか 中学生の修学旅行を日中交流の形でやろうという話を勝手にまとめて得意になっている。
 中国人による日本人の殺傷事件やスパイ容疑による不当日本人の逮捕などの問題がなに一つ解決されておらず 福島原発の処理水を汚染水として 日本の海産物を輸入禁止にした処置もそのままである。
 中国が日本に接近してきたのは トランプが60%の関税をかけるなど中国にたいしてきびしいからで 外交戦略上 日本を手なずけておこうというわけだろう。
 したがって アメリカら中国とうまくいけば こんどは日本が両方から冷たくされる。 
 岩屋はダメな外務大臣だが その岩屋を高く評価しているのが石破である。
 石破はアメリカに威勢のよいことをいいたがるが それなら年次改革要望書をなんとかしてもらいたい。
 年次改革要望書は 日本の対米従属のテキストで 日本を支配しやすい体制にするためのアメリカの対日政策である。
 日本からも出すことができるが これまで日本は アメリカにいちどもこれをだしたことがない。石破はアメリカに強硬な姿勢をみせているが それならこの年次改革要望書をアメリカにつき返してもらいたい。
 口先だけではなく 行動に移してこその自主自尊だろう。

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posted by office YM at 23:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする