2007年08月14日

なぜ「保守」が「親米」へすりかわったのか(1)

 保守が、いつのまにか、親米と同義にあつかわれている。
 だが、本来、両者は、混同されるべきものではない。
 保守は、信条や思想で、一方の親米・反米は、路線や政策にすぎないからである。
 保守親米派というのは、イデオロギー的に右で、政治的に、アメリカべったりのことだが、かつての保守政治家は、けっして、そうではなかった。
 安保条約をはじめとする日米関係の根幹をおさえつつも、アメリカの内政干渉には応じないのが、保守政治家の誇りだった。
 その流れをかえたのが、田中角栄のロッキード事件だった。多角的資源外交、日中・日ソ自主外交などの反米路線をとった角栄に、アメリカが「ロッキード事件」という謀略をしかけ、日本の政・官・財とマスコミが、いっせいにこれにとびついて、角栄は、袋叩きにされて、失脚した。
 謀略や圧力で、かんたんに、日本をコントロールできることを知ったアメリカは、その後、次々と、日本へ圧力をかけてくるようになる。
 例をあげてみよう。
 ●プラザ合意(一九八五年)
 ●日米構造協議(一九八九年)
 ●規制緩和に関する宮澤・クリントン合意(一九九三年)
 ●第一回「年次改革要望書作成(二〇〇一年)
 外圧としてのグローバル化に対応して、日本国内では、構造改革という内圧が高まったが、これらはすべて、アメリカからの要望にもとづいている。
 日米構造協議で、日本の談合がやり玉にあがって以来、談合がきびしく取り締まられるようになり、「日本における規制撤廃、競争政策、透明性およびその他の政府慣行に関する日本政府への米国政府要望書」によって、会社法や会計法がかえられ、大店法など多くの法整備がすすめられた。
 最近、新聞紙面をにぎわした事件の多くも、根底に、アメリカがもとめる法改正がからんでいる。
 ●建築基準法改正(耐震強度偽装事件)
 ●法科大学院設置(裁判員制度)
 ●労働時間規制適用免除制度(残業代ゼロ合法化)
 なかでも、郵政民営化は、アメリカと十七回の協議(衆院郵政民営化特別委員会/H17年6月7日/竹中平蔵担当大臣答弁)をかさねてきめられたもので、日本は、アメリカの要請によって、伝統的な郵便・貯金・簡易保険制度を改変させられたのである。
 以下の構造改革も、すべて、アメリカの要請によるものである。
 ●独占禁止法改正・持株会社の解禁( 一九九七年 )
 ●大規模小売店舗法廃止、大規模小売店舗立地法成立、建築基準法改正(一九九八年)
 ●労働者派遣法の改正、人材派遣の自由化(一九九九年 )
 ●健康保険における本人の三割負担を導入(二〇〇二年 )
 ●郵政事業庁廃止、日本郵政公社成立 (二〇〇三年)
 ●法科大学院の設置と司法試験制度変更 (二〇〇四年)
 ●日本道路公団解散、分割民営化 (二〇〇五年)
 ●新会社法のなかの三角合併制度が施行(二〇〇七年)
 これで、親米保守の実態が、多少、明らかになったのではないか。
 かれらは、路線や政策ではなく、信条・思想として、親米をかかげ、問答無用に、アメリカのいうことに従おうというのである。
 これにたいして、同じ保守でも、反米を唱える人々がいる。だが、親米(アメリカに同調する)も反米(アメリカにノーという)も、是々非々としておくのが、政策としての対外関係で、親米や反米が、信条になっては、同じ穴のムジナということになる。
 保守は、情としての愛国と、理としての国益をおもんじる伝統的な精神で、親米や反米の感情と、切り離されていなければならない。
 愛国も国益も忘れて、親米に走っても、反米を叫んでも、保守主義者とはいえないのである。

posted by office YM at 18:54 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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