2008年03月17日

政治や法の次元から「外国人参政権」問題を語るなかれ

 ●基本的人権と参政権はかかわりがない
 三月十日、青瓦台(大統領府)で、太田昭宏・公明党代表と会談した韓国の李明博大統領は「在日同胞の長年にわたる要望なので、実現にむけて協力してほしい」と永住外国人の地方参政権をみとめるよう要請、太田代表は、協力を約束した。
 その直前、訪韓した民主党の小沢一郎代表も、李明博に「全力をあげて、外国人の参政権法案をとおす」と約束しているので、野党の民主党が提出する同法案に、与党の公明党が賛成して、外国人参政権法案が成立するという、究極のねじれ現象がおきかねない。
 その小沢の肝いりで発足した民主党の「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議連」(岡田克也会長)も、三月十一日、櫻井よしこを講師に招いて、国会内で、4回目の会合を開いた。
 席上、岡田は「わたしが外国で、2、3世として生まれ育ち『選挙権を得たければ国籍を捨てろ』といわれたらゆるせない」「選挙権は基本的人権」とのべたが、これは、裏返しの論理で、日本で生まれた外国人は、日本に帰化することによって、選挙権をえることができる、というのが本来の筋である。外国籍のまま、他国の選挙権をえようというのがムリ筋で、とうてい、みとめるわけにはゆかない。
 岡田発言は、櫻井の「特別永住者の歴史的経緯を考慮し、日本の国内法の順守を誓約してもらった上で国籍取得の条件を簡素化する必要がある」「外国籍のまま選挙権をあたえるとアイデンティティーと実際の国籍のギャップが固定化される」という発言に反論したものだが、外国人参政権問題に、基本的人権をもちだすのは、筋違いもはなはだしい。
 参政権と基本的人権をからめる論法は「在日本大韓民国民団」がはじめたもので、かれらは、以前から、こんな主張をかかげてきた。
 1、税金を納めている
 2、選挙権は永住外国人の基本的人権
 3、戦後処理の清算の一環
 4、国際化の流れから当然
 納税義務は、行政サービスなどに対応するもので、基本的人権も、法のもとの平等ということであって、いずれも、参政権とかかわりがない。
 戦後処理については、日韓のあいだに、未解決の問題はない。
 国際化の流れ、云々にいたっては、内政干渉で、在米韓国人が、アメリカ政府に参政権をもとめないのは、アメリカが、内政干渉をゆるさないからである。
 基本的人権は、あくまで、個人の生存権にかかるテーマで、そんなものを国家にあてはめると、国家が個人に従属するものとなって、国体がゆらぎ、国家が衰弱する。国という全体の力が弱まると、結局、国民ひとり一人の、個の利益も失われることになる。
 岡田は、国家を個人の下位におく政治家なので、基本的人権を、国体や国是に優先させるべく、同法案に熱心なわけだが、日本は、在日外国人の基本的人権を蹂躙などしていない。
 在日韓国、朝鮮人がうけている生活保護は、比率にして、日本人の数十倍におよぶという。受給対象者が日本国民に限定されている(憲法25条)にもかかわらず、日本政府が、かれらに生活保護をおこなっているのは、基本的人権を尊重しているからである。
 在日外国人に選挙権をあたえてこなかったのは、参政権が、基本的人権とはなんの関係もない国籍問題だからで、そもそも、国籍という国体にかかる問題は、政治や法律をこえている。
 外国人参政権問題が、政治や法律と馴染まないのは、最高裁の判決がちぐはぐで、政治の場で、もっぱら、政争の道具に使われていることからも、明らかであろう。法の手に負えないのは、法の埒外にある国体問題だからで、政治的に決着がつかないのは、国益や国是(国家理性)とむすびついているからである。
 参政権は、権利である一方、公務(義務)でもあり、その延長線上に、国家防衛や徴兵という超法規的な<運命共同体>の意識や構造をかかえている。参政権は、これと同様、運命共同体の概念にもとづくもので、一過性の政治や法律ではなく、国家や国体、国是の範疇にふくまれる。
 国家は、政治や法だけで、できているわけではない。
 過去の日本人の意思、歴史の積み重ねである国体、国家それ自体が存続しようとする国是というものが、まずあって、その上に、現在、生きている国民のために、便宜上、政治や法がのっている。
 小沢や岡田は、国家より、法律や政治、基本的人権のほうが上位にあると思っているようだが、国家は、変更できる法や政治と、変更できない国体や国是の二元構造になっており、変更が可能な法案で、変更不可の国体や絶対的な国家理性にかかる変更をおこなうことはできない。
 外国人は、日本のために、銃をもって他国とたたかう義務を負わない。
 したがって、外国人には、参政権が付与されない。
 国家に主権がある以上、これ以上の説明は必要ない。
 外国人参政権問題で、今後も、くだらぬ議論がむし返されるだろうが、民主・公明の魂胆が、国家主権の否定、もしくは、弱体化にあることだけは、肝に銘じておいたほうがいい。

posted by office YM at 14:03 | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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