2017年06月20日

 万世一系と「女系天皇・女性宮家」@

 ●「左翼・反日」「新自由主義」「フェミニズム」の三大害悪
 自民党の船田元は衆院憲法審査会で「天皇の職務の助けになる」「女性天皇の道を開く」の二点を挙げて女性宮家の創設に賛意を示し、女系天皇についても肯定的な意見をのべた。
 自民党幹部は、議事録の残る審査会の場で皇室の伝統に否定的な意見をのべた船田に衝撃をうけたというが、今回の発言に伏線がなかったわけではない。
 船田は、2015年6月の衆院憲法審査会(安全保障関連法)の参考人質疑で、内定していた保守系の憲法学者・百地章を「色が付きすぎている」という理由で退け、集団的自衛権の行使に批判的な「国民安保法制懇」の長谷部恭男早稲田大教授を推薦するチョンボを犯して、憲法改正推進本部長をクビになっている。
 自民党側の参考人が安倍政権のすすめる安保法制に反対意見をのべる「オウンゴール」となったからだった。
 学校教材に「教育勅語」の使用を認めた政府答弁にも批判的で、憲法改正にいたっては、野党の意見を尊重すべしと公言して、自民党の改憲案を否定する始末である。

 船田は、かつて、閣僚をつとめる宮澤内閣に不信任決議案をつきつけて自民党をとびだし、新生党や新進党などで小沢一郎の側近をつとめたあと自民党に復党した男だが、言動が注目されてきたわりには政治家としての信条が見えてこない。
 一点だけはっきりしているのは、不倫関係から再婚した畑恵(元参院議員)と同様、フェミニズムの推進者ということで、夫婦別姓にも賛成している。
 このことから「女系天皇・女性宮家」ついての発言が男女同権(無差別)にもとづいているとかんたんに底が割れる。
 同審査会では、自民党の鬼木誠が「女系で継承すればちがう王朝になる」と反論し、旧宮家の皇籍復帰を主張したが、船田は意に介するふうもなかった。
 フェミニズムは、社会的・文化的性差(男性原理・女性原理)までも否定するからで、船田の頭のなかには女系も男系もないのである。

 国家防衛や国体護持、伝統や誇りなどが男性原理で、経済原理や原発などの国家的インフラ、愛国心などが女性原理である。
 国家は問答無用≠フこの二つの原理から成り立っている。
 その両方を否定するのがフェミニズム(ジェンダーフリー)で、その根拠となるのが合理主義(唯物論)≠ナある。
 合理主義とは、ことばで説明をつけることだが、世界をつくりあげているのは、ことばで説明がつかない不思議や奇異であって、ことばで説明がつくものは、共産主義と同様、インチキと相場がきまっている。
 民進党の北神圭朗は「世の中には合理性だけで割り切れないものがある。女系になれば皇統が歪められる。旧宮家復活などの可能性を探るべき」と正論を吐き、この日の衆院憲法審査会は、船田と北神のどちらが保守なのかわからない展開となった。
 同審査会では、民進党の山尾志桜里(しおり)が皇統の男系男子相続について「歴史的経緯のほかに合理的な根拠は聞こえてこない」とクレームをつけている。
 山尾は、待機児童問題で「保育園落ちた日本死ね」というブログのタイトルを国会で取り上げて「流行語大賞」の年間大賞(トップ10)を受賞した反日政治家で、千葉景子や岡崎トミ子、福島みずほ、辻元清美らと肩を並べるフェミニストである。
 フェミニズムが、護憲や原発反対に走るのは、国を護る男性原理と女性原理の両方に反対だからである。

 男でも女でもないものは化け物であろう。
 それが反伝統・反自然のフェミニズムの正体で、拠って立つところが合理主義(唯物論)である。
 フェミニズムも二項対立を煽って体制転覆をはかる革命思想だからで、マルクスが考案した資本家と労働者の階級闘争理論を、男と女の性差闘争におきかえたのがフェミニズムである。
 福島みずほらの女性マルキストが夫婦同姓を「家父長制度の名残」「妻は夫に搾取される家事奴隷」と主張する根拠もそこにある。
 フェミニズムが「シングル・マザー」を女性の理想のように称え、男女共同参画社会を支持するのは、マルクス主義が「家族解体」と「働かざる者食うべからず(「スターリン憲法第12条」)の原理に立つからである。
 国民が国家の家畜となる共産主義にあるのは合理主義だけで、宗教や伝統という唯心論的価値は抹殺される。
 その唯物論から「歴史的経緯のほかに合理的な根拠がない」として、男系男子を否定する山尾(東大法卒・元検事)のような主張がでてくる。

 ルーツはジェンダーフリー(雌雄同体)という悪魔の思想で、そこからでてきたのが男女共同参画社会や「皇統の男系相続は女性差別(国連女子差別撤廃委員会)」という俗論である。
「男女共同参画社会基本法(1999年)」などの悪質な法をつくったのは権力内に巣食っている東大左翼で、男女共同参画会議(議長)の大沢真理東大教授はホモやレズを賛美する性差否定者(性錯覚者)である。
 男女共同参画局(内閣府)の主婦にたいする啓発活動(再チャレンジ)では賃金労働への復帰が謳われているが、これは、育児や家事、夫にたいする妻の役割放棄を謳ったスターリン憲法のコピーである。
 これに社民党や共産党、民進党、公明党、自民党左派、マスコミや左翼学会がのって、深くしずかに体制破壊の策謀がすすめられている。
 
 フェミニズムが厄介なのは、左翼・反日、アメリカ主義(民主主義・新自由主義)と手をむすんで、伝統破壊にむかうところにある。
 三者の共通の標的が伝統で、それが、皇統の男系相続(万世一系)である。
 アメリカも伝統をもたない革命国家で、共産主義の代わりに民主主義をとっただけである。
 ちなみに船田元は、左翼ではなく、新自由主義者で、新進党時代、YKKと「首相公選制と首相の資質を考える会」)を結成している。
 かれらの戦略は三つあるだろう。
 @国体(権威・歴史・文化・習俗)の破壊
 A価値観の転換(唯心論から唯物論、「和の心」から民主主義・共産主義へ)
 B権威に代わるカリスマの構築(大統領や国家主席など個人崇拝の対象新設)
 これを受けて立つのは、政体(国家や政治機構)ではなく、国民である。
 次回から「女系天皇・女性宮家」をとおして国体や皇室、権威の破壊しようとする勢力に国民はどう立ち向かってゆくべきかについて議論をすすめたい。

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2017年06月16日

 中国・北朝鮮発「アジア・中東危機」B

 ●世界を戦場化≠ウせる北朝鮮のミサイルと核
 前世紀まで、米大陸を射程に入れた北朝鮮の核ミサイルが世界を震撼させるなどとだれが想像できたろうか。
 北朝鮮のような小国がアメリカと渡りあえるのは、核やミサイルが空間的に移動が可能な唯物論的文明だからで、近い将来、アルカイダやイスラム国が核ミサイルを保有する可能性も否定できない。
 一方、歴史や習俗、宗教などの唯心論的文化は、移動することも他国と共有することもできない。
 そこに現在の「危機の構造」がある。
 民族や国家、価値観や宗教の対立をひきずったまま、北朝鮮のような小さな独裁国家までが核やミサイルをもつことができ、しかも、米ソ冷戦構造崩壊や米一極支配の終焉にともなって、文化や宗教、利害が異なる国や地域、集団の対立が先鋭化しているのである。
 ハンティントンのいう文明圏(西欧文明/中華文明/インド文明/ユダヤ文明/イスラム文明/日本文明/ロシア文明/ラテンアメリカ文明/アフリカ文明)は、衝突の可能性をひめた文化の壁≠ナ、しかも、同じ文明圏であっても、イスラムのシーア派とスンニ派、北朝鮮と韓国のように一触即発の危機をはらんでいる。
 文化・宗教的に対立する多くの国や民族、集団がいっせいに文明の象徴たるミサイルや核兵器をもてば、核戦争の危機が一挙に拡大される。

「危機の構造」を招いた二つ目の原因に大国の凋落があげられる。
 米ソ冷戦構造の時代、国や地域、集団の紛争は、米ソの代理戦争におきかえられて多くが泥沼化したものの相互確証破壊≠フ論理がはたらき、核戦争にブレーキがかかった。
 この構造があやしくなったのは、アフガニスタン紛争以降である。
 1979年、旧ソ連がアフガニスタン人民民主党政権の安定をはかって軍事介入すると、アフガニスタンの共産化を阻止したいアメリカが、のちに最大の敵となるイスラム原理主義の「アルカイダ(オサマ・ビン・ラディン)」や「ムジャーヒディーン(イスラム戦士・民兵組織)」に武器や資金を援助してソ連に対抗した。
 アフガニスタン紛争への介入がソ連邦崩壊を招き、9・11同時多発テロの原因となったが、それ以上に大きな失点は、アフガン紛争に勝利できなかったことで、以後、米ソ(ロ)は、大国としての指導力を失い、イスラム過激派は武闘(テロ)路線を突っ走ることになる。
 アフガン介入から湾岸戦争(1991年)からアフガン空爆(2001年)イラク戦争(2003年)へ突進したアメリカにあったのは、軍事国家の驕りと国家エゴだけで、世界和平への努力はないにひとしかった。

 ソ連崩壊後、アメリカの一極支配が約20年間つづくが、「9・11同時多発テロ」以降、アメリカのプレゼンスに翳りがでてくると、復活の兆しがみえてきたロシアと台頭が著しい中国がくわわって、パックス・アメリカーナ(一極支配)から米・ロ・中の三極支配へとパラダイムが変わっていった。
 一極支配も多極支配も、結局、大国主義で、核を保有する国連常任理事国5か国(米・英・仏・ロ・中)による世界支配の構造である。
 五大強国のうち、米・中の二国が覇権国家である。
 そのなかで、覇権主義をひときわ露骨にしているのが中国である。
 経済力と軍事力で周囲の弱小国をねじふせる中国の覇権主義は、チベットやウイグル、南シナ海などで成功をおさめ真珠の首飾り≠竍一帯一路$略でも一応の成果をあげたが、ここにきて、足元がぐらつきはじめた。
 北朝鮮の離反と覇権主義にたいする南アジア諸国の抵抗である。
 覇権主義の失敗は、アフガニスタンで、米ロが経験済みである。
 力の論理は、真の勝利や和平をえられないばかりか、軍事主義の分散を招いて、周辺や状況を戦場化≠オてしまうのである。
 アメリカのアフガン攻撃は、タリバンの勢力圏を拡大したにすぎず、イラク戦争はIS(イスラム国)というテロ国家をつくりだしただけだった。
 北朝鮮もテロ国家で、アメリカを敵視するのは、南朝鮮(北は韓国を国家とみとめていない)の宗主国だからである。
 北朝鮮にとって、米軍は、アフガン紛争へ二度介入した異教徒の軍隊だったのである。
 金正恩は、国内に従軍慰安婦像を建てることを禁止し、戦争記念館(中央階級教養館)に予定されていた反日的な宣伝物の展示を不許可とした。
 韓国が「独立記念館」に反日的な展示物を並べているのとは対照的である。
 北朝鮮にとって、朝鮮戦争に関与していない日本は敵ではないので、韓国の反日教育と日本の嫌韓感情はむしろ望ましい。
 中国や韓国が対日敵対政策をつよめると「敵の敵は味方」「味方の敵は敵」という論理がはたらくのである。

 北朝鮮が中国から距離をおいているのは、中国の覇権主義と韓国への接近を警戒してのことで、北にとって敵と味方のボーダーラインは、覇権的か否かと親韓的か嫌韓的かの二点である。
 中国がアメリカや韓国に接近して北朝鮮をしめつけると、ますますロシアへ傾斜してゆく。
 トランプから要請されても、中国が北朝鮮に強硬な措置をとれないのはそのせいで、一方、アメリカは、中国からOKがでなければ、西太平洋に展開中の三隻の空母「カール・ビンソン」「ロナルド・レーガン」「ニミッツ」から一機の攻撃機も出撃させることができない。
 プーチンとの電話会談後、トランプが腰砕けになった理由もそこにある。

 北朝鮮がミサイル発射実験をくり返している理由は二つあるだろう。
 一つは、アメリカと韓国、日本、中国にたいする警告で、ロシアは対象外である。
 事実、ロシア(国防省)はミサイルが領海近くに落ちても「危険はない」と平然としたものである。
 もう一つの理由は、商売のためである。
 北朝鮮が高度2千キロ(ロフテッド軌道)を超える高性能ミサイルの発射を成功(2017年5月)させたが、これは、北朝鮮の軍事的脅威という問題にとどまらない。
 商談がまとまれば、イスラム圏や第三世界が、迎撃不能な高性能ミサイルを北朝鮮から入手できることになって、先進国の都市圏は一挙に危機にさらされる。
 秘密裏におこなわれるミサイルの国際取引は、無原則で、中国製(東風21)がサウジアラビアへ、北朝鮮製がイラン、パキスタン、エジプト、リビア、シリア、イエメンからミャンマーにまで渡っている。
 北朝鮮のミサイルの輸出額は、わかっているだけで、年15億ドル(約1440億円/2009年/ロイター通信)にたっするが、国連制裁がなかったら、取引の総額は、この数倍以上になるだろう。
 インドの核保有に対抗するパキスタンの核が、中国から供給されたのは疑えないが、北朝鮮も、イランやミャンマー(軍事政権)の核開発に関与してきた形跡がある。
 オーストラリア紙(シドニー・モーニング・ヘラルド)によると、ミャンマー軍事政権が北朝鮮の協力の下で北部山岳地帯の地下に原子炉とプルトニウム抽出施設を建設、5年以内の核爆弾開発を目指していた(亡命者2人の証言)という。
 韓国誌の週刊誌(「週刊朝鮮」)も、亡命ミャンマー人の証言として、北朝鮮が2003年から技術者を派遣して、巨大な地下施設(700前後)の建設を支援してきたと報じている。
 イランが核協議の「最終合意(イランと米欧6か国/2016年)」をむすんでも、核弾頭やミサイルの輸入をとめることはできない。
 ということは、核開発をおこなわなくても、北朝鮮から輸入すれば、いつでも核装備をもてるわけで、その結果、イスラエルの核が無力化され、サウジアラビアの核装備が正当化される。
 スンニ派の盟主サウジアラビアは、シーア派の大国イランが核をもてば核装備をおこなうと明言しており、そうなれば、中東情勢が一挙に緊迫化する。
 米・中・ロなどの大国が「世界の安定」という選択肢を捨て、力による支配と覇権主義に走った結果、世界の戦場化≠ニいう最悪のシナリオが書かれてしまったのである。
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2017年06月06日

 中国・北朝鮮発「アジア・中東危機」A

 ●世界経済を破壊する中国の一帯一路$略
 中国の真珠の首飾り≠ェ「マラッカ・ジレンマ」から脱却するための海洋戦略なら、陸上戦略が一帯一路≠ニ呼ばれる経済・外交圏構想である。
 マラッカ・ジレンマというのは、中東からの原油が通過するマラッカ海峡の安全保障を米軍に依存している弱点のことで、有事の際、米軍によって海峡を封鎖されると中国は海外からの補給ルートの80%が断たれることになる。
 マラッカ海峡を封鎖されても、原油を中国に運ぶ拠点港を確保しようというのが真珠の首飾り$略で、その4大拠点が、前項でのべたとおり、インド洋に面したパキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマーである。
 とりわけ重要なのはパキスタンで、現在、同国のグワダル港から新疆ウイグル自治区(カシュガル)まで横断する鉄道や高速道路、石油・天然ガスパイプラインなどが建設中で、習近平とシャリフ首相とのあいだでは、輸送インフラのほか発電所建設、港湾開発などに450億ドル(約5兆4千億円)の投融資が合意されている。
 グワダル港が起点となる「中パ経済回廊」の構築もその一環で、イランへの経済制裁が解除されるとグワダル港に隣接するイランからの原油陸送が可能になる。
一帯一路≠ヘ、中国の経済・外交政策構想のことで、2013年に習近平が提唱して以来、中国の基本的な国家戦略になっている。
 目的は三つある。
 @国内の過剰生産能力を解消して内需不足を補う
 Aインフラ投資や経済援助をとおして中国経済圏を確立する
 B関連諸国との連携をとおして、安全保障と安定的な資源輸入をはかる
 中国からアジア、中東、アフリカなどをとおって欧州まで陸と海のルートでつなぐ現代版シルクロード≠フ影響をうける国はおよそ65カ国、世界人口の6割にもおよぶが、大半が発展途上国なので、中国は高い戦略的経済効果を上げることができる。
 インフラ投資で釣って、過剰生産で国内に余った資材を売りつけ、見返りにから資源を吸い上げるという植民地政策が、発展途上国相手では、中国の思惑どおりにうまく運ぶのである。
 懸念されるのが関係国の経済破壊で、中国から身の丈に合わないスケールの資金や物資がもちこまれることによって、伝統的な経済・産業構造がダメージをうけるばかりか、巨額の債務と金利で、財政が破綻してしまうことになる。

 一見、順風満帆とみえた中国の現代版シルクロード≠セが、目下、三つの難問に直面している。
 一つは、経済侵略にたいする発展途上国の抵抗で、二つ目が中国の仮想敵国とするインドの巻き返し、そして三つ目が日本の世界戦略(「自由と繁栄の弧」)である。
 中国マネーが猛威をふるう南太平洋のトンガ王国では、住宅・商業ビルから総理官邸、航空機にいたるまで、中国が建造したものばかりで、移住してくる中国人が急増していることからも、国が丸ごと中国に乗っ取られた観がある。
 ミャンマーやラオスなどアジアの発展途上国も同様で、中国マネーと中国の物資、中国人が土地や資源、富を収奪する中国化′サ象がすすんでいる。
 スリランカでは、親中派ラジャパクサ前政権が中国から高金利の巨額融資をうけて債務漬けになる始末で、結局、港の株式の80%を中国に譲渡、99年間の長期貸与を余儀なくされた。
 これに現地人が反発して、ミャンマー(合弁銅鉱山)やスリランカ(ハンバントタ港)では、抗議デモが警察と衝突、多数の負傷者や逮捕者が出る事態となった。
 中国の帝国主義的なやり方に関係国の首脳も危機感をかんじはじめている。
 英紙が「ミャンマーを失った傲慢な中国」と報じたように、中国の従属していたミャンマーは、2015年に民政(アウンサンスーチー政権)が誕生して以降、脱中国の方向へうごきだした。
 スリランカでも、大統領がシリセナに代わって、風向きが変わってきた。
 前政権の港湾プロジェクトは継続されるものの、中国べったりの外交姿勢が転換されて、現在、インドとの関係が修復されつつある。
 これまで中国に依存してきたバングラディッシュも、中国が開発を支援する予定だった深海港建設プロジェクト(ソナディア)を中止して、日本の支援でマタバリ港の開発にあたるほか、6000億円にのぼる日本の経済援助などをうけいれて、ベンガル湾産業地帯構想をすすめる。
 インドも、バングラデシュが提案した鉄道、道路建設、発電所など9部門のプロジェクト(20億ドル/2238億円)をうけいれると発表した。

 中国の植民地政策(真珠の首飾り/一帯一路)にたいするインドや日米欧の巻き返しの背後にあるのが、安倍内閣の「自由と繁栄の弧」戦略である。
「価値観外交」と呼ばれる世界戦略の対象は、東南アジアからインド、中東、コーカサス、中央アジア、バルト諸国から北欧へ至る広大な地域で、大東亜共栄圏の拡大版といってよい。
 共栄圏思想は、植民地政策にたいするアンチテーゼで、強国による支配構造を破って、発展途上国の独立自営を援助する。
 収奪を目的とする中国の一帯一路≠ノたいして、日本は、ODAを中心とした経済支援である。
 中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)をとおしてバングラデシュに発電所建設など20項目以上、約240億ドル(約2兆5000億円)の経済協力を申し入れたが、バングラデシュは日本のODAをえらび、インドとの共同プロジェクトにものりだした。
 価値観外交の特質は「モラル」と「共栄思想」である。
 中国が北朝鮮を暴走させ、韓国の不安定を招いているのも、覇権主義の中国には、この二つの要因が欠落しているからである。
 中国のエゴイズムと反モラルが東南アジアや中東に飛び火すれば、新たな「危機の構造」をつくりだされる。
 予断をゆるさないのが半島情勢で、北朝鮮の核・ミサイルが世界的な脅威になっているにもかかわらず、韓国は反日の度合いをつよめ、一方、反米の北朝鮮は、中国の手に負えない存在となりつつある。
 特ア(中国・韓国・北朝鮮)の反モラルとウソが底なしの混迷を招いているのである。
 次回以降、日本の世界戦略(「自由と繁栄の弧」)の安全保障面に目をむけてみよう。
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2017年06月01日

 中国・北朝鮮発「アジア・中東危機」@

 ●世界の安全保障を脅かす中国の真珠の首飾り
 中国による「アジア・アフリカの植民地化」が着々と進行している。
 やりくちは巧妙で、世界から融資トラップ(罠)≠ニ呼ばれるほどである。
 6〜7%の金利で巨額融資と巨大プロジェクトをもちかけ、中国側が工事を丸ごと請け負い、のちに施設全体を乗っ取るというもので、当事国が高利貸し並みの巨額債務を返済できなくなるのは、完成した施設が、現地の産業や雇用になんら貢献しない代物ばかりだからである。
 返済に窮すると、施設株式の80%譲渡や長期(99年)貸与を求め、やむなく応じると、施設を事前の計画どおり、軍港やレーダー基地に転用するのである。
 標的になったのは、インド洋のスリランカやモルディブ、アフリカ北東部のジブチから南大西洋のナミビアまでの国々で、ナミビアの新聞は、中国政府の非公式文書を引用して、中国が18の海洋国家に海軍の拠点(基地)を設ける計画と報じた。
 18か国のなかには、パキスタン、スリランカ、ミャンマー、ジブチ、イエメン、オマーン、ケニア、タンザニア、モザンビーク、セイシェル、マダガスカルがふくまれている。
 中国は、これらの18カ国のすべてで、港湾や空港、道路、鉄道、鉱山などの建設・開発に大規模な投資をおこなっている。
 その見返りとして、これらの施設を中国が軍事的に利用できるからくりになっているのはいうまでもない。

 中国はこの戦略を真珠の首飾り≠ニ称している。
 アラビア海からベンガル湾に至るインド洋海域にいつでも寄港できる外港を用意しておこうという戦略で、宿敵インドを封じ込め、制海権をもつ米海軍を牽制して、南シナ海への唯一のルートであるマラッカ海峡(マレーシアとインドネシア国境)が封鎖されても、原油を中国に運ぶ拠点港を確保しようというのである。
真珠の首飾り≠フ4大港湾が、@グワダル(パキスタン)、Aハンバントタ(スリランカ)、Bチッタゴン(バングラデシュ)、Cシットウェ(ミャンマー)である。
 @パキスタンのグワダルを外港化できれば、中国は、インド洋を航海することなく、パキスタン国内の鉄道や道路、パイプラインを使って、中国の内陸部に原油を輸送できる。
 Aスリランカのハンバントタ港は、タンカー航行が困難なポーク海峡を避けるシーラインの要衝で、ハンバントタを外港化できれば、中国軍はアラビア海とベンガル湾の両方ににらみがきかせることができる。
 Bバングラデシュの第二の都市チッタゴンの周辺に外港を確保できれば、中国は、マラッカ海峡を経由することなく、ミャンマーのマンダレー経由で中東やアフリカからの資源を内陸部に輸送することができる。
 Cミャンマーのシットウェ港は、軍事政権の時代から、武器輸出などで中国とつながりが深く、なかでも、1994年から借りている大ココ、小ココという2つの島には高性能の偵察・電子情報施設をもち、7つの海軍基地は、ミャンマーが持っていない大型艦艇が入港できるように整備されている。

真珠の首飾り≠フ手法は、徹底したマネー作戦で、ワイロから当事国の経済破壊まで、援助や経済協力とは遠くかけ離れた経済侵略、植民地化にほかならない。
 中国マネーによって、世界の最貧国から一変したのがエチオピアである。
 中国政府が工費をすべて負担した国内最大のアフリカ連合本部ビルを筆頭に中国資本による建築ラッシュがおき、首都・アジスアベバを走る新型の電車も中国の国有企業によって造られたものである。
 といっても、エチオピアの国力が増したのではない。
 中国資本といっしょにはいってきた中国人が、エチオピアを乗っ取ったのである。
 きっかけは、中国が、アデン湾(ソマリア沖)と紅海に接するジブチ共和国ですすめている海軍基地(武器庫や艦艇・ヘリの整備施設、海軍陸戦隊や特殊部隊の拠点)建設だった。
 米軍は、ジブチにレモニエ基地と港湾のオボック基地の2つを持っている。
 ところが、親米だったはずのゲレ大統領が、突如、米軍をオボック基地から追い出し、代わりに中国軍の駐留をみとめたのである。
 米軍はジブチに4千5百人が駐屯し、基地使用料として年間6300万ドルを支払っている。
 一方、中国軍は、1万人を駐屯させ、ジブチ政府に1億ドルの基地使用料を払うほか、ジブチの港湾改良事業に4億ドルを投資するという。
 ジブチは、古くから強国で、隣接する内陸のエチオピアに物資を運ぶ港湾として機能してきた。
 中国は、ジブチとエチオピアをむすぶ鉄道を高速化する事業に30億ドルを投資する予定で、エチオピアの繁栄はその恩恵だったのである。
 ジブチの米軍基地はアフリカ最大の反テロ戦争の拠点で、アルカイダや過激派組織ISの情報収集のほか、テロの拠点となっているイエメンやソマリアに無人偵察機飛ばしている基地である。
 アメリカは、やむなく、基地使用料を倍額にするというが、中国の真珠の首飾り$略は、世界の安全保障を破壊しながらやむことなく拡張しつづけている。
 次回以降、中国の暴走と身勝手が、北朝鮮やイラン、サウジアラビアやミャンマー、パキスタンをまきこんだアジア・中東危機へ発展しかねない危惧についてのべよう。
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2017年05月29日

 なぜ日本の政治は劣化したのかB

 ●三大ダメ政治家≠フアイドルだった小池百合子
 日本の政治をダメにした政治家を上げるなら、細川護熙(日本新党)と小沢一郎(新進党)、そして、小泉純一郎(第87・88・89代内閣総理大臣)の三人に尽きるだろう。
 細川内閣(8党派連立)の「小選挙区制」「政党助成金制度」は、政党と政治家を堕落させただけだったが、くわえて、細川は、日本の首相として初めて戦争謝罪≠おこなって、謝罪外交のレールを敷いた。
 小沢一郎は、自民党幹事長時代、アメリカにいわれるまま8年間に430兆円の赤字国債(公共投資)をだして日本の財政を悪化させ、自民党をとびだすと次々に新党を創設、政党助成金をすべて着服するという乱脈ぶりだった。
 媚中・親韓・反日に転じたのは、反日マスコミや左翼(労組・日教組・官公庁・言論界など)をとりこむためで、小沢一郎ほど狡猾にして無節操、悪辣な政治家は他に例が思い浮かばない。
 小泉純一郎は、加藤紘一や山崎拓らとともにYKKと呼ばれた自民党左派の一人で、改革主義者というよりもむしろ反伝統主義者だった。
 300兆円郵貯を自由化する郵政民営化に執着したのもアメリカ資本主義といべき新自由主義にのめりこんだのも、日本的制度や日本の伝統文化を嫌悪するアメリカかぶれだったからで、小泉の改革は、アメリカ化だったのである。
 皇室典範改悪は、秋篠宮妃・紀子さまのご懐妊によって、土壇場で先送りになったものの、悠仁さま誕生という神風が吹かなかったら、数千年間つづいてきた万世一系の伝統は、小泉の息のかかった有識者会議やらによって、紙くずのように捨てられていたはずである。

 小池百合子は、この三大ダメ政治家のアイドル的な存在で、日本新党の細川から新進党・自由党の小沢、自民党の小泉と権力の中枢を渡り歩き、小沢には側近として仕え、小泉の秘蔵っ子となるや郵政民営化法案に反対の小林興起の当選を阻止する刺客(2005年衆議院議員総選挙)≠ニなって東京10区に選挙区替えするありさまだった。
 小池の政治的信条は不明瞭で、たとえば外国人参政権問題では、「(税金を払っている)在日の方々が参政権という形で意見をのべるのは当然(という意見もある)」「在日の皆さまと同時に日本を考える上で大きなモメンタム(時流)である」と肯定的な意見をのべたかと思えば、2016年東京都知事選挙では、風向きを見たのか、外国人地方参政権反対を表明した。
 一方、女性を「子どもを産む機械」にたとえた厚生労働大臣柳澤伯夫の発言(2007年)にたいしては「日本の男性の女性にたいする見方はイスラムの国よりも遅れている」という的外れな極論を吐いている。
 日本の男性が女性に弱く、甘いのは、みずからの体験から十分承知しているはずである。
 テレビキャスター出身の小池は、機を見て敏な臭覚だけで、政治が視聴率と同じレベルにある。
 本質論はどうでもよく、政治という舞台で、刺激的なことばを吐いて視聴率≠稼ぐことができればそれで大成功なのである。
 2009年の衆議院議員総選挙では、公明党の推薦をうける一方、幸福実現党に選挙協力をもとめ、同党の候補擁立(東京10区)を取り下げさせ、その構図が都知事選までひきつがれた。
 公明党はハト派で、幸福実現党はタカ派だが、無節操な小池には、そんなことはどうでもよく、宗教団体もギブアンドテークの集票マシーンでしかない。

 小池ほど政治をなめきった政治家は、政治史上、稀有で、事実、減らず口と女のカンだけで、防衛大臣(第1次安倍内閣/2007年)から東京都知事にまで登りつめた。
 メディアを動員して政治をコントロールする小泉型の劇場政治≠ヘ、大衆迎合の衆愚政治にほかならないが、この政治手法にもとめられるのは、テレビキャスターのセンスで、効果的に大衆の耳目を集めたほうが勝者となる。
 横山ノックや青島幸雄、美濃部美亮吉によって、都政や府政が十年の遅れをとったのは、タレント知事の人気取りのバラマキによって、巨額の財政赤字をつみあげたからだった。
 小池が大臣時代にやったのは、小泉首相から提案されたクール・ビズ(ノーネクタイ・ノージャケット)運動のキャンペーンガール役(環境大臣)と守屋武昌防衛省次官の電撃的解任だけで、守屋解任では、閣議人事検討会議を無視して一部の新聞(毎日)にリークするという非常識な手法をとっている。
 当時、一部から、小池が検察から「空自の次期輸送機CXの搭載エンジンの納入利権をめぐって東京地検特捜部が守屋次官を逮捕を視野にマーク」という情報を得ていたからとささやかれた。
 そうでなければ、就任早々、しかも、その二か月後、理由もなく防衛大臣を辞任する小池が、守屋の後任に警察庁出身の西川官房長をあてる人事を単独で決断できる根拠も必然性もなかったというのである。
 小池が、万が一、検察・警察の情報や助言をもとに防衛省人事をおこなっていたとすれば、政治家失格どころか、国家的犯罪である。
 小池知事は、都発注の入札不正疑惑について、伊豆大島(大島町)の4件の工事で、最大約560万円の積算ミスがあったとして、徹底調査を指示したという(5月11日産経新聞)が、同件を報じているのは同紙だけで、リークが あったのは疑いえない。
 都発注の入札不正疑惑が暴かれれば、都の旧執行部が大きなダメージをうけることになるが、それが、都知事選前なら、小池新党にとって絶好の追い風になるだろう。
 小池が、側近をつとめた小沢一郎から、狡猾さと無節操、悪辣さを学んだのか、それとも、カイロ大学を卒業、中東の狂犬カダフィ大佐と懇意(「日本リビア友好協会会長」)だった小池の独特の政治感覚なのか、いずれにしろ、日本には存在しなかった危険でしたたかな政治家なのである。

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2017年05月25日

 なぜ日本の政治は劣化したのかA

 ●反日マスコミと手をむすぶ日本の野党
 日本には、自民党以外、政党と呼べるような政党が存在しない。
 野党の源流は、もともと、日本共産党にあって、旧社会党は、日本共産党を除名された連中の溜り場だった。
 社会・共産が育てた労組や日教組をバックにしているのが旧民主党で、注目されている反自民の「民共共闘」は、戦術ではなく、共産党への先祖返り≠ネのである。
「自衛隊は人殺し集団」「防衛費は人を殺すための予算」(日本共産党)
「自衛隊は暴力装置」(旧民主党官房長官/仙石由人)
「自衛隊の装備を一部中国から調達したほうが低コスト」(民進党代表/蓮舫)
 などの発言の裏にあるのは、日本の武装解除で、日本共産党も、中国共産党と仲直りをした不破体制(1998年〜)以降、いまなお、連日、宣伝カーで「憲法9条をまもろう」と訴えている。
 日本の野党は、日本の国家防衛ではなく、中国がもとめてやまない防衛力の放棄を党是≠ニしているのである。
 これは、日本の野党が親中派であることの宣言にほかならない。
 親中派のきわめつきは民主党の小沢訪中団(2009年)だろう。
 民主党議員143名を率いた小沢一郎名誉団長(民主党幹事長)は、民主党を人民解放軍になぞらえて、胡錦濤国家主席に「日本では解放の戦いは済んでいない。わたし(小沢一郎)は(人民解放軍の)軍司令官として頑張っている」とへりくだり、「一人ひとりに握手までしていただいて」と胡主席にペコペコと頭を下げた。
 この朝貢外交によって、民主党は、以後、自壊へとつきすすんでいった。
 売国奴に政権をあたえつづけるほど日本人は愚かではなかったのである。

 野党の源流である日本共産党は、北方領土返還に全千島列島をふくめていることからもわかるように、ナショナリズムをそなえたマルクス主義政党で、宮本顕治体制(1958〜1997年)時代には、ソ連や中国、北朝鮮の工作員がすべて追放された。
 それが社会党のほか、過激派(反代々木系)や左翼・反日市民団体へ流れていったのが六全協(1955年)以降で、追放組の共通点は、中・ソ・朝の工作員政党(グループ)という点にある。
 共産党の国防政策が「非同盟中立」だったのにたいして、社会党が「非武装中立」を立てたのは、ソ連や中国の侵略に抵抗しないという意思表示で、日本の絶対平和主義は、工作員政党の隠れ蓑だったのである。
 ところが、ソ連が崩壊にむかった1980年代の末頃、日本共産党が護憲へ立場を変えた。
 いまでこそ日本共産党は「憲法9条は世界の宝」としているが、昭和21年の衆議院本会議で「戦力不保持・交戦権の否認」を謳った憲法9条に最後まで反対したのが日本共産党(野坂参三・徳田球一)だった。
 日本共産党の重鎮上田耕一郎も著書(『民主連合政府で日本はこうなる』1974年)で、憲法改正と軍隊(人民軍)の保持を明確に謳っている。
 共産党が9条護持に回ったのは、ソ連が消滅して、中国がまだ非力だった当時、駐留米軍+自衛隊が共産主義革命の最大の妨害になるからで、仙石ふうにいうなら「自衛隊は(反革命の)暴力装置」だったのである。
 共産党にとって、人民防衛軍は必要だが、自衛隊では都合がわるく、中国の属国になって、飼い犬の平和を享受しようという民進党や護憲派にとって、有事に中共軍と戦うことになる自衛隊がジャマなのである。

 日本の野党には、反日という工作員の思想≠ェ宿っている。
 そんな政党や集団が、日本の政治をうごかすことができたのは、マスコミと二人三脚を組んできたからである。
 権力批判のマスコミと野党が手をむすべば、そのパワーが二倍にも三倍にもなる。
 その仕組みを拝借したのが、今夏の都知事選で大勝を予想される小池百合子の「都民ファーストの会」だが、そのテーマは、次回にのべるとして、野党とマスコミの癒着構造について、もうすこしみていこう。
 衆愚政治の主役となるマスコミが、政変に加担したケースが、民主党政権の誕生や「自民党をぶっつぶす」の小泉改革だった。
 民主党政権の誕生前夜、マスコミ総がかりによる反自民キャンペーン≠ヘ凄まじいものがあり、麻生首相の漢字読み違え(未曾有)が、連日、テレビで延々と報じられた。
 小泉改革は、日本のアメリカ化で、新自由主義の導入から皇室典範の改悪まで、マスコミは無批判的に小泉流をPRしつづけた。
 マスコミの大衆操作には絶大なものがあり、かつて、朝日新聞は、ポーツマス講和条約に不満な民衆を煽って、日比谷焼打事件までひきおこしている。
「北朝鮮は天国」の記事に騙されて北朝鮮へ渡った10万人の人々が、極貧と差別、奴隷労働と強制収容所に苦しみ、日本への帰国が許されなかった悲劇はいまも語り草になっているが、教科書問題や従軍慰安婦、南京大虐殺の誤報も、朝日新聞が展開した革命運動の一つで、60年安保騒動では、安保反対のアジテーターとなった。
 都議選を前に、失言問題や森友学園を執拗に追求して、安倍首相や自民党の足をひっぱるマスコミの小池百合子礼賛には目に余るものがある。
 だが、その小池ブームに翳りがみえないでもない。
 マスコミに踊らされる一方だった国民(都民)がマスコミ報道に疑いの目をむけはじめたのである。
 都議選は、マスコミとタッグを組んだ小池新党と、地道に都政を築き上げてきた都連自民党の一騎打ちとなるのである。
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2017年05月22日

 なぜ日本の政治は劣化したのか@

 ●日本の政界から大人物が消えた悲劇
 昨今、政治家の劣化がいちじるしい。
 中川俊直衆院議員が愛人とトラブルの末、警察のストーカー・リストに登録されるなどの不祥事をひきおこして、経済産業大臣政務官を辞任した。
 同議員は、妻子がいながら同愛人と重婚ウエディング≠ワでやってのけたハレンチな男で、こんな人物が政務官の肩書きをひっさげて日本の経済産業の行政責任を担っていたこと自体、心胆を寒からしめるのに十分なものがある。
 中川と同じ二回当選の宮崎謙介前衆院議員も、昨年、妻(金子恵美衆院議員/自民)の出産直前に不倫をスクープされ、議員を辞職している。
 議員2回生のスキャンダルはそれだけではない。
 豪雨被害視察のため訪れた岩手県で、おんぶされて水たまりを渡り、批判をうけると長靴業界の宣伝になった≠ニ軽口を叩いて復興大臣政務官の要職を棒にふった務台俊介衆院議員、公開株の購入を持ちかけて金銭トラブルをひきおこして離党した武藤貴也衆院議員ら2回生議員には、政治家の資格が疑われる者が目白押しなのだ。
 自民党の衆院2回生は107人で、党全体の3分の1以上を占める。
 民主党崩壊の余波にのって当選してきただけに、次期選挙では、民進+共産統一候補の前に三分の一が当選おぼつかないという。
 政治家の資質を問われているのは新人ばかりではない。
 復興大臣だった今村雅弘衆院議員が「原発事故の避難者が帰郷できないのは本人の責任」と発言して被災者の怒りを買った3週間後、こんどは、東日本大地震が東北だったからよかった≠ニ口走って、安倍首相が陳謝、これが事実上の罷免となった。

 政治が劣化した原因は、自民党にかんしていえば、3つあるだろう。
 一つは、政治改革(1994年)で、二つ目が公明党との選挙協力、三つめが議員の人間的な未熟さである。
 小沢が主導した政治改革の目玉は「小選挙区(比例代表並立制)」への移行と政党交付金の新設で、この二つの改革によって自民党の派閥政治がほぼ完全に崩壊した。
 日本の保守政治家は、自民党の派閥が育ててきたといってよい。
 中選挙区制時代の自民党は、派閥組織で、選挙区において競合する自民党の候補者は、それぞれ派閥の領袖から支援を受けてきた。
 自民党の公認候補は、中選挙区制では最大で5人になるが、候補者は、5大派閥(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘)に属して、選挙をたたかった。
 一方、派閥の領袖は、自派候補者の公認を獲得して、選挙資金や役職の世話をする代わりに総裁選挙の支持をもとめた。
 同一選挙区で複数が競合する中選挙区では、自民党候補者は、選挙区でライバルとの戦いに勝たねばならず、議員になっても、一頭地を抜いて、領袖から信頼をえなければ大臣などの要職につくことができなかった。
 派閥は、親分子分の関係だが、この仕組みが議員の力量や人格を鍛えるのに役立っていたのである。
 ところが、政治改革によって導入された小選挙区比例代表並立制や政治資金規正法の改正、政党助成法の導入によって、自由民主党の組織や行動様式ががらりと変わった。
 1選挙区から3〜5人の議員を選出する中選挙区制度では、候補者の調整から選挙資金の調達まで、派閥が大きな役割をはたした。
 だが、党員同士の競合がない小選挙区や各党が得票に応じて議席を得る比例代表制では、選挙の中心が政治資金を集配する党本部や総裁に移って、派閥が形骸化してゆく。
 中選挙区制においては、党の公認が得られなかった保守系の無所属候補者でも、当選すれば、自民党に入ることを許された。
 ところが、小選挙区制では、公認を得ずに出馬すること自体が不可能になる。
 公認をえずに立候補することが党にたいする裏切り行為で、また、公認がなければ1人区での当選がおぼつかない。
 これを最大限に利用したのが小泉劇場≠セった。
 小泉は郵政国会で、郵政民営化法案を成立させると公言し、法案不成立の場合、衆議院を解散して総選挙をおこなうと明言した。
 それが現実のものとなったのが、自由・公明が圧勝した郵政選挙(2005年)だった。
 このとき、小泉は、郵政民営化法案に反対した自民党の衆院議員を自民党として公認せず、郵政民営化賛成派候補を擁立した。
 犠牲となった一人が郵政民営化に反対の小林興起で、小泉は、選挙区(東京10区)に自民党公認候補として小池百合子を刺客≠ニしてさしむけて小林を葬った。
 この郵政選挙で、自民党は大勝利を収め、党の公認から外された多くの有力議員が議席を失い、アマチュアの代議士が大挙して国会の赤絨毯をふんだ。
 これが選挙の大勝にともなってうまれるチルドレン議員≠フはじまりである。
 小泉チルドレンにつづいて出現したのが小沢チルドレン、前出の不祥事連発の安倍チルドレン、そして、7月2日投開票の都議選では「都民ファーストの会」の小池チルドレンの大躍進が予想されている。
 もっとも、小池百合子自身が勝ち馬にのったチルドレン議員の優等生ということができる。
 細川護熙(日本新党)や小沢一郎(新進党)に擦り寄り、小泉潤一郎の信頼をえて初入閣(環境大臣)し、谷垣総裁の下では、女性が初となる党三役(総務会長)に就任、第1次安倍内閣では内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)に任命された。
 そして、都知事選では、小池ブームを演出して、自民党候補を一蹴した。
 小池は、夏の都議選で「小池新党」の候補を大量擁立して都議会のドン≠アと内田茂都議率いる都議会自民党を壊滅状態に追い込む決意だ。
 次回は権力操作だけでのしあがってきた小池パフォーマンスの危うさにふれよう

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2017年05月10日

 北朝鮮危機と米中の新時代C

 ●ビッグ4(日・米・中・ロ)の新時代が幕開け
 かつて、日本は、米・中・ロを相手に大東亜戦争をたたかった。
 このときの欧米とりわけアメリカの日本にたいする敵愾心は尋常なものではなかった。
 人類史上、最悪の大量虐殺である原爆投下が、ルーズベルト、トルーマンという二人の大統領によって計画され、実行に移されたことからも、アメリカの日本にたいする憎悪の深さが測れよう。
 その理由の一つに、アジアの東端、太平洋の西端に位置する日本の地政学的な特殊性をあげることができる。
 アメリカにとって、日本は、太平洋の権益を争うライバルで、中国進出への最大の妨害者だった。
 ロシアや中国にとっても、日本列島は、太平洋進出を妨げる障害である。
 一方、海洋国家である日本は、海を隔てて隣接する中・朝や海路をとおして東南アジアや西太平洋に大きな影響力をもちうる。
 それが大東亜・日米戦争の原因で、日本は、第一次大戦後、西太平洋を支配下におさめ、満州国を建国後、支那で主導権を握り、東南アジアからインドにまで手をのばしつつあった。
 これに猛烈な嫉妬心を燃やしたのがルーズベルトで、石油の禁輸を軸とする「ABCD包囲網」をつくりあげ、蒋介石やスターリンに接近して、日本壊滅戦争を画策する。
 真珠湾攻撃以前に中国から日本への都市を空襲しようとした「フライイングタイガー作戦」や日本から開戦以外の選択肢を奪った「ハルノート」はルーズベルトの謀略で、米議会は、戦後まで、この事実を知らされていなかった。

 日本は、中国を侵略したされるが、辛亥革命(1911年)で清朝を倒した孫文や後を継いだ袁世凱の死後、支那は、軍閥内戦、国民党内戦、国共内戦が熾烈をきわめる内乱状態にあった。
 北洋軍閥(北京政府)や南方革命派(広東政府)の攻防のほか各省で軍閥や匪賊が争うなか、台頭してきたのがコミンテルンの支援をうけた毛沢東らの共産勢力で、これが現在の北京政府にひきつがれた。
 日本は、孫文の二人の後継者のうち、親米派の蒋介石(重慶政府)ではなく親日派の汪兆銘(南京政府)を支援して、軍事介入する。
 その背景にあったのが、列強を排して、アジアの独立自営をめざす大東亜共栄思想だった。
 日本が石油の禁輸に苦しむのも、アジア全域の貧困も、列強の掠奪や圧力によるものだが、アジアには、日本をふくめて、アジア全体を豊かにする資源や生産能力、文明がそなわっている。
 この考え方がアジア主義で、のちのアジア独立運動につながっていく。
 植民地解放や独立には、武力闘争以外に方法がないが、武士の国だった日本には、アジア解放を実現できるゼロ戦や戦艦大和の技術力と神風特攻隊の戦意があった。
 東南アジアの人々は、日本人の勇気と智恵に学んで、独立を勝ち取ったのである。

 現在も、当時の地政学的、文明的な条件は、当時と変わってはいない。
 変わったのは、日・米・中・ロの力関係だけで、中国の躍進に貢献したアメリカが、中国革命と米ソ冷戦、朝鮮戦争ののち、手の平を返して、日本と同盟関係(日米安保条約)をむすんだ。
 この軍事同盟は、日米のみならず、アジアの安定にも有効で、日米安保がなかったら、アメリカは米ソ冷戦に勝つことができず、中国の覇権主義に歯止めをかけることができなかったろう。
 日本の地政学的ポジションと国家的なプレゼンスは、敵に回すと脅威である一方、味方にすれば大きな戦力になる性質のもので、日米安保は、アメリカにとって世界戦略の重要な要になっている。
 かといって、日米関係が、米英関係のような強固な盟友関係になりうるかといえば、かならずしもそうではない。
 ニクソン大統領の訪中準備のために訪中したキッシンジャー大統領特別補佐官は、中国の周恩来首相(1971年)との極秘会談で、「日米安保条約は日本の軍事大国化を防ぐためのものという瓶のふた論≠展開した。
 このときキッシンジャーは「日本が再軍備拡張計画をすすめるなら伝統的な米中関係が再びものをいうだろう」とも発言している。
 この発言の意味するところは、日米安保条約は便宜上のもので、アメリカにとって、中国こそがアジアの盟友だという宣言で、それが伝統というのである。
 公開されたキッシンジャーの発言は、日本に衝撃をあたえたが、大きな示唆をふくんでもいる。
 それは、アメリカを敵に回してはならないということである。
 中国やロシアにたいしても同様で、日本が戦争にふみきれば、米・ロ・中が一丸となって襲いかかってくる。
 日本を属国化することのメリットがはかりしれないからで、日米安保条約が失効したら、尖閣列島・沖縄海域の南シナ海化≠ェ目に見えている。
 日本にとって、アメリカを盟友にしてロシア・中国を牽制するのがもっともすぐれた戦略で、他の選択肢はない。
 安倍首相が、1項と2項を残したまま、憲法9条に自衛隊の存在を明記する提案(3項)をおこなったという。
「戦力不保持」「交戦権の否定」(二項)は自衛隊明記との整合性を欠き、国家主権の否定につながるので論外だが、「戦争放棄」(一項)については、残したままでよい。
 その代わりに「日本国政府は国民の生命と領土をまもる無制限の権利をもつ」という一項(4項で)を追加すべきだろう。
 無制限のなかに核報復≠ェふくまれるのはいうまでもない。
 日本には戦争という選択肢はないが、報復までを放棄したわけではない。
 戦争を放棄するが、報復戦力に制限がないとすれば、、平和主義と戦力保持のあいだに矛盾が生じない。
 日本が核をもったとき、ビッグ4(日・米・中・ロ)の新時代が幕開けするのである。

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2017年05月08日

 北朝鮮危機と米中関係B

 ●歴史が教える「朝鮮半島は疫病神」
 原子力空母カール・ビンソン率いる米海軍の攻撃空母群が朝鮮半島海域から離れるのがいまや時間の問題になりつつある。
 理由は三つある。
 一つは、北朝鮮攻撃に中国の同意がえられなかったことで、アメリカ主導で金正恩の打倒と朝鮮半島の再編という事態になれば、決定的に国益をそこねる中国が、米攻撃空母群出撃に待ったをかけたのである。
 二つ目は、ソウルを中心に数百万に被害が及ぶと予想される北朝鮮の反撃に韓国側が耐えられそうにないことで、従軍慰安婦問題を蒸し返すことしか頭にない韓国政府には、北朝鮮と事を構える士気も準備もそなわっていない。
 三つ目はロシアの圧力で、プーチンと電話会談したのち、トランプの口から威勢のよいことばが聞かれなくなった。
 トランプは、プーチンとの電話会談の直前、安倍首相と綿密な打ち合わせをおこなっている。安倍首相とプーチンは意志の疎通ができている。シリア攻撃で溝ができたトランプとプーチンのあいだに安倍首相が入って落としどころをさぐったというのが事実に近いだろう。
 習近平もジレンマに陥っている。
 中朝関係は、中国寄りだった北朝鮮の張成沢(国防委員会副委員長)の処刑以来、急速に悪化、習近平・トランプ会談以降、無煙炭の輸入や石油の輸出が制限されたほか、現在、経済支援が完全にストップしている。
 北朝鮮の国営メディアは、これまで数回、中国を名指しで批判している。
 これにたいして、人民日報系のメディアも「中国が(北朝鮮のために)戦う必要はない(王洪光/元南京軍区の副司令官)」と報じるなど、中国と北朝鮮の同盟関係は、いまや、崩壊の危機にある。

 中国は、北朝鮮という同盟国の造反と朝鮮半島へのアメリカの介入、北朝鮮へのロシアの接近という三つの難問に直面している。
 いちばん頭を悩ませているのはロシアの北朝鮮への接近だろう。
 ロ朝間では、すでに総事業費約250億ドル(約2兆9000億円)規模の鉄道整備・改修計画が合意済みで、ウラジオストクと羅先(北朝鮮北東部)をむすぶ定期航路も開設された。
 北朝鮮は、国内の金やレアメタル(希少金属)などの開発権益をロシア側に提供して、これを工事代金に充てるという。
 その先にあるのは租借地(港)の獲得と国家の死命を制する石油をもちいたロシアの飼い殺し外交≠ナ、羅先港は、租借化を視野に入れたロシアが建設したようなものである。
 朝鮮は、昔から支那にくっつきロシアにくっついて生きのびてきた事大主義の国で、日本が日清戦争で清国から独立させても、こんどはロシアになびいて日露戦争の原因をつくるという厄介きわまりない国である。
 併合して、アジアの最貧国から日本並みに豊かにしてやると「侵略された」「怨み千年」などとたわ言を並べ、米韓従軍慰安婦やベトナム戦争の組織的な強姦略奪を棚に上げ、日本へのいやがらせのため、従軍慰安婦像を建てまくるというクレージーな民族でもある。
 ロシアもそのクレージーさに手を焼いて一時疎遠になったが、最近、距離を縮めたのは、米・中接近にくさびを打ちこみ、地政学的な得点をえようという腹積もりからである。

 北朝鮮が原爆の小型化と大陸間弾道弾(ICBM)を完成させると米大陸のほか、北京やモスクワまでが射程内にはいって、一存で世界を震え上がらせてみせるという金正恩の妄想が実現することになる。
 米・中・ロが小競り合いをしている北朝鮮情勢のなかで、カギを握っているのがロシアである。
 中国が石油をとめても、ロシアがタンカーを羅先港に送り込めば、北朝鮮はかんたんに寝返る。
 事大主義の朝鮮人は、国家的権益や租借地の提供に抵抗をかんじない民族なので、北朝鮮がロシアの手の内に落ちるのは、時間の問題だろう。
 中国とロシアは蜜月関係にあるかのように見える。
 ところが、国境問題は例外で、かつてのダマンスキー島事件や新疆ウイグル自治区の軍事衝突(1969年)は、一時、全面戦争の危機に発展した。
 そして、現在は、中央アジアが火種で、最近、中国が提案した中央アジアの「反テロ協調体制」から外されたロシアの反発には根深いものがある。
 米・ロ・中が朝鮮半島情勢をめぐってそれぞれ微妙な立場に立っているわけだが、かつての宗主国日本は、静観の構えである。
 朝鮮民族の狂気を知っているからで、巨大な空母で威嚇すれば震え上がると読んだトランプは単細胞すぎたのである。
 懸念されるのは、中ロ紛争で、原因となりうる一つに北朝鮮がロシアに譲渡した鉱産資源の開発権益がある。
 北朝鮮には、中国との国境付近に、埋蔵量が東アジア最大級の茂山鉄鉱山や世界一のタングステン鉱脈のほか、亜鉛や銅、金鉱山までがうなっている。
 これまで中国は、電力や食料などの経済援助の見返りに同地帯の鉱産資源の権益を一手に握ってきた。
 北朝鮮がこの鉱産権益をロシアに譲渡すれば、どういう事態になるか。
 ロシア軍と中国軍が国境付近で悶着をおこす可能性すら生じかねない。
 朝鮮半島に首をつっこむとろくなことにならないのである。

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2017年04月26日

 北朝鮮危機と米中の新時代A

 ●金正恩が日・米・中・韓に対抗できる理由
 フィリピン海でおこなわれていた海上自衛隊(護衛艦「あしがら」と「さみだれ」)との日米共同訓練を終えた原子力空母カール・ビンソンが、朝鮮半島に向けて北上を開始、先立って、戦略ミサイル原潜ミシガンが韓国の釜山に入港した。
 一方、北朝鮮は、同国東岸の元山市近郊で大規模な実弾演習をおこなった。
 北朝鮮人民軍総参謀部の「ソウルの火の海にする」という脅しを裏打ちする軍事デモストレーションで、ソウルを射程に収める旧ソ連製の改造型70ミリ自走砲などのロケット砲を千門近く所有する北朝鮮砲兵部隊は、最近、新たに1万発の砲弾を追加配備したという。
 これが金正恩の強気の根拠で、ソウル壊滅のリスクを冒して、米韓が攻めてくることはないと踏んでいるのである。
 事実、アメリカ歴代大統領が北朝鮮への軍事攻撃を控えてきたのは、中国にたいする配慮のほか「ソウルの火の海に」という恫喝に屈してのことで、韓国軍には、平譲まで到達するロケット砲が一門もないばかりか、地下壕で固めた北の重要拠点に手も足も出ない。
 韓国が、親北派の大統領候補(文在寅/ムン・ジェイン)を立てたのは難を逃れようという魂胆からで、北の脅威どころか、矛先を日本に転じて、従軍慰安婦問題をむしかえそうとしている。
 日本総領事館(釜山)の前に新たに建てられた慰安婦像にひざまずく文在寅の事実上の公約は「平譲訪問」と「THAAD(超高高度防衛ミサイル)配備の撤回」で、中国は、反日・親北派の文候補を熱烈に支持している。
 米・韓の足並みが揃わないなか、カール・ビンソンを中心とする第1打撃群が朝鮮半島や中・韓・朝がむきあう黄海へ接近するには中国の了解がなければならないが、万が一、トランプが独断で出撃を命じれば、中・朝関係が決定的に断裂する。

 都内で6者協議の代表者(日・米・韓)会合が開かれたほか、日本と中国の代表者(外務省金杉局長/武大偉・朝鮮半島問題特別代表)が北朝鮮への石油の禁輸措置を協議した。
 中国が石油供給を中止すれば、北朝鮮経済は短期間のうちに破綻するといわれているが、おおいに疑問である。
 国連安保理決議にもとづく経済制裁がつよまるほど、北朝鮮政府の資金力が高まって、一発で数十億円(中距離弾道ミサイル・ムスダンの国際的相場3000万ドル/約33億円)かかるサイルの発射実験をくり返し、ミサイルとは桁ちがいにカネがかかる核開発も順調にすすめられている。
 最近では、非政府系の経済活動が目に見えて向上し、飢餓死が絶えたどころか、トンジュ(金の主)と呼ばれる富裕層まで出現している。
 理由は「密輸と闇経済」で、中朝・中ロ貿易の大半が密輸である。
 北朝鮮は、国連加盟国192国のうち166国と国交をむすび、交易関係をもっているが、数字にあらわれるのは数パーセントで、大半が密輸や闇取引である。
 ちなみに北朝鮮の無煙炭の輸出は公的資料(年間1000万t)の同程度以上が密輸出され、同規模のスケールで密輸入がおこなわれている。
 ドル箱は、中国とロシア、日本で、ロシア(ウラジオストク)から北朝鮮の羅先港にもちこまれる原油(M100)は北朝鮮にとって原油にひとしい。
 ロシアのM100からガソリンや航空機のジェット燃料を抽出できる技術が完成しているからだが、黄海を往来する中朝の密輸貿易船と同様、これも経済制裁外である。
 偽ドルや麻薬の国外持ち出しや不法送金もおおっぴらで、日本からのパチンコ送金や朝銀を救済した公的資金導入(1兆3千億円)も金王朝の金庫に納まって、核開発の資金に化けた。

 1991年のソ連崩壊後、社会主義諸国からの支援が途絶して、配給制度をとっていた北朝鮮経済が崩壊した。
 97年に韓国に亡命した金正日の側近、黄長Y(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記によると配給停止によって「200万人以上の住民が餓死した」という。
 このとき、脱北した北朝鮮人の一部が、中国で食糧や物資を調達して、中朝国境で商売をはじめた。
 これが北朝鮮の闇市場で、現在、国内の経済活動の8割以上を占める規模にまでふくれあがっている。
 取り締まるどころか、金正恩体制が自力更生が奨励しているのは、国民を豊かにする政策を放棄できるからで、そうなれば、金正恩が国家予算をすべてすきなように使える。
 韓国から流れ込む資金(経済特別区収益や市民団体の支援など)や出稼ぎの上納金、在外北朝鮮公館から献納される「忠誠資金」、武器密輸などでえられた利益に加え、無煙炭などを輸出した代金がそっくり金正恩の金庫に入る。
 北朝鮮王朝を支えているのは、金日成時代は労働党員300万人といわれたが、現在は、軍や秘密警察などの権力機構を牛耳る中枢部とその周囲を固める数万人の幹部、平壌の高級住宅地に住むエリート集団ら合わせて十万人ほどといわれる。
 ミサイルを実験をくり返し、核開発をすすめているのは、約十万人の狂信的王国で、オウム真理教が国家になったようなものである。
 王国外にはじきだされた国民は、強制収容所と残虐な公開死刑に脅え、餓死を免れるため必死に経済活動をおこなっている。
 ちなみに亡命した黄長Yの一族3000人は強制収容所に収監され、多くが餓死したという。
 金正恩委員長は、後見人とされた張成沢(国防委員会副委員長)ら100人以上を側近や親族ともども公開処刑で粛清しているが、張成沢の場合、飢えた百匹の猟犬に食い殺させるという凄惨なものだった。
 北朝鮮では、公開処刑の見物が国民の義務で、残虐な公開処刑を見た国民のなかから善政をもとめる声などでてくるはずがない。
 原子力空母カール・ビンソンに随伴する巡洋艦や駆逐艦、攻撃型潜水艦からトマホークが発射された瞬間、米中関係に想定外の変化がおこる。
 逆にいえば、中国のOKがでなければ、カール・ビンソンは張子の虎なのである
posted by office YM at 23:54| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする