2021年02月07日

 天皇と民主主義 その3

 ●天皇(権威)と民主主義(権力)の二元性
 ソクラテスやプラトンが紀元前4世紀に捨てた民主主義を18世紀のルソーが拾ってきて、これを啓蒙思想の主柱にすえ、ヨーロッパ全土に革命の嵐が吹き荒れた。
 そして、世界の主たる国はみな革命国家となった。
 原点が「人間は生まれながらに自由」や「自然に帰れ」などのルソー主義にあって、フランス革命の「人権宣言」にも「人間は生まれながらにして自由かつ平等である」(1条)とうたわれている。
 ルソーは、5人のわが子を孤児院へ捨てる一方で、教育論(『エミール』)を出版、『懺悔録』では自己弁護を並び立て、ホッブズの『社会契約説』を主旨が一八〇度反対の『社会契約論』へリライトして世にだした世紀の詐話師である。
 ところが、日本では、フランス革命の理論的支柱で、近代でもっとも偉大な思想家としてほめたたえられている。
 ルソーのことばは『社会契約論』の翻訳者でもあった中江兆民らをとおして神の声≠フようにつたえられた。日本では、マルクスやルソーら啓蒙主義や民主主義の思想家がすべて神格化されて、西洋の思想の研究が博士号取得の条件となっているほどである。
 その一方で、日本古来の伝統的な価値観や政治形態はふり返られない。
 西洋の革命思想はありがたいが、わが国をささえてきた保守思想には関心がないのである。
 だが、革命の成果は、散々で、イギリスやフランス、そしてロシアも、革命政府を取り消して、議会制や共和制をとった。共産主義をとっているのは中國と北朝鮮だけだが、マルクス経済などとっくに捨てられて、とられている経済体制は国家資本主義である。
 革命は、結局、貴族や地主ら特権階級を倒して、封建体制や歴史的価値観を破壊しただけだった。
 そして、平民・農民が手にしたのが民主主義だった。
 その民主主義というのは、多数決の原理と普通選挙法のことである。
 西洋人が民主主義を称えるのは、庶民を虫けら同然にあつかった絶対王政や暗黒の宗教支配、奴隷制度が、民主主義を謳う市民革命によって倒されたからであった。

 日本には、絶対王政も恐怖の宗教支配も、奴隷市場もなかった。
 天皇がいたからである。民の神格たる天皇が、民を支配する権力を監視する権威と権力の二元論≠ノよって、日本はヨーロッパのような政治の暗黒性をまぬがれてきた。
 ところが、戦後、日本も、西洋のような絶対主義だったという歴史改ざんがおこなわれて、ついに「自虐史観」に立った歴史教科書が出回るまでになった。
 GHQの「宣伝刊行物の没収覚書」によって皇国史観や神道から「茶の湯」にいたる日本の歴史や伝統、文化を語ったおびただしい書物が没収、焚書されている。協力したのが、GHQによって解放されたマルキストで、そのなかに、旧東京帝国大学教授の牧野英一や尾高邦雄、金子武蔵ら著名な学者もいる。かれらの指導をうけた日教組が叫んだスローガンが「日本は戦争に負けて民主主義のよい国になりました」だった。
 それでは、数千年にわたって積み上げられてきた日本の歴史的蓄積や民族の知恵、善や徳、文化は、多数決より劣るというのか。
 まちがってもらっては困るのは、西洋人が民主主義を称えるのは、市民革命以前まで、西洋では、絶対主義の下で、民が家畜同然の生活を強いられてきたからで、多数決がりっぱな制度だったからではない。

「市民革命」によって、民は、王権や地主、教会の権力から逃れて、ようやく人間としての権利を主張することができるようになった。
 ヨーロッパの民にとって、市民革命は、福音だったのである。
 日本では死刑の執行にも幕府の許可が必要だった。罪状を記した書面を幕府へ送って許可をとるまで数年を要したという。30年戦争で、ドイツの人口が1600万人から1000万人まで減少したヨーロッパとは精神構造がちがうのである。
 中江兆民が唱えた「君民共治之説」は、ルソーの『社会契約論』からとったものである。ルソーはそこで「君民共治が理想であるが、そのような国があるはずはないので、やむをえず民主主義をえらぶ」という主旨のことばをのべている。
 君民共治の一つのケースが石山一向一揆≠フ劇的な退却であろう。10年間にわたって織田信長と衝突してきた一向一揆も、天皇(正親町)の仲裁によって、突如、石山を去る。信長も一揆衆も天皇には逆らえなかったのである。一揆の指導者だった顕如はのちに本願寺の基礎を確立する。
 日本人は、民主主義の世の中にテロリズムが横行するのは嘆かわしいという。
 とんでもない思いちがいで、テロリズムを許容するのが民主主義である。
 ロックの社会契約説をとったアメリカ憲法は「革命権」までみとめている。
「民主主義と天皇は相容れない」という論者もいるが、これも誤りである。
 天皇は権威、民主主義は権力で、権力は、権威の支えがなければ成立しないのである。
 次回以降、天皇と民主主義に関係について、議論を深めていこう。

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2021年02月01日

 天皇と民主主義 その2

 ●天皇の象徴性と民主主義の具象性
 世界の国々は、現在、王朝国家か、かつて、王朝国家だった歴史もっている。
 多くが、近代になって、王朝を倒し、または離反して、革命国家となった。
 革命国家の代表として、フランスとアメリカ、ロシアと中国があげられる。
 一方、王朝を残している伝統国家も、日本やイギリスなど、すくなくない。
 同じ王朝国家といっても、日本とヨーロッパでは、基本的な構造が異なる。
 日本は、紀元前に成立して、古墳時代に基礎を固めた「大和朝廷」が国家の始原で、すめらみこと(皇尊)が国を治めた。
 エジプトのピラミッドや中国の始皇帝陵に並ぶ世界3大墳墓として知られる前方後円墳が、当時、大和朝廷が国家を統べていたあかしである。
 仁徳天皇をはじめ、85基の天皇陵、4800基の一般陵が前方後円≠ニいう統一された造形形式をとっていることから、古墳時代に、天皇にたいしてなんらかの象徴観念や共通認識ができあがっていたと思われる。
 神武天皇(かむやまといわれびこのすめらみこと)を初代とする大和朝廷が現在まで126代にわたってまもられてきたのは、皇祖が神武天皇となる父系相続=皇統だったからである。
 それが宮家で、皇統をひきつぐ皇族男子のみに宮号があたえられる。
 宮家は、神武天皇にはじまる皇統という大樹からのびた枝である。
 そして、現在の皇室は、第113代東山天皇の第六皇子直仁親王がひらかれた閑院宮という枝である。
 皇統という考え方は、中国の「天命」や西洋の「家門」とは異なる日本特有のものである。

 ヨーロッパの王室と日本の皇室がちがうのは、そもそも、国家の成り立ちが異なるからである。
 地中海のカルタゴを滅亡させてうまれたローマ帝国、その後のフランク王国や神聖ローマ帝国をへて、現在の国家形態をとるのは、17世紀(ウェストファリア条約/1648年)以降である。
 主導権を握ったのが家門で、ヨーロッパの国々は、家門をひきついだ王室を中心につくりあげられてゆく。
 イギリス王国のノルマン朝から現在のウィンザー朝、フランク王国のカロリング朝やブルボン朝、神聖ローマ帝国のハプスブルグ朝など多くの有力家門が複雑に血縁関係をむすび、ヨーロッパの王室は、王位継承権をもちあう巨大な家族的集団となった。
 門閥であるヨーロッパの王室では、血族が、男系と女系の両方へひろがってゆくリゾーム(根)型である。
 一方、男系相続の日本の皇室は、女系という横にのびてゆく系列がない男系一本のツリー(樹木)型となる。
 そこで、皇胤を拡充するために、宮家という横にのびる枝が必要となる。
 皇統という大樹からのびた枝をとおして、宮家は神武天皇の直系となる。
 戦後、11宮家が皇籍離脱させられたが、そのうち、5宮家(賀陽宮、久邇宮、朝香宮、東久邇宮、竹田宮)は男子に恵まれて、総数で20人をこえる。
 皇族と旧皇族の親交団体(「菊栄親睦会」)を発起された昭和天皇の念頭には皇位継承権を広げる意図もおありだったという。
 そのことが意味するところは、旧皇族が隠然と存在して、男子の皇胤がおられるかぎり、女系天皇による皇統の消滅は避けられるということである。

 王朝国家が、市民革命と産業革命にうねりにのみこまれて、形骸化あるいは消滅してゆくなかで、日本は、古代より、軍部に政治利用された近代の一時期をふくめてではあるが、現在にいたるまで、ゆるぎなく、存続してきた。
 市民革命によって、民主主義が唯一の基準になったのは、伝統的な価値観をすべて失ったからだった。
 民主主義は、多数決と多数派支配のことで、唯物論である。
 政治とは、個と全体を調和させることだが、どんな哲人も政治家も、これを実現させた者はいなかった。封建主義も専制独裁も、共産主義も、個と全体の矛盾を解消させるどころか、却って、ふくれあがらせただけだった。。
 例外があった。日本である。個と全体の衝突を回避して、効率のよい政治をおこなっていたのは、世界で、天皇と将軍を両立させている日本だけだった。
 権威と権力、国体と政体の二元論で、この二元論だけが、個と全体の矛盾を解消できる。
 権威は唯心論で、権力は唯物論だが、一方だけでは片手落ちである。
 カネや権力も必要だが、やさしさや安心をあたえるのも政治である。
 日本がその政治をおこなえたのは、権力を監視する権威の目がはたらいていたからであった。
 イギリスは、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど旧植民地の自治権をみとめる「ウェストミンスター憲章(1931年)」に署名して、イギリス連邦の権力者から、権威の座へ移られた。
 同憲章はこのとき象徴≠ニいうことばをつかった。
 日本において、天皇は、2000年前から象徴で、権力たる具象と二元論を構成してきた。
 わたしは、天皇の象徴性と民主主義の具象性も二元論ではないかと考える。
 次回以降、天皇と民主主義について、さらに、議論を深めていこう。


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2021年01月25日

 天皇と民主主義 その1

 ●皇族は国民ではあらせられない
 秋篠宮さまが長女眞子さまと小室圭さんのご婚儀について「憲法にも結婚は両性の合意のみにもとづいてとある」とされたうえで、これをおみとめになられた。
「状況が整わなければ納采の儀(ご婚約)をおこなうことはできないとのべてこられたことから、世間的には、方針の転換とうけとめられた。
 秋篠宮さまのご発言には、皇室のありかたをゆるがしかねない瑕疵がみえている。
 皇族は、国民のご身分ではあらせられないので、憲法による規定をおうけにならないのはいうまでもない。
 日本国の戸籍をおもちにならないというよりも、人権および人格、個人たる諸条件をすべて超越しておられるからで、日本人が、天皇やご皇族を敬愛してやまないのは、そのおすがたの神々しさゆえである。
 そのやんごとなき皇族が、国民を規制する権力の体系である憲法にみずからすすんで従われようとされるのは、国体や国家伝統、皇族の歴史的なありようからみて、奇異にして不自然で、違和感をかんじざるをえない。
 まして、天皇の正統性たる万世一系≠ノふれかねない皇族のご婚儀という国体上の事柄に憲法をもちだされるご見識については、言語道断と申し上げるほかない。

 日本と中国、ヨーロッパの権力や権威は、それぞれ、なりたちが異なる。
 易姓革命の中国では、徳ある者に王位を付与して、徳を失った王から王位を奪うという「天命運動」がおこなわれた。4王朝(「遼・金・元・清」)による異民族支配は天命≠ニいう支配イデオロギーが、民族や歴史、文化をこえていた証左といえよう。
 ヨーロッパの王朝は、家門による権力主義で、ローマ教皇庁と並ぶ勢力を誇ったハプスブルグ家をはじめ、スチュアート家(イギリス)、ブルボン家(フランス)、メディチ家(イタリア)などの名門が跋扈して、のちのヨーロッパ国家形成の母体となった。
 日本は、神武天皇の建国神話にもとづいて、天皇の権威を歴史的にうけつぐ皇統保持で、その象徴が「万世一系」である。
 権力や権威の正統性は、ヨーロッパにおいては家門で、中国は天命、日本は歴史にある。
 権力や権威を、法で規定したケースは、近代以降の革命国家のほかにはみることができない。
 天皇の正統性は、ヨーロッパの「家門(血族)」や中国の「天命(徳)」とは異なり、神武天皇の皇統(男系血統)にある。
 歴史そのもののなかにあって、天皇の地位は、歴史上の地位である。
 歴史が、天皇の玉座を用意して、万世一系のどなたかがその玉座におつきになって、天皇陛下になられる。
 この構造は、血筋をたどってその地位をひきつぐ血縁的相続とは、根本的に異なる。
 万世一系というのは、神武天皇の血統を継いでいるか否かだけで、親等とはかかわりがない。
 女性がX染色体を2つもっているのにたいして、男性はXとYの2種の染色体をもっている。Y染色体をうけつぐ男系相続では、Y染色体は交差しないので、親等を問う必要がない。

 第26代継体天皇は、先代の武烈天皇と血縁性がなく、第15代応神天皇の5世孫である。大連の大伴金村、物部麁鹿火、大臣の巨勢男人ら豪族の推戴をうけて、天皇になったが、武烈天皇も応神天皇も、神武天皇のY染色体をうけついでいる。

 それが、万世一系にもとづく皇統で、男系相続が絶対条件となる。
 大昔でも、男系・女系が混じる血縁相続では、皇祖が神武天皇ではなくなることはわかっていたのである。
 皇位が「万世一系」になることによって、天皇は、歴史からうまれることになった。葦津珍彦は「天皇は歴史をつらぬく真実」といった。天皇は、門閥や血縁、権力や人徳、法や制度からうまれるものではなく、歴史そのものだったのである。
 したがって、無人格となる。「神に祈る神」である天皇は、神道の最高神官にして、最高権威の聖なる存在だからで、日夜、日本国の弥栄と日本人の平安を天照大御神に祈っておられる。
 権威である聖なる天皇と、権力を行使する俗なる権力者とは、一線が画される。
 天皇は、権力者ではないのみならず、権利も基本的人権ももっておられない「神のような人」で、日本という国が一つにまとまっているのは、その中心に無私の天皇がおられるからである。
 第59代宇多天皇は「寛平御遺誡」という帝王学を遺された。
 そこには「愛憎や好悪、惑溺や喜怒をおもてにだしてはならない」とある。
 貞観政要などの帝王学にも「じぶんの意見を安易にのべるべきではない」とある。
 意見を発すれば、かならず敵をつくるからで、皇族が政見をのべ、選挙権をもったら、天皇中心の日本の国体は、崩れ去ってゆくであろう。
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2021年01月18日

 反官僚の菅政権に期待するO

 ●新たなる「日英同盟」とシックスアイズ
 日本の護憲派は「九条の会」を創立した9人のうちの1人、大江健三郎のつよい影響下にある。
「日本がわるいから原爆を落とされた。わたしは日本がきらいだ。わたしは日本人ではないので、文化勲章は断ったが、ノーベル賞はもらった」というのが大江イズム≠ナ、東大や京大、論壇や学会に信奉者が多い。
 日本学術会議も「自由と平和のための京大有志の会」も、コロナ特措法に抗議声明をだしたマスコミ労組(MIC)も同じ穴のムジナで、左翼というより、GHQの「日本滅亡化戦略」をうけついだ反日・抗日¥W団といったほうがわかりよい。
 国家に巣食って、利敵・売国・破壊行為をはたらく反日・抗日は、権力でおさえこむことができる左翼よりも始末がわるい。
 多くが、体制内エリートのインテリとあって、MIC支配下のマスコミで叩く大口やホラ、デマ、扇動の悪質さには半端ないものがある。
 反日・抗日が、メディアで幅を利かせるのは、MICの後押しがあるからで、コロナ特措法をゆるさない、自民党を打倒しようと叫ぶマスコミ労組の影響下にあるメディアに、国を挙げてのコロナ対策の応援、支援などできるはずはない。

 反日・抗日はカッコいい、国を売ることはよいことだという風潮のなかで懸念されるのが「国家・防衛情報」の国外漏洩とマスコミによる「情報操作(デマゴギーによる政治工作と騒擾)」である。
 日本を代表するメディアである朝日新聞は、教科書や慰安婦などの情報を外国にリークして国家にダメージをあたえたが、NHKも、天皇を強姦罪で有罪とする「女性国際戦犯法廷」を放送(「問われる戦時性暴力」)するなど反日報道をくり返してきた。
 法務省(公安審査委員会)は、オウム真理教にたいする破壊活動防止法の適用を棄却(1997年)するなど、国家や国民よりも、自由や人権などのイデオロギーを重視する姿勢をつらぬいてきたが、法案提出権を握っている内閣法制局も、憲法9条の信奉者で、集団的自衛権や有事法制、日米安保にたいして、否定的である。
 国家機能が丸ごとGHQ体制にある日本では、国をまもるという最低限の国家主権すら、その根拠を、憲法ではなく、日米安保条約に根拠をもとめている有様である。
 国家防衛法や秘密保持法、国家緊急権すらつくれない状態で、スパイ防止法など望むべくもなく、げんに、国家秘密の管理体制を強化する「秘密保全法」の国会提出が、2011年、内閣法制局から拒絶されている。

 日米安保を抜くと丸腰≠ニなる日本に戦前(1902年〜1923年)の同盟国だったイギリスから「UKUSA協定(「ファイブアイズ」日本をふくめて「シックスアイズ」)へ加盟の呼びかけがあった。
「UKUSA協定」は、アメリカとイギリス連邦(イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)による機密情報共有の枠組みで、事実上の軍事情報同盟である。
 ファイブアイズは、ナチスドイツの暗号エニグマと日本の外務、陸・海軍の暗号を解読して、第二次大戦の勝利に貢献した情報機関が母体で、現在、高度に電子化された国際情報戦をリードしている。
 日本が「UKUSA協定」に参入して「シックスアイズ」になると、スパイ天国といわれた日本の甘すぎた諜報体制が一変する。同盟6国が共有する機密情報をまもるために、きびしい国際法(「UKUSA協定」法)がはたらくようになるからである。
 これまで、アメリカは、日米安保体制をとおして、米軍の軍事機密がもれる懸念をしめしてきたが、日本政府には、打つ手がなかった。
 だが、スパイ行為が条約∴癆スということになれば、話はべつである。
 わが国では、条約が国内法と同等の効力をもっている(憲法98条2項)が、通例では、条約が法律に優位する。
 これまで、スパイは、窃盗容疑で片づけられてきたが、日本が「シックスアイズ」の一員になれば、条約(国際法)違反として、堂々と、捜査や摘発、公表、立件ができる。

 中国への頭脳流出(「千人計画」)については、アメリカで、ノーベル化学賞候補だったチャールズ・リーバー、W・バージニア大学のジェームズ・ルイス物理学教授ら大物が続々と逮捕されているが、日本では、マスコミが、成功話として、うれしげにもちあげている。
 日本が「シックスアイズ」に参入するには、スパイ防止法や秘密保全法などの制定が前提になると多くの識者が指摘する。日米安保をむすぶには、憲法9条の撤廃が必要というのと同じ論理なのだが、見当ちがいもはなはだしい。
 世界第6位の日本の軍事力が依拠しているのは、日米安保条約であって、憲法9条ではない。
 憲法で国をまもれないので、代わって、日米安保という外交条約が代行して、国をまもっているのである。
 スパイ法という国内法がないので「シックスアイズ」条約をもってスパイを摘発する。
 同じ論理である。護憲派が、必死になってまもっている日本国憲法は、なんの役にも立たない前世紀の遺物なので、事実上、廃棄して「シックスアイズ」条約に代行させるのである。
 憲法などいらない。憲法をもたないイギリスと同様、条約と国際法、国内の慣例法だけで、日本は、十分にやっていけるのである。


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2021年01月12日

 反官僚の菅政権に期待するN

 ●「日・米・英」同盟で米にかかる同調圧力
 EU(欧州連合)から離脱して、大英帝国としてのアイデンティティを強めつつあるイギリスと日本が、ここにきて、急接近している。
 戦後の日米安保に匹敵するのが戦前の日英同盟で、日本とイギリスはともに伝統的な海洋国家(島国)にして、それぞれ、天皇と女王を戴く立憲君主国という共通点をもっている。
 第二次大戦で、日本はアメリカに負けたが、イギリスには勝っている。
 戦艦プリンス・オブ・ウェールズなどを撃沈したマレー沖海戦とパーシバル大将が13万の兵士と共に降伏したシンガポール陥落である。
 イギリスには、日本を敵国と見る意識はあっても、ジェノサイト(大都市空襲/広島・長崎原爆投下)ののちに本土を占領して、憲法を書き直すなど日本の主権を土足でふみにじったアメリカの傲慢さはない。
 アメリカ次期大統領バイデンの「日本の憲法は核をもたせない目的でわれわれが書いた」という発言は、日本を見下した姿勢のあらわれで、バイデンが、今後、日本軽視、中国・韓国重視の政権をとるであろうことは、民主党の伝統でもあって、疑いえない。
 その歯止めとなるのが、新日英同盟≠ナある。イギリスの監視がきいていれば、バイデンは、極東政策において、中国にたいして、迎合的な政策をとることはできない。
 バイデンが、中国共産党と裏でつながっていて、中国に利権をもっていることは、半ば公然たる事実だが、アメリカのマスコミが、これを報じないのは、反トランプ=民主党支持だからである。
 
 現在、アメリカは、トランプ支持の保守系(共和党)と反トランプの革新系(民主党)が62万人の戦死者を出した南北戦争さながらのにらみあいをつづけている。
 そして、錯乱したトランプが核ミサイルのボタンをおしかねないという危機感がひろがっている。発信源は、むろん、民主党である。ペロシ下院議長は、トランプ大統領の核攻撃命令に応じないよう国防総省のトップであるミリー統合参謀本部議長と合意したという。
 このことからも、国防省や国務省、CIAらアメリカの中枢がトランプを見捨てたとわかる。
 アメリカ大統領選挙に不正があったことは、各投票場に一台8千ドルもの投票マシーンが使用されたことで半ば明らかである。操作の必要がないのであれば、日本の総選挙のように、なんの混乱もなく、翌日には結果と数字が明らかになっていたはずである。
 投票マシーン管理者同士の銃撃戦、監視カメラの隠蔽、不正選挙に怒ったトランプ支持者による米連邦議会議事堂への乱入事件と今回のアメリカの大統領選は、首を傾げたくなることばかりおきた。
 アメリカは、周到な計画にもとづくケネディ大統領の暗殺がオズワルドの動機なき£P独犯とされたように、真実が大きな力によって闇に葬られる風土にある。
 ニクソンの電撃的な米中和解(1972年/米中共同宣言)の前例があるように、バイデンが、個人的な打算から、中国に迎合する可能性を否定することはできない。
 その場合、危機に瀕するのは、シーレーンである。中国が、南シナ海から台湾沖(バシー海峡)、尖閣列島周辺まで制海権をひろげても、バイデンはなんの危機感も抱かないだろう。
 そこに、イギリスが、日米のアジア防衛にくわわるメリットがある。
 大英帝国は、カナダとオーストラリア、ニュージーランド、インドとマレーシア、シンガポールの宗主国である。日本が、豪州やインド、アセアンをまきこんですすめてきた「自由で開かれたインド太平洋」構想と、大英帝国のアジア進出が地政学的にぴったり一致するのである。

 英海軍は、2021年には、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」をインド太平洋でおこなわれる日米合同軍事演習に参加させる。
 クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群は、最新鋭のステルス艦載機F35Bを24機、23型フリゲート2隻、45型駆逐艦2隻、原子力潜水艦1隻で編成される欧州最強の艦隊で、近々、空母プリンス・オブ・ウェールズもこれにくわわる。
 太平洋とインド洋、アラビア海を日・米・英の海軍力でまもろうという構想で、中国の覇権主義にまっこうから対決しようというのである。日英軍事同盟は「空対空ミサイル(12億円)」や「高機能レーダー技術(41億円)」などの共同研究部門も順調で、これから、ミサイルやミサイル防衛も課題に入ってくるだろう。
イギリスは、今後10年の展望のもとで「統合運用コンセプト2025」という長期軍事計画を立て、クラウド接続や人工知能(AI)、ロボットや量子コンピュータ、IoT(物のインターネット)化をすすめるという。
 とりわけめざましいのはロボット技術で、武器のロボット化からロボットが操縦する戦車、空挺部隊が、ドローンにまもられながら戦場をかけぬけるシミュレーションもできあがっている。
日本の防衛がめざすのも、同様に、AI化やロボット化で、日本の科学者が中国に媚びて、日本の防衛には協力しない(日本学術会議)というならイギリスと組むだけである。
 次回は、イギリスが日本に加入をもとめ、入ると科学やマスコミにも大きな影響がおよぶであろう「シックスアイズ」についてもふれよう。
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2021年01月04日

 反官僚の菅政権に期待するM

 ●国家防衛なき経済繁栄はない
 平和主義を掲げて、科学や文化から経済にまで難癖をつけてきた学術団体の正体が暴かれて、国民の批判を浴びたのは「日本学術会議」の任命拒否問題がきっかけだった。
 なにしろ、日本の科学技術には協力しないが、日本の学者を招聘する中国の軍事産業には協力するというのだから、あいた口がふさがらない。
 マスコミや論壇、立憲民主党ら、いわゆる平和勢力が菅政権批判を展開したが、ネット世論の反発に押されて、沈黙した。マスコミが煽って世論形成する時代は、ネット社会の到来で、すでに終わっていたのである。
 マスコミはふれないが、そのかん、日本の防衛は、新たな段階に入った。
 これまでの専守防衛から敵基地攻撃へ、方向転換を明確にしたのである。
 平和勢力がこれを批判しないのは、中国や北朝鮮、韓国のミサイルが日本の都市や原発を標的にしているなか、専守防衛を唱えても、国民の支持がえられないと読んだからであろう。
 安倍前首相は、退任直前、敵基地攻撃能力の保有を宣言して、菅義偉政権にバトンタッチした。連立を組む公明党までが敵基地攻撃能力の保有に否定的とあって、これを退任の置き土産にしたのである。
 日本をまもるには、専守防衛だけではなく、敵基地攻撃能力をもたなければならない。
「迎撃能力をいくら向上させても国家防衛は不可能」というのが日米国防筋の常識で、日米がコンピューター上でおこなう日米共同統合指揮所演習「キーンエッジ(鋭い刃)」でも、アメリカは敵の拠点を攻撃しなかった。
 ニューヨークにミサイルを撃ちこまれるリスクを冒して、アメリカが日本のために敵基地に報復ミサイルを撃ちこむ可能性はゼロだったのである。
 したがって、ミサイルを撃ちこまれた場合、日本は、自前で報復しなければならない。その準備がいままでできなかった理由は、ミサイルを撃ちこまれて日本中が火だるまになっても、憲法9条をまもれという日本流「平和主義」が大手をふっていたからだった。
 核戦争がおこる可能性は、かぎりなくゼロに近いが、通常兵器による紛争の可能性はけっしてゼロではない。
 交戦の可能性を措いても、軍事的優劣は、国家関係に多大の影響をおよぼす。
 中国や韓国が、日本にたいして強気なのは、日本の大都市や原発にいつでもミサイルと撃ちこめるからである、
 日米とも、空から降ってくる多数のミサイルを百発百中で迎撃できる能力をもっていない。専守防衛の論理はここで破綻する。残った手段は、ミサイルを発射した敵国へ報復ミサイルを撃ちこむだけである。
 このミサイルに核弾頭が装備されている必要はない。
 先制攻撃を思いとどまらせるに足る報復的な軍事効果をそなえているだけで十分で、相互確証破壊のメカニズムがはたらけばよいのである。

 防衛省の来年度予算要求は、過去最高の5兆4898億円だが、そのなかに敵基地の攻撃に必要な装備群(ストライク・パッケージ)が多く盛りこまれている。
 戦闘機や巡航ミサイルが中心の打撃力(敵基地攻撃能力)や事前に敵基地のレーダー網や迎撃態勢を無力化して、制空権を確保する電子戦能力、ミサイル発射の兆候をつかみ、発射装置の位置を特定する情報収集能力などである。
 日本は、すでにアメリからF35ステルス戦闘機105機を調達する方針をきめているが、来年度は、そのうちの6機分、666億円を盛りこむ。
 そして、F35に格納する射程500キロのノルウェー製の巡航ミサイルに172億円、射程900キロの巡航ミサイル(米国製)を搭載するF15戦闘機の機体改修費213億円を要求した。
 防衛庁は、発射したミサイルの迎撃を防ぐため、敵レーダーを無力化できる電子戦機の開発費153億円も要求したが、今後は、多数の小型衛星を使って攻撃目標をとらえる能力を強化して、さらに完全なストライク・パッケージをめざす。
 中国や韓国、北朝鮮が日本の都市にミサイルをむけても、日本からの報復が確実なら、軍事バランスの不均衡はおきない。
 それでも、通常兵器による軍事衝突のリスクがなくなったわけではない。
 とりわけ重要なのは、海洋国家日本の生命線であるシーレーン防衛である。
 日本は、大型タンカーが、毎日、3隻入らないと経済がなりたたない。
 日中が戦争状態になって、中国海軍が、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡、南シナ海、台湾海峡を封鎖すると、日本は、たたかわずにして、白旗をあげなければならなくなる。
 親中派のバイデン大統領が、中国共産党と蜜月状態になる可能性を否定することはできない。ルーズベルト以来、アメリカ民主党にとって、中国は盟友のようなもので、トランプの反動もあって、アメリカでは、親中・左傾化の流れがはなはだしい。
 日米関係は、今後、危うい関係になってゆくが、救いは、イギリスである。
 日本は、戦前、イギリスと組んで、世界に躍進して、戦後、アメリカと組んで経済大国になった。
 そして、現在、日本に、ふたたび、イギリスと組む機運がめぐってきた。
 EUを離脱したイギリスが、日本と経済連携協定(EPA)むすび、中国を日英共通の敵とみなして、近々、空母打撃群を極東へ展開するという。
 イギリスはインド太平洋の西端、日本は東端に位置する同じ島国という世界観に立ってのことで、日本にたいして、イギリス連邦(英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)とアメリカが安全保障情報を共有するUKUSA協定(シックスアイズ)への参加ももとめている。
 日米体制から、日米+イギリス連邦体制へ、新しい時代がはじまろうとしているのである。
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2020年12月21日

 反官僚の菅政権に期待するL

 ●<敵基地攻撃能力>だけが国家をまもれる
 民主党のバイデンが、アメリカの次期大統領になると、日米関係は、クリントン時代のように冷えこむだろう。
 なにしろ、クリントンは、中国を訪問した後、同盟国の日本に立ち寄ることなく帰国して、バッシングならぬパッシング・ジャパン(日本無視)の風潮をつくった大統領なのだ。
 民主党のオバマ大統領が、中国にべったりだったクリントンを名指しして「あの男が中国をのさばらせた」と公言したのは有名な話で、中国をWTO(世界貿易機関)に招き入れた(2001年)のは民主党のクリントンであった。
 そのオバマも、南シナ海の要塞化やウイグル問題、北朝鮮の核武装化、韓国の対日敵視政策には手をこまねくだけで、バイデンは、そのオバマ時代の副大統領だった男である。
 日本敵視政策は、ルーズベルト大統領以来、民主党の伝統で、対日経済封鎖や隔離声明(中国保護と対日制裁)から、第二次世界大戦、トルーマンの原爆投下、GHQによる日本占領までつづいた。
 日米関係が好転したのは、フーバーから20年を経過して、アイゼンハワーが大統領になった1953年以後で、ルーズベルトの謀略を告発したフーバーも、日米安保のアイゼンハワーも共和党だった。
 バイデンになんの期待もできないのは、民主党には、日本を、中国や韓国の下位におく侮日観が根強いからで、副大統領時代から日本をこばかにしてきたバイデンに追従すると、安倍前首相が築きあげて日本の国際的地位はたちまち地に墜ちる。
 日本の憲法は、日本の核武装を防ぐ目的で、アメリカがつくったというバイデン発言が、日本を軽視する姿勢のあらわれで、この一言に、戦勝国が、戦後秩序(ヤルタ・ポツダム体制=戦後レジーム)をつくったという思い上がりがみえている。
 いまこそ対米従属≠ゥら距離をおくタイミングで、バイデンのアメリカにつきあっていると、アメリカの属国扱いされて、国際社会における日本独自の地位など夢のまた夢となる。

 問題は、経済防衛と国家防衛、シーレーン防衛の3つの防衛である。
 ちなみに、日米安保は、アメリカ国防総省と日本防衛庁の軍事同盟で、民主党政権が、たとえ、日本に冷淡であっても、同盟関係の効力に影響はない。
 経済防衛の要点が、EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の強化にあるのはいうまでもない。
 資源のない日本は、かつて、経済封鎖(ABCD包囲網)によって、対米英戦争へふみださざるをえない状況へ追いこまれた。
 この危機の構造は、現在も変わっておらず、地下資源の輸入をとめられたら日本経済のみならず国民生活が破綻する。
 日本は、TPPの実質的リーダーで、RCEPの主要メンバーである。
「インド太平洋」構想の主要プレイヤーとしても、重要な地位を占めている。
 とりわけ、RCEP(2020年11月署名)は、わが国の貿易総額の約5割を占める経済連携協定で、日本経済の柱となるべき国際的とりきめである。
 これらのとりきめが、安全保障上の目処となるのは、平和的な通商・交易を可能にする条件こそが安全保障だからである。
 APEC首脳会談で、RCEPを締結したばかりの中国の習近平国家主席が「TPPへの参加を積極的に検討する」と表明したのは、バイデンが大統領になって、アメリカがTPPに復帰すると、アメリカがTPPの主導権をにぎる可能性がでてくるからである。
 いずれにせよ、RCEPとTPPを舞台に、日本と中国が、今後、アジアにおける主導権を争うことになる。
 2つ目の防衛は、国家防衛で、中国の核ミサイルが日本の大都市に、韓国の玄武ミサイルが日本中の原発に照準をむけ、北朝鮮の核ミサイルが日本全土を射程圏内におさめているとき、日本がとるべき防衛策は、日本をミサイル攻撃した国の首都へ、報復のミサイルを撃ち込む打撃力の保有である。
 核の先制攻撃も核戦争も、ミサイル戦争もおこりえないが、核やミサイルの保有や攻撃能力が外交力を左右する現実がある以上、専守防衛などの空想論は通用しない。
 国家にもとめられているのは専守防衛ではなく、防衛的打撃力で、打撃力というのは<敵基地攻撃能力>のことである。
 安倍前首相は、退任直前、日本の安全保障にかかる重大な談話を発表した。
「迎撃能力を向上させるだけで、国民の命と平和な暮らしをまもりぬくことができるのか」
 飛来する大量の弾道ミサイルを、自衛隊と米軍が協力して迎撃するが、すべてを防ぐことは不可能で、日本列島に次々と着弾する。
 自衛隊は敵の攻撃地点を攻撃することをアメリカに期待するが、アメリカは撃たない。
 専守防衛は、まったく、役に立たない机上の空論だったのである。
 次回以降、敵基地攻撃能力について、論をすすめていこう。
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2020年12月14日

 反官僚の菅政権に期待するK

 ●アメリカのエージェントだった日本の官僚
 75年前、日本は、戦争に負けて、日本という国のアイデンティティをすべて失った。
 日本が、戦前の日本ではなくなったわけだが、その政変劇の主役を演じたのが、官僚と左翼、経済人だった。
 天皇は残ったが、歴史の実在者から憲法上の存在になって、国体は消えた。
 結局、戦後日本は、官僚と左翼、経済人、そして、憲法天皇の4者に仕切られる奇妙な国となった。
 この4者は、いずれも、国家的原理や歴史的ルーツをもっていない。
 天皇の官僚だった霞が関は、GHQのエージェントとなって、解体を免れたが、1951年のサンフランシスコ講和後、GHQという親分を失って、権限と利権、自己保身だけの機関になった。
 左翼は、旧ソ連のエージェントとなって革命風を吹かせたが、旧ソ連崩壊によって、共産主義革命という目標を失って、政府に吠えかかるだけのノラ犬のような存在となった。
 経済界は、高度経済成長をへて、世界第3位の経済大国となったが、半導体やIT(情報技術)、G5(第5世代通信)やAI(人工知能)の分野で後れをとって、独・仏・英、韓国や台湾にいつ追い抜かれてもおかしくない情勢下にある。
 天皇の地位も、秋篠宮さまが眞子さまと小室さんのご結婚について、憲法の規定をもちだされたように、憲法の下にあって、天皇みずから、皇紀2600年の伝統を捨てられた。
 戦後日本は、官僚や左翼、財界、そして、皇室の4者が、国家の原理原則を捨て、未来の展望を失っているありさまなのである。
 そのなかで、唯一、この国らしさをまもっているのが、一般国民である。
 天皇をささえているのも、伝統国家の誇りをもっている国民で、ハイデンが日本を核武装させないためにつくった≠ニ言い放った憲法を無視して、世界第6位の軍事力のもとで国家防衛にあたる自衛隊を支持している
 日本という国は、エリートや裕福層、マスコミ・労組など、国家を食い物にして、政府に悪態をついてばかりの上級国民と、全企業中99・7%を占める中小企業の従業員に代表される一般国民とにきっぱりと二分されている。

 それを象徴するのが、世界で初めて小惑星の物質を持ち帰ることに成功した小惑星探査機「はやぶさ・はやぶさ2」で、同探査機には、町工場(中小企業)の技術が多く採用されている。
 防衛庁など国家の研究開発には協力しないが、中国の軍事開発には手を貸す日本学術会議とはやぶさを成功させた宇宙航空研究開発機構(JAXA)とのちがいは、前者が特権者意識をもった上級国民で、後者が、日本の歴史を生きてきた一般国民ということにつきる。
 GHQ体制からうまれた上級国民の宗主国は、アメリカで、任命拒否された立命館大学の松宮孝明教授が「(日本学術会議)に手を出すと内閣が倒れる」と恫喝をくわえたのは、じぶんたちの親分がアメリカだからである。
 日本学術会議の「日本弱体化」という戦略は、アメリカの対日戦略にそったもので、日本の上級国民には、GHQの洗脳がまだ効いているのである。
 戦後、外務省がアメリカ(アメリカン・スクール)と中国(チャイナ・スクール)の出先機関だったのは<戦後外交史>がしめすところで、アメリカの謀略だったことが明らかになっているロッキード事件では、日本の検察庁ばかりか司法までがアメリカの手下となって、アメリカを敵に回した田中角栄元首相を抹殺した。
 安倍前首相の功績は、外交の主導権を外務省から奪って<自主外交>の道筋をつくったことで、安倍路線をひきつぐ菅内閣も、当然、この路線を踏襲する。
 安倍・菅の基本ラインは「戦後レジーム」からの脱却で、国内的にはGHQ体制に安住する上級国民をおさえつけることで、その象徴が、河野行革大臣の「縦割り110番」設置や押印廃止で、その他、多くの改革案の一つに、日本学術会議の任命拒否があった。
 そして、対外的には、対米従属からの離脱で、これには、憲法問題が微妙にからんでくる。
 というのは、日本がアメリカから距離をおいて、独自の路線をすすめてゆくには、安全保障の独立性がもとめられからで、これには、戦闘機やミサイルを使って敵の作戦拠点をたたく<敵基地攻撃能力>がもとめられる。
 アメリカは、これまで、日本の敵基地攻撃能力をみとめてこなかった。
 それでは、日本がミサイル攻撃をうけた場合、アメリカが、日本に代わって報復ミサイル撃ってくれるだろうか。
 アメリカは報復ミサイルを撃たないという演習(シミレーション)が、10年前、すでにでている。
 次回は、日本が独自路線をとった場合、どんな展望がみえてくるか、それを検証しよう。
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2020年12月06日

 反官僚の菅政権に期待するJ

 ●民主党アメリカは日本のパートナーたりえるか
 アメリカとの関係がよかった中曽根、小泉、安倍政権時代、アメリカ大統領は、レーガン、ブッシュ、トランプと、みな、共和党だった。
 一方、日米関係が冷えたのは、田中角栄失脚後のカーター、日本パッシング(日本軽視)と斜陽日本のきっかけをつくった「スーパー301条」のクリントン、日本に冷淡で、中国の軍事・経済拡張や北朝鮮の核軍備に手をこまねいたオバマと、いずれも、民主党大統領の時代だった。
 民主党のバイデン次期大統領は、オバマ時代の副大統領(8年)で、民主党の「親中・親韓・反日」を骨の髄までしみこませている男である。
 副大統領時代、韓国の朴槿恵大統領(当時)と「日米韓協定」の話し合いをすすめた2013年、バイデンは、パク・クネと以下の合意をなしている。
 1、戦争謝罪をおこなった村山談話(1995年)、従軍慰安婦の旧日本軍関与をみとめた河野談話(1991年)を後退させてはならない
 2、安倍首相(当時)や麻生前副首相(当時)の歴史認識を評価しない
 3、日本首脳の靖国神社参拝を容認しない
 そして、バイデンが仲介になる形で慰安婦問題の「日韓合意(2015年)」が発表されたが、現在の文在寅政権は、これを一方的に破棄した。
 それでも、バイデンから文句がでないのは、民主党は、日本を同盟国として尊重する気がないからである。
 駐留米軍の費用負担率も、インド・太平洋構想における貢献度も、韓国とは桁違いの日本を、韓国の下位におくのが、民主党の伝統的な日本観である。
 日本に原爆を投下したトルーマン以下、ケネディやジョンソン、カーターやオバマが、いちどでも日本を重視したことがあったろうか。
 1971年、ニクソン大統領の使者に立ったキッシンジャー(国務長官)が周恩来と会談した際、日米安全保障条約は、日本を封じ込めるための「ビンのふた」という論理を展開した。
 この論理をひきついだのが、ニクソンの共和党ではなく、5代あとの民主党クリントン大統領だった。
 トランプばかりか、オバマまで「こうなった(中国経済の脅威)のはすべてクリントンのせいだ」と叫んだのは、クリントンが、競争相手の中国を豊かにすることによって、アメリカも利益をえるとして、中国をWTO(世界棒貿易機関)に加盟させたからである。
 クリントンは、1998年に北京を訪問したが、このとき、同盟国の日本に立ち寄らずに帰国している。
 以来、日本車や日本製品を大ハンマーで叩き壊した「ジャパン・バッシング(日本叩き)」に代わって「ジャパン・パッシング(日本無視)」が、民主党の代名詞になった。

 アメリカの反日思想は「黄禍論」などの感情論ではなく、地政学的な理由にもとづく。アメリカの勢力圏内にある太平洋と中国大陸のあいだに割り入ってきた日本を、邪魔者として、叩こうというのである。
 日清戦争で中国を、日露戦争でロシアを負かした日本は、中国・満州、朝鮮半島の利権を奪ったばかりか、第一次世界大戦にも勝って、ドイツ東洋艦隊の根拠地だった青島と南洋諸島(マリアナ諸島、カロリン諸島、マーシャル諸島)を占有した。
 このとき、アメリカは、将来、手にするはずのアメリカの権益を、日本が奪ったと見た。
 アメリカには、1920年代から、将来おこりうる日本との戦争に対処するための戦争計画(「オレンジ計画」アメリカ海軍)を立てている。
 オレンジ計画は「日本が先制攻撃にでて、消耗戦を経て、アメリカが反攻に移って、海上を封鎖された日本が敗北する」というシナリオで、実際の太平洋戦争もこれに近い経緯をたどった。
 アメリカは、日本を攻撃するためのアメリカ艦隊の太平洋横断が、きわめて困難で、途中で、潜水艦、空母機動部隊、駆逐艦や巡洋艦などから波状攻撃をうけるとひとたまりもないと読んでいた。
 日本も、東郷平八郎ら重鎮がこの作戦(「漸減邀撃(ざんげんようげき)」)を支持したが、海軍が本土防衛を捨てて、南方作戦をとった結果、サイパン島を奪われて、本土空襲と原爆投下によって、日本は敗れた。
 浦賀来航前、沖縄に立ち寄ったペリー提督は、日本本土を占領するには、沖縄を前線基地とすべししと報告して、太平洋戦争では、これの戦術が採用された。
 アメリカ軍が、中部太平洋の島嶼を攻略しながら、日本本土に迫った「飛石作戦」もペリーのアイデアだった。
 一方、日本は、真珠湾攻撃によって、アメリカが日本を見直すだろうというおそるべき楽観論に立って、アメリカの対日戦略をなめてかかった。
 戦後、75年、日本は、この亡国的楽観論から脱却できたであろうか。
 否である。それどころか、バイデンが「日本が核兵器をもてないようにしてやった」と公言する日本憲法を、平和教の経典として、拝んでいる。
 そして、マスコミは、民主主義と人道主義、人権主義を謳う民主党を、平和の使徒のように称えて、トランプ落選の報道に小躍りした。
 日本にとって、最悪なのは、日本を、アメリカと中国の利権構造の妨害者と見る民主党の世界観である。
 バイデンの息子、バイデン・ハンター(弁護士)が投資会社をつうじて中国から10億ドルの報酬を受け取り、一方、副大統領マラ・ハリスの夫、ダグラス・エムホフは、中国企業のアメリカ参入を仲介する法律事務所のパートナーを30年間もつとめてきた。
 中国共産党とずぶずぶの関係にあるバイデン一族が、かつて、中国やスターリンにいれこんだルーズベルトのように、日本敵視政策をとらないという保証はない。
 次回以降、日本の「脱アメリカ」と日本独自の「世界戦略」を展望していこう。
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2020年11月27日

 反官僚の菅政権に期待するI

 ●民主党大統領で急がれる脱アメリカ
 メイフラワー号に乗って、イギリスから渡ってきた(1620年)102人の清教徒は、400年をかけて、アメリカという超大国をつくりだした。
 イギリスとの独立(革命)戦争に勝利して独立宣言(1776年)を建てたあとのアメリカは戦争と征服≠国是として、つぎつぎに領土・権益拡張の政策を実行に移してゆく。
 1000万人以上の先住民を殺害したインディアン戦争やメキシコからテキサスを奪った米墨戦争(1846年)をへて、アメリカは、ついに、太平洋へのりだしてゆく。
 カメハメハ大王のハワイ王国を収奪して、米西戦争(ともに1898年)に勝って、フィリピンやグアム島を獲得したアメリカは、すでに、東インド艦隊を率いるペリー提督が日本を開国(黒船来航/1853年)させ、環太平洋の覇権は、目前に迫っていた。
 アメリカの最終目的が、世界最古の大国、中国にあったのはいうまでもない。
 西へ西へとすすんできたアメリカの拡張政策は、世界最大の巨大市場≠ナある中国を支配下におさめて、一応、最終段階を迎えるはずであった。
 ところが、ペリー率いる東インド艦隊が開国させた日本が、そのわずか半世紀後に、日清戦争に勝って、朝鮮半島をふくめた大陸へ進出してきた。
 それどころか、ロシアを打ち破って、五大強国にのしあがって、英米と肩を並べるに至った。
 アメリの神経を逆なでしたのが日英同盟(1902年)だった。
 イギリスと手をむすんだ日本が、日露戦争(1904年)や第一次世界大戦(1914〜1918年)に勝利して、アメリカをおびやかすほどに国際的な地位を高めてきたのである。
 警戒したアメリカが、イギリスに迫って、ワシントン会議(1921年)をへて、ついに、日英同盟が破棄される。
 ここから、アメリカの対日報復政策が開始されて、やがて、日米戦争に至る。
 ちなみに、対日敵対政策をとった第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは、日露戦争で日本とロシアの調停をつとめた第26代大統領セオドア・ルーズベルト(ポーツマス条約の和平交渉に尽力した功績からノーベル平和賞を受賞)の縁戚にあたる。
 セオドア・ルーズベルトが保守的な共和党で、フランクリン・ルーズベルトがリベラルな民主党というちがいもあるが、それ以上、大きなちがいは、軍人や作家、ハンター、探検家の顔ももつセオドアが、カウボーイ的な男性らしさで、国家の利益や発展に貢献したのにたいして、フランクリンは、女々しく、嘘つきで、なによりも、スターリンにぞっこんの共産主義者だった。
 
 フランクリンの母親サラは、少女時代、香港に滞在して、中国を第二の故郷と思うような女性だった。
 フランクリンの祖父(サラの父)は、清朝末期に、阿片貿易で巨富を築いて香港に豪邸を所有していたからで、フランクリンも、祖父が中国から略奪してきた絵画や屏風、象牙や陶器などの美術品に囲まれて育ち、中国に深い愛着をもっていた。
 アメリカが、当時、中国に親しみをかんじていたのは、中国が、アメリカの巨大な市場で、中国人は、アメリカから多くのキリスト教宣教師をうけいれた従順な羊のような人種と思っていたからである。
 一方、五大強国にのしあがった日本は、伝統をまもって、キリスト教文明をうけいれないばかりか、西洋に媚びない、アジアでは異質な国で、アメリカが太平洋をこえて最終目的とする中国の市場を奪う、憎き仮想敵国だった。
 ルーズベルト大統領が中国を愛して、日本を疎んじていたことが日米戦争の最大の原因だったのは、いうまでもない。
 そして、その思想をうけついでいるのが、リベラルの民主党で、日本がかつて敵国で、日米戦争に負けて、アメリカに占領された敗戦国というほどの認識しかもっていない。
 それが端なくもあらわれたのが、バイデンの「日本憲法アメリカ起草論」である。
 2016年、バイデン副大統領(オバマ大統領)は「われわれが(日本を)核武装させないための日本国憲法を書いた」と発言している。
 バイデンから、日本を、パートナーとして尊重する気持ちをかんじることはできないが、それが、日本に原爆を落とした民主党大統領の(32代ルーズベルト、33代トルーマン)の日本観である。
 民主党の大統領は、日本になんの関心ももたなかったカーター(39代)から「スーパー301条(不公正な貿易への報復と制裁)」を発しただけだったクリントン(42代)、中国の南シナ海要塞化や北朝鮮の核武装化をゆるしたオバマ(44代)まで、日本無視がつづき、対米関係重視の日本に逆風が吹いた。
 マスコミは、バイデン支持で、トランプ叩きに余念がないが、日本の国際的な地位を高めた米大統領は、レーガン(40代/中曽根)、ブッシュ(43代/小泉)、トランプ(45代/安倍)ら共和党の大統領だったことを忘れてはならないだろう。

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